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049 わたくし奴隷ギルドへ参りましたわ

今日も遅れてしまいました。一章が完結して気が緩んでいる……。

「本当にコレが、いえ、この人がイリスのお父さまですの?」

「……はい、わたしのお父さんのトロワです」


 魔道具店の入り口で、アイアンクローから開放されてしゃがみこみながら頭を抑えている店主を見やる。

 年のころは30代半ばから40代前半ほどだろうか?

 グリエンドではよくいる茶髪に茶色い瞳、特に鍛えているわけでは無さそうだけど、そこそこがっしりした体。


 まぁ基本的に平民はがっしりしているか、がりがりに痩せているかのどちらかだ。

 太る余裕なんて平民にはない。一部の大商人なんかは例外だけど。


 髪も目もイリスと全然違う色だけど、イリスの桃色の髪も紫の瞳も高魔力保持者だからだ。

 これは基本的に突然変異のようなもので、グリエンドの貴族のように意図的に魔導師同士で子供を作り続けたりしない限りは遺伝しにくいらしいから、気にする必要はないだろう。


「い、イリス。こちらのお客様とお知り合いなのかい?」

「クリスタさまだよ。ほら、さっきまで話してた」


 イリスの口調が普段よりも砕けていて、そういえば平民の女の子だったなと思い出す。

 たぶんこっちが彼女の素、なんだろう。

 イリスのお父さん、トロワだったか。彼が言っていたように学園へ入るために言葉遣いも勉強したんだろうな。


「話してた? わたくしの話題でもしていましたの?」

「あ、はい。ほら、この首輪の説明をしておきたかったので」

「ああ、納得ですわ」


 自分の娘がいきなり奴隷の首輪なんぞつけていたら普通驚くだろう。

 トロワにしてみたら『信じて送り出した娘が奴隷になって帰ってきました』って感じだ。

 イリスはある程度僕の本心を知ってしまっているから、僕に酷いことをされるとは思っていないだろうけど、その辺を他人に説明もなく理解してもらうのは難しい。


「お前か」

「はい?」

「お父さん?」

「お前がわたしのかわいいイリスを奴隷になんぞしたんかああああああっ!?」


 何かぷるぷる震えていたトロワが豹変し、立ち上がると同時に僕へと両手を伸ばしてきた。

 あ、なんかこれと似た状況に覚えがある。

 なんだっけ、たしか前世のほうの。


「落ち、着き、なさいな!」


 つかみ掛かってきたトロワの腕を流すように避け、右腕で襟を、左腕で突き出された彼の右腕をがっつりと掴む。そして背中を彼の前面に密着するように合わせると、そのまま背負い投げの要領で投げ飛した。


 そうそう、高校の授業で似たような場面があったんだ。たしか相手は柔道部の主将だったんだよねぇ。

 あの人身長も180cm越えててさ、当時の僕の身長は170くらいだったからほいほい投げられてたんだ。


 いまの僕はもっと低いけど、当時より健康で強靭な肉体を有している。

 柔道なんて前世の学生時代に授業でやったくらいだけど、意外と身体は覚えて……身体? この場合覚えていたのは魂か? まぁ何にせよ覚えていたので反射的に対応できた。


「お父さん!?」


 やっべ。これ暴漢じゃなくて娘を奴隷にされて怒り心頭なお父さんだった。

 違うんだ、咄嗟の対応だったんだ。本当に申し訳ない。 


「あ、安心なさい。ちゃんと手加減しましたわ」

「それはわかります。だってクリスタさま素手ですし」


 え、僕の手加減基準ってそこなの?


 えーと、ニックはフレイルで殴り、ジミーはクロスボウ、鉄鼠(テッソ)はミンチより酷い結果だし、マシュマロゴレムは、むしろ僕がけしかけた側か。

 奴隷の女の子の時は男の腕を切り飛ばしたし、その後は全部実戦で手加減する機会なんてなかった。


 あれ、もしかして素手で誰かをどついたのって本当に初めて?

