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世界一の殺し屋と捨て子

作者: 森永真理

(深いオチとかは)ないです。

 ある日、世界一の殺し屋が住む家の前に、子供が捨てられていました。

 産まれたばかりの男の子でした。


『可哀相に、親に見放されてしまったのか』


 殺し屋は男の子を哀れに思い、自分の子供として育てることにしました。




 それから男の子はすくすくと育ち、10才の誕生日を迎えました。


『息子よ、おまえは将来、世界一の殺し屋になれるぞ』


 殺し屋は男の子を愛していましたが、学がなく、殺し屋として育てること以外の愛し方を知りませんでした。


『パパ、それ本当?』

『ああ、本当だとも。自分の一番近くの人間をいつも殺しているような、素晴らしい殺し屋になれるさ』


 男の子は嬉しそうに笑いました。





 月日は流れ、男の子はついに20歳の誕生日を迎えました。


『息子よ、成人おめでとう。プレゼントをあげよう』


 殺し屋が手渡した箱の中には、美しい銀のナイフが入っていました。


『ありがとう、父さん。僕は父さんの子供に産まれて幸せだよ』


 男の子は人を殺すためのナイフを取り出して嬉しそうに笑いました。





 その次の日、殺し屋は仕事のために遠出をしました。

 殺し屋は世界一の殺し屋なので、簡単に仕事は終わりました。

 殺し屋は予定より早く家に帰りました。


『ただいま』


 しかし返事はありません。

 不思議に思った殺し屋が部屋に上がると、リビングで男の子が倒れていました。


『何があったんだ?』


 近付いてみると、男の子の胸には殺し屋があげたばかりのナイフが突き刺さっていました。

 それを見た瞬間、殺し屋は全てを悟りました。


『そうか! さすがは私の息子だ! 実に素晴らしい!』


 殺し屋は産まれて初めて大声で笑いました。


『おまえは、おまえの一番近くの人間を殺したのだな! すごい、おまえは世界一の人殺しだよ!』


 殺し屋は声が枯れるまで笑い続け、その後に一粒だけ涙を流しました。

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