27話
坂下真理亜
「冗談ですよ。何ですか?」
内村陽大
「正月に俺の兄の家に身内が集まるんですよ。俺も行かなきゃいけないんですけどその兄の娘に超嫌われてるんです。」
坂下真理亜
「じゃあ行かなきゃいいじゃないですか。仕事溜まってるとか言って誤魔化したりして。」
内村陽大
「絶対行かなきゃいけないんです。」
坂下真理亜
「嫌われてるなら話さなきゃいいじゃないですか?ちなみにその子いくつなんですか?貴方の兄の子供ならそこまで歳いってないでしょ。」
内村陽大
「それが一番めんどくさい年頃で14なんですよ。ちょっと複雑なんですけど俺の兄の結婚相手はバツイチ何です。兄は30なんですけど。」
坂下真理亜
「あなたその子になにかしたんですか?」
内村陽大
「何もしてないのに嫌われてるから困ってるんです。お盆に会ったんですけどまあ生意気で口を開けばロリコンクソ教師!とかお前なんか一生独身だ!とかキモいからこっち見んな!とか言ってくるんですよ。」
坂下真理亜
「・・・・」
――――――(清水家)
清水音羽
「ごめん。わたしゲーム詳しくないの。」
一瞬すごくヒヤッとした。
真城アリス
「・・・・・」
ケーキを切るのに使うナイフをアリスが殺気に満ちた表情でスポンジを使って磨いていた。
清水音羽
「なんで?!だれ?!」
真城アリス
「ごめんね。クリスマスにこんな話しちゃって・・・でも・・」
アリスは話し始めると涙目になっていた。
清水音羽
「・・・・何があったの?」
アリスは私の大切な友達だ。
私が困った時は助けてくれた。
優等生の模範少女であるけど彼女は自分の悩みを抱え込んでる感じがする。
真城アリス
「10年前に逮捕された父親が一ヶ月くらい前に帰って来たの。」
清水音羽
「お父さん何やらかしちゃったの?」
真城アリス
「連続殺人」
清水音羽
「うっわ!」
真城アリス
「自分の旦那と言えどそんなことやらかしたら拒絶するでしょ?!それなのに母親は他の人と再婚する気無しであの人を家に入れてるの。とはいってもいないことの方が多いけどね。いても部屋はだいぶ離れた地下室にいるの。だから合うこと少ないの。」
清水音羽
「わあ金持ち・・アリスはその人のことが憎いの?」
真城アリス
「憎くて憎くてたまらないの!!お母さんは私がどんなにいい成績取っても部活で勝ってもお手伝いしても愛想笑いしかしなかったのにあいつには心から笑ってる!!それが憎いの!!私の存在価値なんかないじゃん。」
初めて荒ぶるアリスに若干恐怖を感じた。
清水音羽
「なんで愛想笑いかそうでないかの区別なんて・・・」
真城アリス
「普通にわかるレベルだよ?」
清水音羽
「でも犯罪者でも自分が恋愛して結婚した相手だよ?今も好きなんじゃないの?アリスは娘でしょ?一緒にいる時間ももしかしたらあの人のほうが長かったのかもしれないし。」
真城アリス
「それが嫌なの。なんか私なんかどうでもいいのかなって思えてきちゃって。」
清水音羽
「よく母親にそんな感情もてるよね?わたしなんかお互いに死んでほしいと思ってるよ。ごめん。関係無かった。」
真城アリス
「それはそれでおかしい気がするけど。」
清水音羽
「私の場合は母親がおかしくて父親は逃げちゃったから。でもわたし父親も大嫌い!!さっさと家出て自立して自分の為に生きていきたい!アリスは親孝行し過ぎなんだよ。なんでそこまで母親に固執するの?」
真城アリス
「・・・・」
―――――(職員室)
坂下真理亜
「嫌いな人には話しかけないと思うんですけど。」
内村陽大
「普通はそうですよね?でも嫌いな人に暴言吐く人もいるじゃないですか。」
坂下真理亜
「ちゃんと叱ってますか?」
内村陽大
「それが出来ないんです。」
坂下真理亜
「なんでですか?そんなんだからロリコンって言われるんですよ?」
内村陽大
「俺はロリコンじゃありませんからね!」
坂下真理亜
「だったらハッキリ言えばいいじゃないですか。お前のその暴言も俺にとっては耳障りだから話しかけないでくれない?俺もあんたの顔なんか見たくない。って」
内村陽大
「もっと優しい言い方ないですか?」
―――――(清水家)
清水音羽
「あまりにも嫌われすぎてるなら考えものだけどそうではないんでしょ?」
真城アリス
「・・・そうだよね。ハハッ!なんか馬鹿みたい。ごめんねビックリさせて。そう言えばあと何分で焼けるかな。」
清水音羽
「・・・・」
あんなに感情的になってたのにそう簡単に納得するわけ無い。
たぶん「こいつに相談しても無駄だ」と思ったのだろう。
ごめん。アリスの役には立ちたいと思ってたけど私には今のアリスの気持ちが理解できない。アリスは家族が大切かもしれないけど私にとって家族はどうでもいい存在だから。
真城アリス
「すごい!なんかいい感じ!焼けるの楽しみだな!」
アリスがそう言うと家の電話の音が鳴り響いた。
音羽は電話番号を確認すると無視して皿を出した。
真城アリス
「出なくていいの?」
清水音羽
「見たことない番号だよ。たぶんお母さん関係の人でしょ。」
しばらく鳴り響いたが切れた。
するとまた鳴り始めた。
確認するとまた同じ番号だった。
そしてまた数分鳴り
また鳴り始めた。
清水音羽
「しつこっ!!」
音羽はイライラしながら電話に出た。
清水音羽
「はいもしもし?!・・・・・・え?・・はいわかりました。」
急に声が小さくなった。
そして表情を曇らせて受話器を置いた。
清水音羽
「ごめん。急用が出来た。本当にごめん!!いつか埋め合わせするから!」
真城アリス
「えっ・・あ、うん。どうしたの?!」
音羽が焦りながらキッチンから出て出かける支度をしたのでアリスも荷物を持って帰る支度をした。
清水音羽
「・・・・・」