 ……あ、ジェイドを1回どついてるか。


「う、うぅ……」

「大丈夫? お父さん」


 イリスに抱き起こされているトロワを眺める。

 本当なら貴族の子息に掴みかかったりしたら、その場で殺されても文句は言えないのだけど。仮に相手がイリスの親じゃなくたって、僕はそんな事する気はない。


 幸いこの店はガラス張りってわけじゃないから、目撃者も居ないしね。

 商品を納めているのガラスケースもあるけれど、壁は普通に不透明な材質だ。ガラスって高いから。


「ブリューナクさま、お願いが、あります」

「あら、いきなり手を出しておいて謝罪もなしかしら? 無礼な家畜ですわね」

「無礼は百も承知。私はどうなっても構いません。イリスを、娘を奴隷から解放してはいただけないでしょうか!」

「お父さん……」


 イリスが痛ましいものを見るような目でトロワを見る。

 次に僕を見る。こっちは困ったような笑顔だ。

 そして僕も同じような顔をしてイリスを見る。


 ちょっと考えてみてほしい。

 僕はお爺さまにさっさと奴隷登録をしろと言われた。

 僕も面倒だけどしないとなぁと思っている。

 そしてなにより、イリスはまだ首輪をつけている。居場所を知らせるための緊急措置として自分でつけた、その首輪をだ。


 さて、賢明な皆さんにはすでにお分かり頂けただろうか。


 そう、この首輪。はずせないのである!


 奴隷の首輪というのは基本的に所有者が登録されている。

 この所有者登録は魔法によって所有者の魔力を首輪に認証させることで行っている。

 所有者本人じゃなくてもその体の一部、髪の毛とかを使って認証することもできる。

 だから基本的に平民が奴隷をもつときは、奴隷ギルドで髪の毛だったり、より正確を期すなら血を提供したりしてギルド専属の魔導師に魔法を使ってもらう。


 僕の場合は何かしらを使ってお爺さまが事前に登録してくれていて、イリスの手に渡った後も彼女が所有者登録を変更していなかったので使えたということになる。


 そしてこれ、解除には奴隷が規定の条件を満たすか、所有者本人が魔法で解除する必要があるんだよね。

 規定の条件っていうのは借金奴隷なら規定の借金を返すとか、そんな感じのを所有者登録時に一緒に登録する。

 これは奴隷ギルドを無視して勝手に奴隷を解放できないようにというセキュリティの面もある。


 問題なのはイリスはなにも設定せずにつけているのでコレが使えないことだ。

 その代わり条件がないので所有者が魔法を使えば簡単に解除できるんだけど。


(クリスタさま、無理ですよね)

(無理ですわ)


