授業の風景と基地の殺風景
久しぶりの投稿なりぃ……就活つらたん……(´;ω;`)
未だに何がしたいかとか何が出来るのかとか分からない……いややぁ……(´;ω;`)
1限目、公民。それは現代社会を学ぶ授業。
政治、経済、憲法、法律などをバランスよく学ぶものである。
公民に限らず、社会科というのは教師によって退屈かどうかが極端に別れてしまう。
退屈であれば眠ってしまう生徒が多く、退屈しなければしっかり聞いたり途中に雑談を入れたりする。が、特に公民は教科書の内容……特に法律や憲法の事について覚えておいて損は無い。むしろ得しかないのだ。
さて、そんな琉斗が受ける公民はと言うと……
「……退屈だ……」
ちらっと見ると、ほとんどの生徒が寝ている状態で、大きくいびきをかきながら寝ている生徒までいる始末。うるさいけど眠気覚ましにはなるのでなんとも言えない。
琉斗は机に突っ伏して、ディスプレイの隅っこ辺りでタッチペンを使って落書きしている。
勿論、先生が映している電子黒板に記されている文字は最初に写した後。やる事をやってから別のことをやっていい。それが琉斗の考え方だ。
文字にして写すスピードは人によって違う。早い人もいれば遅い人もいる。スラスラと見やすいようにまとめる人もいれば、雑に早くまとめる人も、そもそも時間がかかる人もいる。
大体全員が写し終わる平均時間、3~6分を基準に次のページに移るというやり方をとっている。
「起きんかい」
先生が背中をぽんぽんと叩いても一向に起きる気配がしない。寧ろより深い眠りへと誘われているような気さえしてしまう。退屈な授業ほど眠くなってしまうのだ。
ゆっくりとしていて、それでいて無駄に長い説明だけをする授業。本当に退屈で仕方が無い。
別に、教科書だけをだらだらとなぞるだけの授業なら、教師なんて必要ないのではないか?とも思うようになってしまった。それならば教科書を見てそれを各自の工夫で暗記すれば効率はいい。まぁ、それはやる気が無ければすぐに寝てしまうというデメリットが目立つのだが……。
ーーーと言うより、この先生が催眠術でも身につけているような気がしてならない。さっきからあくびも止まらないし、毎回毎回前に身体を90度曲げて、寝落ちしまう事もそう珍しくないのだから。
それをジト目で見た後に鼻で大きく息を吐いて再び落書きへと勤しんでいく。
電子黒板が次のページに映れば、その文字を写してまた落書き。毎回毎回、その繰り返し。やる気なんて起こるはずもなく……
「ふぅ……」
チラチラと時計を見てしまう。こういう時間は極端に長く感じてしまうため、非常に苦痛とな時間となってしまっている。
軍だの自衛部隊だのマスコミだのなんだのと聞こえるが、琉斗自身、そこそこ調べているため聞いていなくても大体分かってしまう。興味がある分野は自分で調べるからだ。
(大体、好きなものを否定されてどんな気分になると思ってんだよ)
……と、世の中に対する愚痴を思いながら、また文字を打っていく。
大体社会科というのはこうして終わるのだ。
そして、1限目の授業が終わったーーー。
ーーーEUN領。軍事基地・スカーチフェルド。
この国家の軍事力、第2位の施設。しかし、そんな評価があるとは信じられないほど壊滅している。
コンテナは巨大なものに踏み潰されたかのように壊れている。中身も卵を叩きつけたかのように中身までぶちまけられているようだった。
倉庫や兵器をを収容する施設は、結晶機・ラファールの残骸の下敷きになっていて、建物が結晶機によって埋められている状態だ。誰がどう見ても、施設としての役目を果たせない事が分かるだろう。
コンクリートで出来た床は、ガレキや残骸で出来た山となっている状態。ゴミ屋敷のように足の踏み場が無いに等しい。
しかも人間の足くらいの大きさの小さな結晶機の残骸のせいで転んでしまうことも不思議ではない。
他にはラファールの武装が無数に散らかっている。
ソレは、スイカ割りで使われたスイカのように粉々になっている。小さな破片があたりに散らばり、一つだけある大きな破片は深々と、基地の外の地面にグサリと突き刺さっている状態だ。
