20話
大石大地
「どうだった?」
清水音羽
「今日は何もされなかったよ。」
内村先生と坂下先生が口論してるのと同じ時間帯
二人は家にいて電話していた。
大石大地
「そう。・・今日俺ら先生に呼ばれたじゃん?いちおう誤解は解けたみたい。音羽は何聞かれた?」
清水音羽
「怪我の事とかかな。でも何も話さなかった。」
大石大地
「なんで・・?仕返しされるのが怖いの?あの先生たちなら大丈夫だって。」
清水音羽
「別に普通の先生じゃん。・・・前にも言ったでしょ。教師って信用出来ないの。」
しばらく沈黙が続き
お互いに何も話さず通話終了ボタンを押した。
―――――――(次の日)
大石大地
「って言ってたから音羽と話すだけ無駄だと思います。」
今は昼休み
今日は大地から話しかけてきたので昨日と同じく学年室にいた。
内村陽大
「まあそんな気はしてたかな。でもあいつの為にもこのままじゃマズいし。」
大石大地
「だから内村先生に相談してるんじゃないですか。」
内村陽大
「そうだよな。でもなんで俺に?昨日清水といたのは坂下先生なのに。しかも担任だよ?」
大石大地
「たまたま廊下でボケーッと歩いてたら内村先生がいたからです。」
内村陽大
「あ、・・そう。でも清水ってさ。教師は信用してなくてもお前のことは信用してるんじゃない?」
大石大地
「・・・それは・・どうかな。」
大地の反応は自信なさ気な感じだった。
内村陽大
「でも仲良くない?よく話すし。あいつが話す男子ってお前くらいだよ?」
大石大地
「席が隣だから話すことが多いだけですよ。あいつにはもっと仲いい友達とかいます。俺なんかよりずっと頼れる人がね。だからそいつ・・アリスに思い切って相談してみれば?って言ったんですよ。そしたら音羽はそんな話信じるわけ無いって。」
内村陽大
「まあ鈴木って外面がいいから現場を見たお前じゃなければ信じ難いな?」
清水がそう思うのも無理はない。
鈴木の外面がいいのもそうだけど同じ学校の人が転入先も同じなんてことからもう胡散臭い。
清水音羽
「・・・・」
学年室のドアの前で二人の話を聞いていた音羽はその場から去り
教室の中へ入った。
「ごめんね。わたしだっていじめられるの嫌だし。」
「今までごめん!でも気づいたの・・自分の友達が辛い目に合う方がつらいよ。」
「ふざけんな!!」
同じ運命にあいたくない。
―――――(放課後)
鈴木伊緒
「この前はよくも逃げてくれたな!さっさと貸せよ!」
学校から帰る通学路で伊緒に捕まった。
この前と同じ場所だ。
どうしてこんな目ばかりに合うのだろう。
鈴木伊緒
「聞こえねえのかよ!!」
大石大地
「いい加減にしろ!!」
伊緒が音羽の耳元で怒鳴ると誰かが怒鳴ったような声が近くで聞こえた。
それはすごく聞き覚えのある声だった。
清水音羽
「たい・・ち・・」
大地は殴ろうとした伊緒に体当たりして転ばせた。
鈴木伊緒
「またテメえかよ!毎度毎度ジャマしやがって!」
伊緒は立ち上がって大地の頬をビンタした。
音が響いて大地の頬は赤く腫れた。
清水音羽
「大地!・・」
音羽は大地に近づこうとしたが伊緒が音羽を突き飛ばして転ばせた。
大石大地
「痛い・・」
大地は叩かれた頬を抑えて痛みに耐えるようにそう言った。
大石大地
「毎回そういうことコイツにやってたんだ?本当にクソ野郎だな。なんの恨みがあってそう言うことするんだよ!!」
大地は伊緒を鋭く睨みつけ怒鳴るように言った。
鈴木伊緒
「だって目障りなんだもん。そういう人は虐めたくなるじゃん。いつもビクビクしてさ。お前だってコイツと初めてあった時ビクビクしててウゼーなとか思ってただろ?」
大石大地
「・・・・」
大地は何も言わず伊緒の頬を叩いた。
鈴木伊緒
「テメェ!!」
伊緒がキレて大地を蹴り飛ばして上に乗り掛かって髪の毛を引っ張るように掴むと大地は痛みに耐えながら足をばたつかせて暴れたが体格差があって伊緒はビクともしなかった。
清水音羽
「やめて!!」
音羽は教科書がドッサリと入ったカバンで伊緒の顔を殴り伊緒が痛がっている隙に大地は抜けだし音羽を連れてこの場から走って去った。
そして少し離れて人気のある場所で止まった。
清水音羽
「ほっぺた大丈夫?」
走って息を切らしたので呼吸を整えてから大地に聞いた。
大石大地
「じんじんする。家帰ったら冷やしとくよ。それよりさっきお前すごかったぞ。」
大地が少し笑ってそう言った。
清水音羽
「なんかね・・でもあんなことしたら大地ヤバイよ。」
大石大地
「別にいいよ。俺はお前と違って力あるしビクビクしないし。お前が何もされなければね。」
清水音羽
「・・・・」
大石大地
「あのさ、教師は信用出来ないって言ってたじゃん?前の学校でどんな嫌な目に合ったか知らないけど内村先生たちは前の学校の先生じゃないじゃん。」
清水音羽
「だから信用してみろって言いたいの?」
大石大地
「ああ・・そうだよ。」
清水音羽
「それは無理」
即答した。
大石大地
「なんでだよ。てか何されたらそう思うようになるんだよ。お前は前の学校であいつにどんなことされてきたんだよ。」
清水音羽
「・・・話しちゃっていいの?たぶん聞き終わったあとにはドン引きしてあいつの顔見るだけで恐怖だよ?」
大石大地
「え、逆に聞いちゃっていいの?てっきりそれは答えられないって言うのかと思った。」
清水音羽
「なら最初から聞くな。わけわかんない奴だな・・でも聞く覚悟あるなら・・」
大石大地
「・・・・聞かせて。」
清水音羽
「分かった。とりあえず話し長くなるから帰ろ。帰ってLINEするから。電話とメッセージどっちがいい?」
大石大地
「文読むのかったるいから電話で。」
清水音羽
「わかった。」




