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幕間 『猫とほこり』 奏者 にんじん

やあやあ、ごきげんよう。難しい顔してどうした?そこの君じゃよ、ほれ、毛むくじゃらの。

「ほ、ほこり?なんだこれ...」

ああ!パンチはやめなさい、パンチは。飛んでしまう。

「なんですかあなた?ほこりにしか見えませんが」

いかにも、わしはほこりじゃよ。ただ少しばかり知性を授かったので話ができるというだけでな。

「...どこから声が出てるんだ」

ああ!だからパンチはやめなさいというに!



細かいことはいいだろう。不思議なことはたくさんあるもんだよ。

「それで、その、何か御用ですか...?」

ああ、まあ御用というほどではないんだが... それにしても君、何日か前とは随分感じが違うなあ。もっとこう、偉そうにしていた記憶があるが。

「偉そう、でしたか?」

人間の膝の上でなんやかんや文句言っとらんかったかね。

「よく覚えてません... 」

ふーん、そうかい... まあいいか。ああ、そうだ、話が逸れたな。君、今家主たちが大騒ぎしとるあの話、どう思うね?

「話?どれですか?」

ほら、エンゲキ部のなんとかいうやつがいなくなったあれだよ。

「エンゲキブ、ってなんですか?」

君、寝てたんか?人間の膝の上で聞いてたろうに... エンゲキ部ってのはお芝居をするやつらの集まりだよ。お芝居は、わかるかね?

「お芝居なら分かります。以前いた街の猫仲間が好きでよく話してくれてましたから。」

そうかいそうかい。ああ、また話が逸れたな。とにかくあれだ、エンゲキ部の、そうだ、ナガイだ。ナガイが消えた事件。君、どう思うね。

「ですから、聞いてなくて...」

ああ、そうだった... まあいい、一から説明するからよく聞きなさい




……………………


...それでだ、ナガイがいなくなってしまったからみんなで探しとるらしいんだな。

「お話はよく分かりましたけど...」

けど、なんだね?

「人間ってそんな簡単に消えたりするんですか?」

普通は消えないから騒いどるんだろう。わしには見当もつかん。君、分かるかね。

「お芝居をする人たちなら『消えた』っていうお芝居をしているとか」

誰に対してだね?お芝居ってのは、観客がおらんと意味なかろう。

「いや、その、思いつきなので細かいところは...」

おお、そうか... いや、でも、なかなか良いセンいっとるんじゃないかね。ということはだ、ナガイはどっかに隠れてみんなが騒いでいるのをニヤニヤ見とるわけか!ふてえ野郎だなあ!

「いやだから、そうと決まったわけじゃあ... それに、消える理由があるかもわかりませんし」

いやいや、自分の考えにもっと自信を持ちたまえよ。消えた理由なんてどうせ『若気の至り』のようなやつじゃろうよ。『おとなはわかってくれない!』てなもんじゃろう。


「よくわかりませんが... エンゲキ部の方々はまだ子どもなんですか?」

いや、よくは知らんが大人じゃないだろうよ。人間の大人ってのは大っぴらに好きなことをしないもんだろう。やつら、いつも小難しい顔をしとる。


………………………………………



ああ、すまん、そろそろ行かなきゃいかんようだ... 今日は話せて良かったよ。なかなか楽しい時間じゃったな。

「ああ、いや、こちらこそ。楽しかったです。」

それじゃあ、わしはこれで。またなあ。

すみません、事件を解けそうにないしあそこから繋げそうにもないので全力でお茶を濁させて頂きました!次走者のヤギ郎さん、後はお任せしました。

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