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タイトル無し  作者: ルル
13/75

13話 

それからは同じ電車に乗るたびに話すようになったんだっけ。

それで高校卒業してから会うことなくなったけど去年の4月にこの学校で再会したんだ。


内村陽大

「今回のテストはかなりシンプルに作りましたよ。前回も前々回も平均点バカ低かったですから。」


坂下真理亜

「今回は取って欲しいですね。高校受験への内申関わりますから。」


二人は駅まで一緒に帰っていた。


内村陽大

「あれ、真城じゃん。」


真城アリス

「内村先生と坂下先生じゃないですか。」


通りすがりに生徒に出会った。


内村陽大

「もうすぐ試合だけど大丈夫?今日も休んでたけど。」

 

真城アリス

「ああ。すみません。ここ最近は休日も忙しくなってしまって。みんなの足引っ張らないようにするので。」 


内村陽大

「まぁ今日は真面目に練習しないで半分遊んでた人の方が多かったけどね。」


真城アリスはさいきん幽霊部員になりかけている。

それでも他の人と比べたら実力はかなりあるし

大会で毎回優勝してるのは彼女のお陰だ。


「すみません。」


二人が話していると後ろから声を掛けてきたのは


坂下真理亜

「はい。なんでしょうか。」


40代くらいの男の人だ。

前髪が長いし下向いてるから顔が見えない。


「七瀬駅って何処にあるか知ってます?」


真城アリス

「七瀬・・ですか?駅ならここからすぐそこの浜ヶ丘駅のほうが・・ち・・か・・」


アリスが説明してると急に本人の様子がおかしくなった。


内村陽大

「真城?・・」


「・・・」


何も言わずにボーっとしてるアリスに内村先生が話しかけても返事がない。


坂下真理亜

「・・・アリス?」


アリスは自分が持ってたカバンを手の力がスッと抜けたかのように落とした。


真城アリス

「・・・と・・う・・さ、」


アリスは勢い良く走って逃げるようにこの場から去った。


内村陽大

「あ・・おい真城!カバン!」


内村先生がアリスのカバンを持ってアリスを追いかけた。


その場いるのは道を聞いた男と真理亜だけになった。


坂下真理亜

「七瀬よりここから真っ直ぐ行くと見える浜が丘から行く事をお勧めします。それでは失礼します。」


「おい!テメェあいつの担任か?」


さっきの丁寧な口調と打って変わって乱暴な言葉遣いで聞いた。


坂下真理亜

「・・・・・」


――――――――


真城を追いかけ続けて随分遠くまで走った。 

ここは駅から離れた路地だ。 

なんでこんな所に・・・


内村陽大

「はい、忘れもの」


内村先生がアリスにカバンを渡した。


真城アリス

「ごめんなさい。」


アリスが謝ってそのカバンを受け取った。


内村陽大

「さっきはどうしたの?お前らしくもないくらい取り乱してたようだけど。」


真城アリス

「・・・・」


内村陽大

「まあいいや。危ないから早く帰れよ?」


そう言って内村先生はこの場から去った。  


――――――

 

「てっきりやべえ奴にでもなってるかと思ったけど教師なんて似合わねえ職につきやがったみたいだな。」


坂下真理亜

「いい歳こいてDQNの真似事ですか。娘さんと同じ血を受け継いでるとは思えませんね」


俺が真城と別れてそのままさっきいた場所に向かって歩くと

出会ったばかりとは思えないような会話をしていた。


―――――(浜ヶ丘駅)


なにがどうなっているんだ。

真城はあの男にあった途端に様子がおかしくなったし

坂下先生は苗字が同じ人以外は苗字で生徒を呼んでたのに下の名前で呼んでたし。

他の先生とかならたまに間違って呼ぶことはあるけどこの先生は一度もない。


内村陽大

「あのひと知り合いですか?」


坂下真理亜

「学生時代にだけ遊んだことあるだけです。」


学生時代?中学でも高校でも無さそうだし大学生の頃かな?


坂下真理亜

「それよりちゃんと帰したんですか?」


内村陽大

「真城ですか?なんか様子が変でしたよね。本人に聞いても黙っちゃって。」


坂下真理亜

「そりゃ10年ぶりに父親の顔見ればああなりますよ。」


内村陽大

「えっ・・・」


坂下真理亜

「見覚えありませんか?あの顔」


内村陽大

「・・・・ああ!」


坂下真理亜

「そういう事です。」


――――――(真城家)


真城アリス

「ただいま。」


真城愛(ましろあい)

「お帰り。遅かったのね。」


アリスが家に帰ってリビングへ向かうと母親がキッチンで料理をしていた。


真城愛

「なんか元気ないわね?疲れてるんじゃないの?」


アリスの母親の愛が元気なさ気のアリスの表情を見てそう言った。


真城アリス

「そうかな。それより今回の模試で清嵐高校A判定になったよ。」


真城愛

「すごいじゃない!でもこの時期から無理すると来年までもたないわよ?まだ二年生なんだから今のうちに遊んどかないとね。」


真城アリス

「大丈夫だよ。ちゃんと休憩もしてるから。」


真城愛 

「ならいいけど。・・・ご飯できたから運ぶの手伝ってくれる?」


真城アリス

「うん。」


ああ。

こんなこと話していいのかな。


真城アリス

「今日はちょっと豪華だね。」


真城愛 

「そうなの。お父さんもこれ好きなのよ。」


愛がそう言うとアリスは持ってた食器を手の力が抜けたかのように落とした。


真城アリス

「あ!・・ごめんなさい!」


真城愛

「大丈夫よ。これは私が片付けておくから休んでいなさい。あなた疲れてるのよ。」


真城アリス 

「・・・はい。」







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