34話
少し時間を逆上って・・・
「あーもう!・・だからこれを連立して・・」
清水音羽
「連立したんです。・・・だけど計算ミスして・・」
「え?まさか連立方程式解けない?この時期で?」
清水音羽
「・・・・」
担当する先生によっては優しく教えてくれる人もいるけど
中には教え方がキツい先生もいる。
「これおかしくない?なんでプラスなの?そしたら消去出来ないじゃん。」
清水音羽
「・・・分かりません。」
――――――(二週間後)
夜の10時頃
お風呂から上がり寝ようとした時だった。
清水音羽
「こんな時間になんなんですか!」
焦った様子でアリスの居場所を聞いてきた。
わたしは平然と思い当たる場所を答えた。
清水音羽
「夜の10時ですよ?!家にいるんじゃないですか?!それとも塾の帰りとか。」
内村陽大
「家にも塾にもいないの!今日一度も塾に来てないの!!」
なんだそれ・・
清水音羽
「はあ?!なんですかそれ!」
その途端に胸騒ぎがした。
まさか・・・
清水音羽
「わたしアリスにLINEします!!」
やったか?やったのか?
そんな馬鹿な・・・
清水音羽
「お願い出て・・」
私もかなりパニックになっていると
清水音羽
「アリス!!」
着信音が消えて静かな環境音が聞こえてきた。
真城アリス
「●●・・・●●●●●●●」
清水音羽
「え?・・・」
真城アリス
「●●●●●」
清水音羽
「どうして?!・・何があったの?!」
真城アリス
「●●●●●●●●●●●・・・●●●●●●・・●●・・」
そのまま通話は切れた。
清水音羽
「先生救急車呼んで!」
内村陽大
「え?!」
清水音羽
「いいから呼んでよ!!アリスが死んじゃうよ!」
その日は一睡も出来なかった。
内村陽大
「・・・・アレルギー反応みたい。生命に別状はないけど症状が重くて入院中」
嘘だということはすぐに分かった。
清水音羽
「・・・そうですか。」
そして本当の理由は伝えられないままアリスは入院した。
――――――(二週間後)
大石大地
「・・・元気?」
清水音羽
「・・・なんで?」
春休み間近のことだった。
クラスに女友達がもともとアリスしかいなかったため昼休みに話したりする友達も一緒に帰る友達もいなくなっていた。
大石大地
「ほら、もう二週間じゃん?よほどアレルギーの症状重いのかな・・・」
清水音羽
「・・・・」
音羽は何も言わずに両手で勢い良く机を叩き大地を睨みつけた。
大石大地
「ごめん・・なんでもない。」
それから私たちは二度とアリスのことに関しては話さなくなった。
清水音羽
「・・・・」
そして春休み・・・
「えっ・・展開でここまで躓く?」
春期講習が始まった。
清水音羽
「・・・」
分からない。
なにこれ・・・
「ちゃんと公式覚えて?ってか。なんで2Xなの?二乗でしょ?」
何この公式・・意味わかんない。
周りからの視線が痛い。
悩んでるうちに授業終わりのチャイムが鳴った。
「ちゃんと間違えたところ完璧にしておいてね!三年生なのにヤバイよ!」
悪いのは教え方じゃなくて私自身だ。
例題見てすぐ問題解けるほどわたしは賢くない。
テキストの進みも他の人より遅れてる。
春休み中に挽回しないと・・・
もうみんな因数分解まで進んでるか。
なら次の授業は二日後だからその日までに最低でも展開は片付けよう。
その為には予習をするんだ。じっくり問題と向き合う時間が欲しい。
清水音羽
「ああ!イライラする!!」
夜の七時頃
問題がわからなくてイライラしてペンをノートに叩きつけてた。
清水音羽
「えっと置き換えて・・・展開して・・戻して・・ああ。丸付け面倒くさい。・・お!合ってる!」
やった。自力で数学解けた。
嬉しい・・・次の授業でスラスラ解いてドヤ顔してやる!
――――――(二日後)
塾の教室に入り席を確認した。
今日の担当講師は・・・
白澤光輝
「こんにちは。」
清水音羽
「どうも・・・」
お喋りな人だ。
時々当たってたりはしてたけど・・・
こういう時こそ嫌味な人に当たらないんだよな。
その日は授業が始まるとさっさとノートとワークを開いて問題に取り掛かった。
この2日間で6ページ予習したからこの授業内で終わらしてしまおう。
「先生ここ分かんない!」
白澤光輝
「どれ?・・ああ。これはね」
先生は他の人に教えていた。
わたしは時間を見ながらワークの問題を進めていた。
これちゃんと終わるかな。
白澤光輝
「清水さんわからないところある?」
清水音羽
「いいえ。大丈夫です。」
しばらくしてから何の質問もしてない私に聞いたのでわからないところがなかった私はそう言って進めていた。
そしたらあっという間にチャイムが鳴った。
やばい。こんな日初めてだ。
自分で解いた・・・しかも数学
なにこの快感・・・気持ちいい。
白澤光輝
「清水さん今日は進みが早いね。そうだ。志望校調査の紙出した?」
清水音羽
「まだです。」
志望校・・・書いてしまうか。
あそこを・・・
これから一年間きっちり追い込んで・・・あそこの高校に行けたら・・