 イリスと視線だけで会話が成立する。

 別に首輪の効果じゃないけれど、一緒に死線を潜った中なのでこれくらいは余裕だ。


 つまりあれだ。

 この首輪をつけた時点でイリスは一生僕の奴隷として生きていくのが確定していた。

 奴隷の首輪は元々相当頑丈な魔道具で、しかもこれはよく知らないけど高級品らしい。

 無理にはずそうとすると装着者も、はずそうとした人も一緒にお陀仏だと王都へ帰る前にジェイドから注意を受けている。


「本当に無理な相談ですわね。わたくし、一度手に入れたものを手放すほどお人よしではなくてよ?」

「そこをなんとかっ!」

「そんな事よりも貴方、ご自分の心配をなさってはいかが? これに見覚えがおありでしょう」


 僕は《繁殖のネックレス》を取り出すとトロワによく見えるように手にひっかけてぶらさげる。

 物騒すぎて部屋に置いておくのも怖いので持ち歩いていたんだよね。

 ちなみにこれ、未加工の魔石がついているのでちゃんと装備するのはもっと怖い。


 ゴブリンたちを自決させた時はあくまでもこれを使っただけで、装備はしていない。

 昔やっていたゲームに、装備することも道具として使うことも出来る魔法の装備があったけれど、そんな感じだ。


「そ、それは私がブリューナク卿へお売りした魔道具」

「今回わたくしがお兄さまを殺して、その家を焼き払ったという事になっていますけれど。その原因がこれですのよ」

「な、いや、そんな馬鹿なっ!? いや、だがあのお方が殺されたのは宝石目当てだったとも」

「嘘ではありませんけれど、言葉足らずですわね。お兄さまはこれに狂わされていましたから、わたくしが落ち着かせてあげただけですわ」


 殺しては居ないけれど。

 正直なところ、お兄さまがいまどこで、何をしているのかまったくわからない。

 ジェイドに探してもらえないか相談しているけれど、お爺さまも何も知らないようだったからなぁ。


「貴方、これが何か分かっていてお売りになりましたの?」


 そう、聞きたかったのはここだ。

 もし全て知っていたのなら、僕はトロワがイリスの親であったとしても、許すことができないかもしれない。


「私は、ただ希少で高価な魔道具だと。領地の発展に使えるから売ってくれとブリューナク卿から頼まれただけで」

「魔道具店の店主とあろうものが、本当に何か知りませんでしたの?」


「本当です! それに、魔道具を扱っている者でもそのほとんどは《鑑定眼》などを持っているわけではなく、書物などで知識を深めて仕事をしているに過ぎません。既存のものや今の技術で作られたものならばともかく、迷宮からみつかった新種の魔道具については何もわからないのです」

「呆れた、そんな状態で売ったというの?」


 これは、許せないとまではいかなくても、ある程度のお仕置きはすべきかもしれない。


「わ、私たち平民が貴族に頼まれて断れるわけがないではありませんか! それも、脅迫などされたわけでもなく、大金を積まれ、契約書もちゃんと用意された状態でブリューナク卿に売れと言われて断ったなどと噂が広まっては、商人として生きていくこともままならなくなります!」


 悲鳴を上げるように話すトロワ。

 まぁたしかに、領地の発展に使えるから売れと、貴族から大金まで積まれたのに断ったなんて大問題だろう。

 僕は彼への怒りがしぼんでいくのを感じる。

 むしろ、結果として娘が奴隷になってしまった彼は被害者側かもしれない。


「そうでしたの。でも困りましたわね。さすがにあの魔道具の出所を突き止めておいて何の処罰もなしだなんて、お爺さまになんと言われるか」

「さ、宰相閣下…………」

「黙っててもらうわけには」


 状況を把握したのか、沈黙してしまったトロワに変わり、イリスが僕へと問うてくる。

 正直なところ、そうしてあげたい。

 最低でも命だけは救ってあげたいところなのだけど。


「しばらくは誤魔化せても、ずっとは無理ですわね」

「ですよね。ならせめて、お父さんは見逃してもらえませんか?」

「イリス、お前なにを」

「お父さんは黙ってて! 魔道具を売ったお金の何割かはわたしの勉強代に費やされてますから、わたしだって同罪です。一商人でしかないお父さんより、魔道騎士科であるわたしの命のほうが、遥かに価値は上のはずです」


 それは間違いない。

 王都に店を構えているとはいえトロワはただの商人だ。

 そんな平民がいくら死のうが国に、貴族にとってはどうでもいいが、イリスは違う。

 魔導騎士科の首席というのは、それだけですでに価値がある。

 その上イリスのように高魔力保持者の美少女ともなれば、外交の道具にすることだってできるだろう。


「何を言っているんだ! お前はもう奴隷に落とされるという罰を受けている。なにより知らなかったとはいえわたしがやらかしたことだ。後の罰はわたしが受けるべきだ!」

「お父さんは静かにしてて!」


 さて、どうしよう。

 僕としては本当に彼らをどうこうしたいとは思っていない。

 《繁殖のネックレス》を売った阿呆を一回くらい殴り飛ばしておきたかったところだけど、偶然にもそれは果たせている。

 アイアンクローと背負い投げという形で。


 現状で思いつくのは、僕が彼らを可能な限り軽く罰して、それをお爺さまに報告することなんだけど。


 伯爵が、領地をもつ貴族が、なによりお爺さまの孫が狂ってしまった原因の一端を(にな)っている相手に背負い投げなんて軽い罰ではダメだろう。

 ブリューナク家に手を出しても、それくらいで許されるだなんて思われてはたまらない。


 普通なら一族郎党皆殺し。古臭い言い方をするなら根切り。

 良くても家長はさらし者の上極刑で、家族は犯罪奴隷落ち……。

 でもイリスはもう僕の奴隷だし。


 あっ、それだ!


