32話
「殺してやるよ!!●●●なんか殺してやる!!」
「痛い!痛い!痛い!痛い!イタイイイイイイイイイイイイ!!!」
辺りに血が飛び散り
身体には蒸気を逸した痛みが襲いかかっていた!
「ピーピーピーピーうるせえんだよ!!」
―――――――(五時間前)
清水音羽
「あの背高くてゴツくて茶髪な人でしょ?」
大石大地
「そうそう!」
清水音羽
「なんかお喋りな人だったよ。あと大地が解答欄ずらしたこと言ってたよ。」
大石大地
「あのひと口が軽いの。」
いつものような放課後だった。
私はカバンに教科書を入れていれながら大地と話していた。
清水音羽
「へぇ・・でもおもしろい先生だよね。」
大石大地
「そうそう!」
真城アリス
「うちは頭の堅い先生しかいないからねー。」
清水音羽
「塾の先生ってそういうイメージなんだけど。」
大石大地
「こっちは色んな先生がいる。」
清野琢磨
「たいちー!今日は外練だって!」
大石大地
「マジで?!面倒くさ!」
大地はブツブツ言いながら教室を出た。
真城アリス
「今日塾で面談があるんだよね。ほんと面倒くさい。」
清水音羽
「なんの面談?君のレベルだと●●高校だな!とか?」
二人は一緒に帰って喋っていた。
真城アリス
「まあそんな感じかな。親は来ないで先生と生徒で話すの。」
清水音羽
「そういうの考えたくないな。私の場合は高校行けるかどうかも怪しいし。」
真城アリス
「オール3取れればどっかしらの高校には行けると思うけど。」
清水音羽
「だって全教科50点以上取らなきゃいけないってことでしょ?」
暗記教科ならギリいけるけど数学と英語は無理
真城アリス
「ちょっと頑張れば取れるよ。オール3だったら私立だと桜宮高校かな。うちらが通ってる近くの高校で特進だとオール4くらい。」
清水音羽
「あそこ制服かわいいよね!ネクタイとかリボンの柄とか。ブレザーだし高校生って感じ!」
真城アリス
「内村先生の母校だよ。」
清水音羽
「そうなの?!でもやっぱり私立って学費高いし公立がいいわ。アリスだったら夏目いけちゃうよね。いま同居してる人も夏目高校なの。」
真城アリス
「・・・ああ。引っ越したんだっけ?でも夏目はキツイかな。受かったらエスカレーターで大学いけちゃうから気抜けるし。」
清水音羽
「じゃあ清嵐行って東大?」
真城アリス
「清嵐なら頑張ればいけると思うけど。大学受験は分からない。」
清水音羽
「アリスなら高校選び放題だよね。」
真城アリス
「・・・音羽は自分の学力無視したらどこの高校行きたい?もし入試で満点取れたりしたら。」
清水音羽
「そりゃ楽しい高校がいいよね。校則が緩くて行事が賑やかでガラの悪いやつがいない・・・」
ほとんどの進学校はそれに当てはまってるけど
自分じゃ絶対に行けない。
真城アリス
「この時期だと行けるとこじゃなくて行きたいとこ目指すものだと思うんだよね。むかし二年のこの時期でオール3なくても頑張って清嵐行けた人だっているし。まあオール5でも落ちる人いるけど。」
清水音羽
「・・・・」
音羽は何も言わずに歩を進めた。
真城アリス
「じゃあまた明日ね!」
道が分かれるとアリスはそう言って私に手を振り
私も手を振り返した。
清水音羽
「行きたいところね・・・」
ネットで見る体験談とかドラマとかで偏差値めっちゃ上げて受かりました。
みたいなの見るけど現実でそんなことありえるのだろうか。
ネットは嘘まみれだしドラマは所詮作り話
もし出来た人がいてもその人の自頭が良いだけ。
清水音羽
「・・お!」
南沢胡桃
「ああ。音羽ちゃん。今帰り?」
マンションの中へ入りエレベーターを待っていると後から胡桃が来た。
あれ以降マンションですれ違う度に話したりしている。
今はお互いに制服姿だった。
清水音羽
「六時から塾なの。だから帰ったら宿題やらなきゃいけなくて。」
南沢胡桃
「塾か。わたしは塾行ってないから独学で勉強しなきゃいけなくてね。」
清水音羽
「栄華女なら塾行く必要なさそうだよね。」
南沢胡桃
「まあ私立だからね。生徒の学力のめんではしっかりとしてるかな!教え方下手な先生いるけど。」
―――――(真城家)
真城アリス
「ただいま。」
アリスはいつものように玄関でそう言ったが母の返事がなかった。
今日は休みだと言っていたのに。
真城アリス
「お母さん?」
アリスは気になってリビングへ向かうと机の上に書き置きが置いてあるのを見た。
内容は「急に仕事が入って帰りは遅くなるから冷蔵庫にあるものを温めて食べてね。」との事だった。
アリスがソファーの上に座ってボーッとしていると廊下から足跡が聞こえた。
真城アリス
「早かったね?遅くなるんじゃなかったの?」
アリスがソファーから立ち上がりリビングのドアを開けると・・・
真城アリス
「あっ・・・あんた・・」
「あいつはいねえか。ならちょうどいい。こっち来い。」
目の前にいたのはアリスがこの世で1番嫌いな父親だった。
真城アリス
「いやよ!!あんたの顔なんか一秒も見たくないのよ!!」
「うるせえな!ちょっと黙らせてやるよ!!」
そう言ってアリスに殴り掛かってくるとアリスはその手から避けて男の背後に行き
背中を思い切り蹴った。
「はあっ?!・・」
男が転ぶとアリスは男の腹部を足で踏みつけた。
真城アリス
「子供だと思ってなめないでくれる?」
「・・・・・クソッ・・」
男が悔しそうにアリスを睨みつけアリスはポケットからカッターを取り出すと・・・
真城アリス
「・・・キャッ!!」
「そっちこそ油断してんじゃねえよ!!」
男はスッと立ち上がりアリスの両手首を力づくで掴み
アリスはカッターナイフを落とした。
「ふうん・・・なるほどね。」
男は気味の悪い笑みを浮かべ・・・
真城アリス
「ガハッ!!・・」
アリスの腹部を蹴りアリスはあまりの痛さに意識を失った。
「・・・所詮はガキだ。」