使い物にならない筒となっているものもある。……これは、ガラクタと言うよりも、ただの破片。使えるところも何一つない。
いくつもの黒い粉。見渡す限りの瓦礫、残骸、破片、破片、破片……。
「マジかよ……」
惨状を見たのは1人の中性的な男。
炎のように濃ゆい赤色の髪は風に揺らめいている。
他者を射抜くような鋭い瞳だが、顔パーツが美しい人形のように整っており、いわゆる『男装の麗人』と言われた方がしっくりくるだろう。
「プルメリア・サーキラー大尉!!」
1人の軍服を着た女性兵士が素早く敬礼した。
深緑を主体とした制服だ。
パッと見は男物のスーツで、胸ポケットが2つついていており、頭に被っている帽子には、EUNの『海に突き刺さっている剣と月』をモチーフにした模様が描かれている。
「どーしてこんなところを襲うんだよ……」
頭をカジカジと乱雑にかいてプルメリア。
チッ……と舌打ちをした後に懐からチュパチャップスを取り出して口にくわえた。イチゴ味だ。
「謎の異星人侵略者……。仮称『UNKNOWN・INVADER』……『UI』の目的は未だ不明。主に軍事基地を重点的に攻撃し、街への襲撃は確認できるだけでも僅か3回……全く、地球上の戦力を根こそぎ奪う気か?」
瓦礫の上を歩いて、資料を読み上げるように淡々と言った。
だが、表情は今にも怒鳴りそうな程に八つ当たり気味に結晶機を睨んでいる。
彼は今にも咥えたばかりのチュパチャップスを噛み砕きそうだ。
「まったく、やになるねぇほんと」
なにか使えそうなものは無いものかと、辺りを見渡し、自分が持てるほどの小さな瓦礫をどけ始める。
「訓練なんてサボりたいし、UIは襲ってくるし、施設はこの有様。あーあー、ヤダヤダ」
ガラガラ、ガコンっ……という音が静かなこの場に響き渡る。
他の軍人はポカーンと、プルメリアの行動を見ていた。
「あの……プルメリア大尉、何をしているのですか……?」
「あ?決まってんだろ。使えそうなものがないか探してんだよ」
女性兵士がおそるおそる聞くと、こんな返事が返ってきた。
プルメリアはというと「何言ってんだこいつ」と言わんばかりの視線を送っていたのだと言う。
最も、イライラしているからものに当たるように見ていたかもしれないが。
「武装とか装甲とか、このままジャンクに回してゴミにするよりも既存のものと組み合わせて使ったり、溶かすなりして新しいものの材料にしたりとかさ。使い道あるだろ?リデュース、リユース、リサイクル。ここ大事な」
と、めんどくさそうに教鞭を取るように言い放つ。
「でも、それってプルメリア大尉のケチな所が出てるだけですよね?」
「そりゃそうだ。なんたって、本来なら専業主夫になる予定だったんだからさ」
プルメリアはさらに続けた。
「いくら原価で仕入れて定価で売ったところで、その他の費用がかかれば利益は減る。移動距離次第で燃料代は変わる。往復すればその倍かかんだよ。下手すりゃ燃料代だけで赤字だ」
「はぁ……」
小さな瓦礫を退けながら、ぶつくさと説明するように言った。
金も無限にある訳では無い。
材料も無限にある訳では無い。
今現在、石油は枯渇の危機にあり、各国で使用料が制限されている。
昔のようにたくさん使えば、もってあと半年がいい所だろう。
(たとえケチったとしても3年いくかいかないか……どっちにしても化石燃料云々は絶望的だな。あーあ、石油王になりてぇもんだ)
現場の調査となるはずが、いつの間にか仕分け作業になっている事に疑問符を浮かべる兵士達。
すぐに終わるはずだった調査は、プルメリアの行った仕分け作業により空はもう茜色に染まっていたのだったーーーー。
やっと今日の授業が終わった。
ただただ無駄な時間が過ぎただけの用が気がする。最も、琉斗自身がそうしているだけなのかもしれないが。
何も無い、ただの日常。スリルが欲しいというのはこの時期の学生、誰もが思うことだろう。
ーーー誰しも、進んでつまらない事を行いたくはないのだ。
席に座ってテキトーに検索エンジンをかけて、EUNに起こった事を詳しく調べた琉斗なのだった。