14話
いつからだろう。
自分は完璧な人間で無ければならないと思い込み始めたのは・・・
真城アリス
「・・分からないな。」
アリスは机に向かいノートとテキストを広げ持っていたシャーペンをノートの上に叩きつけた。
真城アリス
「こんなんじゃ駄目だ・・」
滑り止めの清嵐高校なんてA判定取って当たり前
私の目標は県内一位の進学校の国立夏目大学附属高等学校だ。
中1の頃から高校の情報を調べ上げて自分の将来の為になるような学校だから目標にした。そこに受かれば大学受験しないで就職について周りより早く勉強していい会社に就職出来ると思ったから。
万が一落ちてしまっても清嵐高校なら安定するはず。
私立なんかごめんよ。学費高いし。
真城愛
「アリスー!ご飯できたよ!」
階段の下から自分を呼ぶ声が聞こえたので私は自分の部屋を出てリビングへ向かった。
―――――(リビング)
真城愛
「お母さん明日から出張なの。三日は帰ってこれないかな。」
真城アリス
「そう・・」
わたしの母親は高学歴で給料の高い会社で働いている。
だから母子家庭でも生活にはそんなに困ってない。
真城愛
「ご褒美にこれアリスにあげるよ。」
そう言って母親が差し出したのは最近流行ってる映画のチケットだ。
真城アリス
「2枚あるよ?」
真城愛
「会社の上司にに誘われたんだけど断ったの。そしたら貴方が行かないなら僕も行きませんって言われて・・」
男の人だ。
言動からして母親に気があるんだ。
真城愛
「わたしにはあの人だけだから気が進まないのよね。」
母の言葉でまた胸騒ぎがした。
真城アリス
「じゃあ友達と行ってこようかな。ごちそうさま。」
アリスは食器を片付けて自分の経屋に戻った。
真城アリス
「・・・」
わたしの父親は私が幼い頃に殺人犯として逮捕された。
それも一人だけではなく何人も殺してきた。
そのとき母親はかなり悲しんでいた。
私の前では平然を装っていたけど夜中に毎日のようにすすり泣く声が聞こえていた。
母親を悲しませたくない。
母親に迷惑をかけたくない。
だから私はしっかりしなければならない。
勉強でも部活でもキチンとした成果を出したい。
だから毎日死物狂いで勉強してるし
部活だって誰にも負けたくないから頑張って自主トレしてる。
必死に努力して成果を掴むことはとても楽しい。
達成感がたまらない。
それなのに
勝手に涙が出るほど辛いのは何故だろう。
―――――(次の日)
清水音羽
「え?!これくれるの?!」
真城アリス
「うん。お母さんに貰ったの。来週の土曜日開いてるかな?」
清水音羽
「うん!開いてるよ!」
やっぱり頑張り過ぎなのか。
少しは遊ぼう。
そしたら疲れが取れて勉強にも集中出来るはず。
きっと・・・
清水音羽
「え?!・・ちょっとアリス!」
なんだか意識が無くなってきた。
目の前が真っ暗になる。
――――(保健室)
真城アリス
「・・・・」
ここは、学校の保健室?
坂下真理亜
「あら、目覚めたみたいね。あなた寝なさすぎなんじゃないの?」
保健室のベットの横に担任の坂下先生がいた。
そう言えば最近は忙しくて夜中に寝ることが多い。
多く寝れて5時間くらいで昨日なんか3時間しか寝れなかった。
そりゃ疲れるの当たり前か。
でもしょうがない・・・
坂下真理亜
「この状態で授業受けても悪化するだけだから帰りなさい。・・それと」
真城アリス
「・・・・」
坂下真理亜
「もっと自分勝手になりなさい。」
真城アリス
「え・・・」
何言ってるの?
坂下真理亜
「どうせ無理して勉強したんでしょ。模試なんてこれから沢山受けるし今が良くても下がることだってあるのよ。トップ校に行けば行くほどね。そんな時にいちいち神経質になってたら頭おかしくなるわよ。」
この人なんでそんなこと知ってるの?
むしろ怖いレベルよ。
真城アリス
「そんな気楽になれるほど余裕じゃないので。」
そう言ってアリスは身体を起こした。
坂下真理亜
「まあ私があなたのする事につべこべいう気はないけど父親の事でコンプレックス持って周りの人間に自分だけは模範少女に見られたいがための努力だったら・・・」
真城アリス
「・・・もう・・黙ってくださいよ!!」
アリスは「もう」を小さな声で呟くように言い
「黙ってくださいよ!!」を怒鳴るように言った。
真城アリス
「分かってます。くだらない事くらい。でもそんな事をするしか私が生きている価値なんか無いんです。」