「……それも良いですわね」

「「え?」」

「いえ、イリスがもう罰を受けている、という点ですわ。そういえば、お爺さまにさっさと奴隷登録を済ませるよう怒られましたのよ」

「たしかにわたしは奴隷ですけど、これは自分からつけたんですよ?」


 人がせっかく助け舟を出そうというのに、わざわざそんな事を言ってくるイリス。

 正直なのは美徳だけど、君はもっとズルくなってもいいと思う。


「経緯はどうでもよろしいの。いまの状態だと借金奴隷でも犯罪奴隷でもない、闇奴隷になってしまいますから。色々まずいのですわ。わたくしの立場的にも」


 闇奴隷を取り締まる立場のブリューナク家が闇奴隷を抱えてるだなんて大問題だ。


 つまり、現状の僕は貴族なのに魔法が使えず、男なのに女装して女子寮で生活していて、奴隷を管轄しているブリューナク家なのに闇奴隷を抱えているという、スキャンダルの塊だった。


 その気になれば僕の存在だけでブリューナク家を傾けられる。すごい。

 家の格になんて興味はないけれど、それをすると僕も一緒にお陀仏になりそうなのが唯一にして最大の問題だ。


「クリスタさまのお兄ちゃんがああなった原因となると……犯罪奴隷ですよね」

「お、お待ちくださいブリューナク様っ!」

「いいの、お父さん。わたしは大丈夫だから」

「だがっ」


 お涙頂戴の悲劇のように盛り上がる二人だが、そういうのは辞めていただきたい。

 僕は悲劇なんて真っ平ゴメンだ。

 どんな重苦しい鬱作品であろうと、僕が手を貸すのを許されるのなら、誰もに笑われる喜劇にしてみせる。


「何を勝手に盛り上がっていますの? 借金奴隷で構いませんわよ」

「「え!?」」





「借金奴隷で構いませんわ」

「よろしいのですか?」


 善は急げと僕はイリスを連れ立って奴隷ギルドへやってきていた。

 受付で名前を告げると、奥の個室へと通された。

 見るからに高級そうな家具が並び、趣味が悪い。まぁ、奴隷ギルドらしいといえばらしいのかな。

 お兄さまの趣味は悪くなかったし、ブリューナク家が管轄している組織が悪趣味とは思いたくない。

 きっとそういう演出なんだろう。


 少し待つと、ギルドマスターだという若い青年が入ってきた。

 高級そうなタキシードに身を包み、胸元には赤い薔薇の飾りをつけている。


 たかが奴隷の登録にギルマスが直接だなんて、僕も随分偉くなったものだと思ったけれど、相手からしたら社長令嬢がやってきたのと大差ない。いや、もっと悪い。

 たぶんお爺さまから事前に連絡が行っていたのだろうけど、初めて会うブリューナク家の人間ということでギルド長も多少緊張しているのが伺えた。


「ええ、さすがに犯罪奴隷はやりすぎでしょう?」

「左様ですか。お優しいのですね」


 言外に、貴族にしては、と言われている気がする。

 まぁ日本人の価値観が混ざってるから、グリエンド貴族にしてはやさしい、というか甘い自覚はあるけれど。


 ギルド長というくらいならお爺さまとお話しする機会も多いのだろう。

 最近はお小遣いくれる好々爺(こうこうや)って感じだけど、本当のお爺さまはそんな優しい人じゃない。

 正直、今日だってなにかひとつ言葉を間違えたら殺されていた可能性もある。


 僕が男だと知っている人にとって、今回の騒動は僕がお兄さまを殺してその家督を奪おうとしたと見えなくも無い。本当にそうなら、次はもう一人のお兄さまが狙われかねないわけで。

