36話
斎藤明
「受け身はbe動詞+過去分詞だけど疑問文の時は?」
英語担当の斎藤先生が質問をすると
生徒が挙手をして・・・
斎藤明
「同じ人ばっかだね・・・お!清水!」
清水音羽
「be動詞を先頭にします。」
斎藤明
「そのとおり!!まあ今から受動態や現在完了形とかを学習するんだけれど過去分詞覚えなければ話にならないからね。今から過去分詞書いてあるプリント配るから覚えておくようにね。休み明けにテストするから。」
ああ。快感だ。
挙手したの初めてだ。
なんか気持ちいい。
――――――(職員室)
斎藤明
「いやー!2組は積極性がありますね。」
この時期になるとクラスの特徴も分かり始めてきた。
坂下真理亜
「そうですか。」
斎藤明
「ビックリだよ!あの清水が挙手してるんだからね!」
内村陽大
「ええ?!」
やばい。思わずおどろいてしまった。
想像できない。
2組だけ国語の授業アホみたいに少ないし。
でもあいつが手を上げてるところなんて見たことがない。
当てられても答えられないのに・・・
斎藤明
「今まで当てられても答えられなかったのに。」
坂下真理亜
「このままではヤバイと思い始めたんでしょうね。いい心境の変化です。」
―――――――(音羽の部屋)
清水音羽
「ああ!分かんないよ!!」
数学がだんだん難しくなる。
展開とか因数分解とかその応用問題も乗り越えてきたけど
平方根が分からないよ・・・
清水音羽
「ええ?!ちがうの?!意味わかんない!!」
解説見ても意味わかんない。
youtubeで授業動画見直してもその動画でやってる計算が簡単すぎて宛にならない。
清水音羽
「有理化からやり直そうかな。」
南沢胡桃
「大丈夫・・?」
清水音羽
「ああごめん。五月蝿かったよね。」
問題に夢中になりすぎて胡桃の存在を忘れてた。
学校から帰るときにマンションですれ違って
一緒に勉強することになってたんだ。
清水音羽
「なんか難しい問題に出くわすとヒステリックになるものでさ・・」
南沢胡桃
「何となくわかる。それでどこがわからないの?」
清水音羽
「平方根の掛け算と割り算」
南沢胡桃
「それは有理化さえ出来ればいけるんだけど・・とりあえず戻ってみようか?」
清水音羽
「うん。・・分母のルートを掛けて・・」
わたしは有理化の問題を解いた。
南沢胡桃
「約分するときはルートと整数を一緒にしちゃダメだから気をつけてね?違う世界の数字だから。」
清水音羽
「丸付けしてみたけど有理化は出来てるみたい。」
南沢胡桃
「そっか・・じゃあ何で躓いてるんだろ・・ちょっと見せて。」
清水音羽
「うん。ここなんだけどね。」
わたしが何度も間違えてる問題を指差すとスマホの着信音が鳴り響いた。
南沢胡桃
「ごめん。わたしのだ。ちょっと待っててね?」
わたしが「分かった。」と言うと胡桃は部屋から出て廊下で話し始めた。
南沢胡桃
「はい・・はい・・・えっ・・でも・・いや、・・なんでもありません。分かりました。」
電話が終わると胡桃は「ごめんね」と言い
部屋のドアを開けた。
南沢胡桃
「用事出来ちゃったの。」
清水音羽
「いまから?」
夜の9時過ぎなのに。
南沢胡桃
「明後日からゴールデンウィークだから荷物まとめてこっち来いってお母さんがね。明日学校あるけどあっちからのほうが近いし。」
清水音羽
「そういえば一人暮らしだっけ?珍しいよね?中学生なのに。」
南沢胡桃
「まあね・・・本当にごめんね?」
清水音羽
「大丈夫!一人で考えるよ!ゴールデンウィーク楽しんでね!」
それからしばらくしてまた勉強をはじめたが・・・
清水音羽
「やっぱり分かんないよ!!ああ。眠い・・でも予習おわらせないと・・・」
――――――(次の日)
結局終わらなかった。
白澤光輝
「こんにちは。」
清水音羽
「どうも・・」
また白澤先生か。
最近多いな。
今日は詰んでるわ。
またダメダメ時代に戻るか・・・
白澤光輝
「あれ、・・もしかしてこれひ●らし?!」
清水音羽
「ああ。はい。」
白澤先生は私が授業前に読んでいた本を見てそう聞いた。
白澤光輝
「怖くて苦手なんだよね・・」
このひとひ●らしガチ勢敵にまわしたな。
清水音羽
「確かにグロシーン多いですけど感動モノですよ?わたしひ●らしのアニメ全部見たことあるんですけどグロシーン多めの話のあとの解をみるとけっこう感動したりして・・・」
ああ。やばい。
これ知らない人だと私の言ってること分からないぞ。
白澤光輝
「知り合いが勧めてきたんだけどなんかで女の子殺すシーン見てから怖くて見れなくなっちゃって・・」
清水音羽
「バットですね。それは鬼隠し編です。でももっとグロシーンありますよ?目明し編の・・」
白澤光輝
「ああ!やめて!よくそれ見て平気だよね?夜寝れなくならないの?」
清水音羽
「いいえぐっすりです。でも剥がす瞬間に目を瞑ったりはしますけど・・」
白澤光輝
「見ようともしないね。ひ●らしいつ知ったの?」
清水音羽
「去年youtubeをボケーッと見てたらひ●らしのシーンがあってそれが面白くて色々調べたんです。」
白澤光輝
「なるほどね。」
そして授業が始まった。
「えー!全然わかりません!」
白澤光輝
「えっと・・まずはね・・」
白澤先生は他の生徒を教えるのに夢中だ。
それにかなり時間が掛かってる。
「はい残念不正解!1ページ追加ね!」
塾長が担当のブースだ。
「えー!やばい!」
「あー!死ぬー!」
悲鳴が聞こえる。
どうしようかな。
白澤光輝
「きょうは宿題の間違い直しに時間掛かっちゃったけどゴールデンウィークの宿題はどうする?復習する?それとも進んどく?」
「数学は進められる自信がありません。復習しときます。」
白澤光輝
「分かった。じゃあどこからにする?」
「ここまでで・・」
白澤光輝
「分かった。分からないところあったら聞いてね?それじゃ清水さんは?」
やっぱり自分に厳しくしなきゃね・・・
清水音羽
「ここから・・ここまでで。」
白澤光輝
「えっ・・ちょっ・・多すぎない?!」
数学は10ページほどだ。
平方根の計算から二次方程式の最初まで。
ここまで出来ればペースはかなりいい。
ここ最近みんなに追いついてきてるし。
むしろ追い越しちゃうレベルだ・・・
清水音羽
「大丈夫です!!」
白澤光輝
「そ・・そう。」
そして次の時間は英語だ。
数学は追いついてきてるけど英語はやばい。
かなり遅れてる。
進みが遅い方の人でも私より10ページは進んでる。
白澤光輝
「宿題どうする?数学多かったけど・・」
清水音羽
「じゃあここからここまでで。」
白澤光輝
「え?!・・本当に大丈夫?!」
清水音羽
「大丈夫です!!進み遅いから頑張らないと・・・」
白澤光輝
「無理しないでね?・・・」
英語は26ページほどだ。
でもunitの間に英作文とかletsleadとか学校の授業でやらないやつあるからページ数多くても数学とそんなに変わらない。
頑張ろう。




