10話
「あそこはいい肝試しスポットだよな。」
「今度一年にあそこ歩かせてみようかな。」
「えーっひど!なにか出たらどうするの?!」
俺と彼女が出会ったのは中学二年生の頃だ。
通ってた学校は今の勤め先の浜ヶ丘中学
内村陽大
「馬鹿馬鹿しい。そんなもんいるわけ無えだろ。」
クラスメートの話が盛り上がっていると本を読んでいた陽大が水をさすように小声で言った。
その頃の彼は暗くてなにか喋れば憎まれ口を叩くような少年だった。
「なんだ?内村!また水さしてきやがって。」
「超ウザいんだけど。」
当然そんなやつ嫌われる。
彼はクラスの大半の人間から好かれてなかった。
特にこのクラスの中で派手で一軍面のグループには嫌われていた。
「真理亜もそう思わない?!」
そのグループの中には真理亜も入っていた。
坂下真理亜
「さ・・さあ・・まぁ間違ってはないしそんなにバッシングするのは良くないよ。」
「あーもう!真理亜は優しいな!」
「本当にね。いい子すぎる。」
彼女は不良ばかりいるグループの中では真面目で
とても可愛くて優しくて彼女に好意を寄せる男子だって多かった。
内村陽大
「うざいだけだから。そう言ういい子ぶりこっこ。」
陽大が真理亜に嫌味のようにそう言うと真理亜は表情を曇らせた。
「なにあれひどー!庇った相手に対して!」
「今の聞いた?!」
それを聞いていたクラスメートたちが騒ぎ出した。
でも陽大が言ってることは間違ってはいなかった。
真理亜は陽大のことがみんなと同様に嫌いだった。
「あんな奴ほっとこ!それよりウチラも行ってみない?!」
「えー!やだ死ぬもん!」
「怖がりすぎっしょ。」
坂下真理亜
「でも中学生だけであんな場所に行くのは危なくない?」
「大丈夫だよ!ウチラだけじゃかいから!これはクラス全員で行くの!」
「苦手な人はグループになって行けば大丈夫だよ!」
坂下真理亜
「そう・・・だよね。」
彼女は困ったようにそう返事をした。
「真理亜は怖いの大丈夫?」
坂下真理亜
「うん。全然大丈夫」
素直に苦手と言えば良かったのについ強がって言ってしまった。
ダサいとか思われたら恥ずかしいし。
そして夏休みの初日の午後8時頃
クラスの大半が肝試しスポットに集まった。
そこは木が沢山あって中には倒れてるのもある。
緑だらけで荒れていた。
夏なので蚊がうじゃうじゃいて落ち着かない。
坂下真理亜
「それじゃあ行ってくるね。」
真理亜は内心怖がりながらも歩いて行った。
真理亜が歩いてしばらく経った頃
「なんか遅くない?」
「このペースで行くと時間が相当ヤバくなるし次の人に行かせよ。」
そんな流れになって・・・
「次は・・内村か。あんな大口叩いてんなら一人で行けるよね?」
内村陽大
「お前らグループで行ってたようだけど俺には理解できないね。たかが夜道歩くだけで。」
陽大は嫌味を言って歩き出した。
「おまえ坂下さんと遭遇してやらしいことすんなよー!」
「襲うんじゃねえぞー!」
内村陽大
「お前らじゃあるまいし。」
陽大は歩きながら、言った人には聞こえないようにボソリと呟いた。
そしてしばらく歩いた先のトンネルの中で座り込んでいる人影が見えた。
内村陽大
「いたずら?」
髪の長い女の人影だから陽大はクラスの連中が自分を怖がらせるために仕組んだものかと疑った。
なので足音を立てずに慎重に歩いて
内村陽大
「あのさ、そう言うの本当につまらないから。」
後からそう言って逆に脅そうかと思った。
坂下真理亜
「イヤあっ!・・ごめんなさい!ごめんなさい!」
そこに居たのは真理亜だった。
内村陽大
「早く行ってくれない?あんたより後に来た俺が先に着くのはおかしいから。」
坂下真理亜
「・・・・」
だけど真理亜は立とうとすらしなかった。
坂下真理亜
「先に行ってて。私はあとで来て迷ったことにするから。」
内村陽大
「あっそ・・・」
陽大はそれだけ言ってさっさとこの場から去ろうとした。
内村陽大
「そこに座ってても汚いよ。」
彼女はトンネルのど真ん中で尻もちを付いた状態だった。
坂下真理亜
「・・・・立てないの・・腰抜けちゃったの。・・・ビックリして。私そういうの苦手なの!」
真理亜は陽大から目を逸らしてそう言った。
内村陽大
「・・・・来いよ。」
陽大は真理亜の近くに寄ってしゃがみ込んだ。
坂下真理亜
「え・・・」
内村陽大
「おぶってやるっつってんの!ここじゃいつ車が来るか分からないからな!歩けるまであそこのベンチにでも座っとけ!」
坂下真理亜
「えっと・・・わたし重いから・・」
内村陽大
「じゃあそこでずっとそうしてな。」
坂下真理亜
「あ、・・ごめんなさい!・・申し訳ございません!おぶってください!」
陽大がその場から離れようとすると真理亜は焦ってそう言った。
内村陽大
「このこと誰にも言うんじゃねえよ。」
坂下真理亜
「うん。・・ありがと。」
そう言って陽大の背中にしがみついた。
坂下真理亜
「あのさ、・・なんで参加したの?そう言うの否定してたのに。」
内村陽大
「俺だって拒否ったけどそしたら怖いから行かねえんだろとか言って煽ってきたから仕方なく来ただけ。」
坂下真理亜
「そうなんだ。・・それでさ、お願いがあるんだけど・・・私がホラー苦手なこといわないでね?」
内村陽大
「言ったところで俺にメリットがあるわけじゃねえし。言われなくても黙ってるよ。」
その出来事で彼の印象が少し良くなった。