 そうしたら魔法の使えない僕と、魔法を使え、領地を抱えているもう一人のお兄さまどっちをとるかだなんて決まりきっている。


「それで、借金の額は如何ほどになさいますか?」


 借金奴隷は生きるためにお金を借り、それを返すために働く奴隷だ。

 日本風に言うなら給与の前借りだ。しかも働く前から。

 そりゃ逃げられないように首輪だってつけられる。

 逆に犯罪奴隷とは違い、その分稼げば首輪は外れる。


 ここでこの国の金銭システムが生きてくる。

 まず奴隷ギルドは借金奴隷を貸し出す際に奴隷の実力に応じて月額でお金を貰う。

 そして首輪に外からタグのような魔道具を追加でつけることで、借金の額を決定する。


 そしてそのタグが奴隷の働きを自動で認識し、規定の額に達したと判断したら首輪が勝手に外れるのだ。

 この認識はその金銭相応の魔力が奴隷から消費されたかを測定することで可能となっている。


 改めての確認になるが、魔法が使えない平民であっても魔力は持っている。

 それは血や体液のように体を循環していて、魔法として形にできずとも身の内にあって当たり前の存在だ。

 生きて動いているだけでも消費されるし、体力を多く消費したり、高度な技術を扱う時は相応の魔力を知らず知らず消費している。

 これは遊んでいる時でも難しい事をしていたら疲れを感じるようなものだ。


 そしてこの国の貨幣は金貨などではなく特殊な魔力だ。

 特殊であっても魔力であることには変わり無く、偽造は不可能でも同じ量の魔力かどうか調べることはできる。

 だからこそ奴隷の働きを自動でお金に換算することができるのだ。便利。


 ちなみに雇い主が月額1000ジェム払っていたとしても、奴隷が毎月返済しているのは300ジェム相当だったりすることが多いのでえげつないシステムといえる。

 なにせ奴隷が解放されるか否かは本人の返済額であって、雇い主が払う額ではないのだから。


 そして肝心のイリスの価格だけど。


「100億ジェムですわ」

「……申し訳ございません、100万ジェムでしょうか?」

「桁が間違ってますわよ? 貴方まだお若いのに難聴ですの? 100億ですわ、億」

「国家予算を越えていますよ!?」

「それがどうかしましたの?」


 ちなみに今年度のグリエンド国の国家予算は30億ジェムだ。

 平民にも調べられる表向きの情報なので、公表されていない金もあると思うけど、100億以上なんてことはまずないだろう。


 ちなみに、本来なら借金というくらいだからその分のお金をイリスは手にするはずだけど、今回はすでに支払われている(てい)でいく。


「それほどの借金など、どうしたら背負うことになるのですか」

「彼女の命を見逃すための賠償金ですのよ? 彼女の命の値としては、100億だって安いくらいですわ。彼女にはそれだけの価値がありますの」


 綺麗な言い方をしているが、金がねえなら身体で払えや理論と同じである。

 汚い、さすがブリューナク、汚い。


「クリスタさま、そこまで評価してくれてたんですね」

「ですから、彼女の借金は100億ですわ!」

「でも素直に喜べませんっ!」


 ここでわーいやったーとか言い出されても困る。それではアホの子だ。


 当然これにも理由がある。

 繰り返すがこの首輪、登録時に条件設定がされていないのでこのタグ、見せ掛けだけになるのだ。

 いや、借金の返済が済めばタグそのものは外れるので、そこで僕が魔法で外せばいいのだけれど。


 その魔法が使えないんだったら最初から返済できない額にしてしまおう、という訳だ。

 ちなみに金額に意味はない。分かりやすく返せっこない大金にしてみた。

 お爺さまに一千万強請(ねだ)った時と一緒である。


 その後手続きが完了した頃、ギルド長がこっそりとイリスに話しかけていた。

 何の話だろう? その娘は下僕(ペット)であっても愛玩奴隷じゃないからお手つきは禁止だぞ。


「奴隷ギルドの職員が、それもギルドマスターが奴隷にこんなことを言うのもおかしな話ですが。強く生きてくださいね。長年奴隷を見てきましたが、100億ジェムの借金奴隷だなんて、前代未聞です」

「だ、大丈夫です。お優しいですから、クリスタさま」


「すでに調教が……そこまで進んで。くっ、さすがは宰相閣下をしてブリューナク家の非常識と言わしめるクリスタお嬢様です」


 おいなんだその不名誉なあだ名は!

 誰かそこのギルマスをつまみ出せ!

再びファンアートをいただきました!!

今回は別の方からですが、もう本当にかわいいので是非是非ご覧ください。

うっかり活動報告に載せてもいいか聞きそびれたのでこちらはTwitterのURLになります。


https://twitter.com/totto104/status/970127636306444289


ところで弟がジェイドの事を魚類って呼ぶんですよね。解せぬ。

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