【4.】 『静かになるヤツら』の話 [横書きのみ]
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【静かになるヤツら】横書きバージョン
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とりあえず、ここまでで[悩める記号たち]のお話も一区切りです。
最後は、無言であることを示したり、語頭や語尾での余韻などを表現するために小説では多用される【点々記号】についてです。
これは他の事例に比べると【類似する記号】は少ないです。よってあまり悩まれることはありません。
とはいえ、投稿作品群では様々な事例が見られますので『どんな記号を用いると、どんな風に見えるのか?』をサンプルとして知るためにご紹介します。
一般的には『三点リーダ(…)』が用いられますが、実際のところはお好みで。
ただし公募を目指される方は【三点リーダ】を用いる方が無難です。“小説作法”的には「三点リーダを2つ続けて用いる」(つまり、点は計6個)が正式です。
では、第8表【点々記号をつなげてみたら】(横書きバージョン)です。
……単純に「何文字分つかうのか?」だけのお話ですね。
三点リーダ(…)か、二点リーダ(‥)か。
これについては【現在では三点リーダが主流】ということになります。
共に元々の日本語文字にはない記号で、本来は『省略』を意味する記号です。二点でも三点でも日本語表記としては間違っておりませんが、一般的には【三点リーダを使う】ことが作法になっています。(一部の出版社は二点リーダを使っています)
最終的に「点が6つ続く」状態になればいいのです。
これは昭和21年(!)作成の『くぎり符号の使い方〔句読法〕案』(文部省国語調査室作成:現在も有効!!)で、【テンテン】の事例として「点は6つ」で例示されたことに倣います。
二点リーダは、向きが異なる【コロン記号】(:)との混同を避ける意味でも、あまり使われません。
最終的には、【表示スペース(字数枠)が多くなるか否か】だけの問題ですね。
なお今回の事例では【ピリオド】のみが「行の下に沿う」表示になっていますが、【三点リーダ】や【二点リーダ】も、表示環境(モバイル端末や他のフォントなど)によっては「行の下に沿う」見え方になります。正直、あまり意味なし。
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「メイリオ」での表示は無骨で格好悪いのですが、他のフォントでは意外とキレイに見えるものが【圏点】です。
別名「ゴマ」「脇点」「傍点」などと呼ばれるもので、印刷媒体で【強調のためのルビ】として用いられることがある記号です。
これは明朝系などでは本当にスマートなのですが、残念なことにウェブ環境下ではあまりキレイに表示されない傾向があります。
例)それぞれを「ルビ」として用いた場合のウェブ表示
※共に五文字の文章に五つの点をふりました。
[・] 【中点の場合】
[、] 【読点の場合】
[﹅] 【圏点の場合】
[●] 【黒丸の場合】
中点や読点は、ウェブだとあまり目立ちません。
圏点を使ったルビは、残念ながらウェブ表示では乱れやすいです。
黒丸記号【●】[unicode:0x25CF]は、目立ちすぎるかも知れません。
【強調用のルビで使う記号】は、それぞれお好みでどうぞ。
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ということで、様々な【似たよーな記号たち】をご紹介して参りました。
最初にも記しましたが、これは別に「小説作法」の話ではありません。どの記号を使えばよいかを指示するものではありません。
ただ【見え方は一定では無い】という、ネット小説の特性を理解して執筆されると、皆さまの作品をより多くの方が『ストレス無く読める』のではないでしょうか。
読者は“静かに”気にせずあなたの作品を読むかも知れません。でも気にする人もいるでしょう。
ちょっとだけ【読者に見える、自分の小説画面】を意識してみてはいかがでしょうか。
多くの皆さまが、それぞれ異なるデジタル環境の中で執筆し、閲覧する。
そんなネット小説の世界。
より「楽しく読める世界」になる一助になれば幸いです。
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本文中で触れました『くぎり符号の使い方〔句読法〕案』(文部省国語調査室作成:昭和21年3月)は、以下のデジタルアーカイブで実物をご覧になれます。
-----文化庁-----
【文化庁 | 国語施策・日本語教育 | 国語施策 | 参考資料】
<http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/index.html>
【くぎり符号の使ひ方】
[PDF]*56kb
<http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/sanko/pdf/kugiri.pdf>