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タイトル無し  作者: ルル
15/75

15話 

「どんどんあの子が壊れていく気がするの。」


もう飽き飽きするほど聞いた。


勉強熱心なのは自分の為ではなくて親のため

犯罪者の妻という汚名を返上するには娘が完璧で無ければならない。


完璧な人間ってなんだ。

そんな人間がいるわけ無いだろ。


―――――(真城家)

 

清水音羽

「ちゃんと寝なさいよ!」


この日の放課後

音羽が学校で配布されたプリントを渡しに来てそのついでに部屋に上げた。


清水音羽

「よくそんなに起きてられるわ。」


真城アリス

「追い込まれるとそうなるよ。音羽も来年わかると思うけど。」


清水音羽

「わたしは自分の身の丈にあった高校を受験するつもりだから。」


なんて気楽な人なんだ。


清水音羽

「あ、リンゴあるじゃん。」


真城アリス

「ああ。食欲無いからそれだけ剥いて食べようかなって。」


音羽がベッドからすぐ近くのテーブルの上を見ていった。


清水音羽 

「じゃあ。わたし剥こうか。ご丁寧に果物ナイフもあるみたいだし。」


「あんたに出来んのか。」とは口が裂けても言えずに

 

真城アリス 

「じゃあお願い。」


清水音羽

「その前に手洗ってきていい?」


真城アリス

「洗面所なら階段の下の右の部屋にあるよ。」


音羽は手を洗いに行き部屋に戻るとリンゴと果物ナイフを持って皮を剥き始めた。

 

普通に剥くの上手だ。

皮を剥いてて果肉を殆ど削ってない。


真城アリス

「器用だね。」


清水音羽

「こういう系は出来るんだ。」


そして順調に皮を剥いて綺麗に切って皿に盛りつけた。


真城アリス

「ありがとう。一緒に食べよ?」


―――――(次の日)


清水音羽

「もう体調大丈夫なの?」


真城アリス

「うん。ただの睡眠不足だからね。」


次の日の朝

二人はホームルームが始まるまで喋っていた。


「皆さん速報でーす!」


教室のドアを開けてクラスメートの一人が大きな声でそう言った。

何か大袈裟な言い方だけど、


大石大地

「えー!今日の数学が音楽になるの?!」


大地がネタバレをするとクラスの大半が歓声をあげた。


「違うな?!」


「大地テメェふざけんな!」

「期待させやがって!」


なんだよ嘘かよ。


大石大地

「冗談じゃん!勿体ぶらないで早く教えろよ!」


「一ヶ月後に転入生来るんだって!このクラスにだよ?!」


「え?!マジで?!」

「他のクラスじゃなくて?!」

「なんでこの時期?!」


時間割なんかよりもっと重大な報告だった。


真城アリス

「転入生仲間として仲良くなれるかもね。人によるかもしれないけど。」


清水音羽

「うん。そうだね。」


この時の自分は知らなかった。


―――――――(放課後)


真城アリス

「じゃあね!また明日!」


清水音羽

「うん!また明日ね!」


二人で下校して途中の道で別れてしばらく歩くと


真城アリス

「あっ・・!」


通りすがりにあの男の人に会った。

前は動揺して顔をよく見られなかったけど。


向こうもこちらを見ていた。

私に気づいたのか・・


「・・・お前もあいつと同じかよ。」


私をしばらく鋭く睨みつけて歩き始めた。

父親の娘に対する態度とは思えない。

まあしょうがないか。


なんで母さんはこんなのと結婚したんだろ。

育ちの良い母親と不釣り合いすぎる。

わたしには理解出来ない。


「お前、なんで自分の母親がこんなのと結婚したんだって思ってただろ。」


こっわ・・・

このひと人の心読めるの?


真城アリス

「・・・」


わたしはビックリして何も言えず

ただボーっとしていた。


「図星だろ?なんで初対面みたいなもんなのにあんたの考えてること分かるか教えてやろうか?別に俺がすごいって訳じゃねえよ。俺はあんたの母親と何年間も一緒にいたから大体考えてることとか分かるんだよ。」


意味が分からない。

母さんは母さんでわたしはわたしでしょ。


「あんたはあんたじゃない。昔の愛だ。あいつとなにも変わらない。今のあんたなんか生きている意味無いんだよね。」


真城アリス

「貴方にそんなこと言われる筋合いはありません!貴方が捕まってから母がどんなに辛い思いしてきたか分かってるんですか?!犯罪者の妻という汚名を着せられて・・・」


「ほんと人の心わからない奴だな。アンタはあいつが犯罪者の嫁って言う汚名を着せられたから苦しんでると思ってんの?」


真城アリス

「だってそうじゃないですか。私なにも間違ったこと言ってません。」


「人の心を読むのは勉強みたいに簡単じゃねえんだよ!」


男の人は大きな声で怒鳴るようにそう言った。

人気のない場所だから目立たなかったが私は全身が震えるように感じた。


真城アリス

「あなたが何を言っているのか分かりません!」


「アンタは俺のこと知らなくても俺はアンタのこと知ってんだよ。あいつは何年間も飽きずに俺に面会してお前の事を話すからなあ。」


真城アリス

「・・・じゃあ私の気持ち分かりますよね?あなたがあんな事しなければこんなことにはならなかった!!全部あなたのせいです!!」


もう自分で何言ってるのかわからない。

これじゃあタダの八つ当たりじゃない。


「子供ってのは親に迷惑かけるもんなんだよ。あんた親に迷惑かけてないって自信を持って言える?・・あんたの生活費は誰が出してる?あんたは誰の金で塾に通ってる?親の金だよな?迷惑かけないなんて無理なんだよ。」


真城アリス

「・・・・」


「親不孝者になりたくなかったらもっと自分を大切にしろ。」


そう言ってあの人はこの場から去った。


真城アリス

「わたしは・・・わたし・・」













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