1回戦始まる!?part3
勇人は急いで観客席へと駆けつけた。
「ギリギリ間に合ったか」
「ではこれより第3試合を始めさせていただきます」
司会の合図とともに侑李と悠二が整列した。すると、
「「「「悠二様ーーーー!!!」」」」
黄色い声援が会場を包む。会場は悠二ムード一色だった。
「おい、あっち見てみろよ、クソ兄貴親父とお袋だぜw」悠二が観客席を指差した。
侑李は無言でうつむいてしまった。
「目を向けることもできないほどビビってるとは情けねぇなあ、おいw」
司会が口を開いた。
「いざ、尋常に、始め!!!」
試合が始まった。
最初に動いたのは侑李だった。
「うわああああああっっ!!!」
奇声をあげながら悠二に殴りかかった。それをひらりとかわす悠二。
「なんだそれw。パンチってのはこう打つんだよ!!」
そういうと悠二は侑李の顔面めがけてストレートを打ち込んだ。
クリンヒットし侑李は吹っ飛ばされてしまった。
「「「「キャーーーー悠二様あああ!!!!」」」」
観客が一体となって悠二を応援し始めた。
勇人は「なんだこの人気は?」と思っていると人だかりを見つけた。
その先には悠二と侑李の父であり世界的に有名な財閥、星財閥の社長。星 優勝がいた。
「さすが悠二様ですね旦那様」側近が言った。
「当たり前だ、あのできそこないには完膚なきまでに叩き潰されてもらいたいのだからな」
「と、いいますと?」と側近が聞く。
「侑李をこの年で入学させたのは悠二のサンドバックにするためだからだ。はっはっは」優勝が高笑いをした。
「このサンドバックショーを見るためだけに大金をはたいてReLife制度をワシが作り上げたんだからな」
「なっ!?なんだと!!」勇人が思わず口に出してしまった。
「おや?きみはReLife制度の一人かい?」優勝が尋ねてきた。
「ああ、あんたのお遊びに巻き込まれた一人、熊井勇人だ」勇人が皮肉っぽく答えた。
「貴様!!旦那様に向かって!!」側近が掴みかかってきた
「まあ、よい。ふふふ、面白いなあ君はあの出来そこないにも君くらいの威勢が欲しかったなw」
側近の手を払い優勝が言った。
「熊井君か、おお4試合目に君の名前があるな。1回戦勝ったら私の息子と戦うのかその時はぜひいい試合を頼むよ。はっはっは」といい握手を求めてきた。
「ああ、あんたの息子の侑李君との試合かい?w」というと。優勝は突然怒鳴り始めた。
「二度とあの出来そこないを私の息子と呼ぶな!!!!!!!」そういうと観客席から
「悠二!!!!その出来そこないを完膚なきまでに殴り倒せ!!!」と命令した。
「わかってるよ親父!!!」悠二は倒れている侑李を無理やり立たせラッシュを打ち込んだ。
フィールドは侑李の血で真っ赤に染まっていた。
「「「「「いいぞーーーー!!!悠二様ーーーーー!!!!!!」」」」」
声援がさらに増した。
「もういいだろ」と最後に顔面を思いっきりぶん殴った。侑李は吹っ飛ばされピクリとも動かなくなってしまった。
会場には悠二コールが鳴り響く。
そんななか一人だけ侑李を応援している男がいた。そう、勇人だ。
会場中のコールを切り裂く声で
「変わるんだろ!!!!!ReLife制度の成り立ちなんか関係ねぇ!!!!立ちやがれ!侑李ーーー!!」
その瞬間侑李が片膝をつき立ち上がった。
「はっ!しぶといじゃねえかクソ兄貴。でもこれで終わりだ!!!」
顔面にストレートを入れようとした。その時だった、侑李はよろめいたそれが功を奏しパンチをかわしたのだ。
「いっけぇえええ侑李ーーー!!!」勇人の掛け声とともに
「うおおおおおおおお」侑李のクロスカウンターが炸裂した。
会場中がどよめいた。悠二が吹き飛ばされたのだ。
しかし侑李もその一撃にすべてを費やしてしまい倒れこんでしまった。
「貴様も出来そこないか?悠二よ」優勝が悠二に圧をかけた。
悠二は素早く立ち上がり必死に「違います!!今からそれを証明してみせます!!」と答えた。
「まさかクソ兄貴なんかにこの技を使うとは思わなかったぜ...」
そういうと悠二は詠唱を始めた。
「ツドイシホシノカガヤキガアラタナキセキヲテラシダスヒカリサスミチトナレ」
詠唱が終わると悠二の拳に星の輝きが集まった。
「あ、あああああれは!!星悠二の星砕竜だ!!!
まさか生で拝める日が来るとは!!あれを喰らっちまうとあの状態のあいつなら粉微塵にされちまうよ」
「終わりだクソ兄貴ぃぃぃ!!!」悠二が倒れている侑李めがけて光輝いた拳を振り下ろす。
侑李ももう終わりを悟った瞬間だった。
悠二の拳が侑李に届いていなかった。
侑李ははっと見上げると勇人がいた。
勇人は悠二の拳を掴んでいた。
すると司会が「ただいま星 侑李選手に不正が行われたため失格とさせていただきます。
よって勝者星 悠二選手!!!!」
「「「「キャーやったわーーー!!!!」」」」
黄色い声援が再び会場を包み込む。
「そして大会規定により手助けをした熊井 勇人選手も失格とさせていた」
「待て!!!」優勝が声を上げた。
「今のは星 侑李君が死にそうなのを防いだ熊井君に非はない、よって熊井君の失格を取り下げぃ!!」
そういうと司会は「えーはい、熊井君の失格を取り下げます」と素直に聞いた。
「よかったのですか?旦那様?」と側近が聞くと。
「バカだのう、あやつは星家を愚弄したのだぞ、ただで返すわけないだろうが。」と優勝は言った。
「なるほど悠二様でサンドバックにするというわけですね」そういうと2人は声を上げ笑った。
そのころ侑李は勇人の肩を借りて退場していた。
「ありがとう勇人君あの悠二に一撃入れてやったよ」ただでさえブサイクな侑李だが今は顔面を殴られすぎてみるに堪えない笑顔でこっちを向いてきた。
「ブサイクこっちみんなよ」と笑顔で医務室へと運んだ。
医務室には女子生徒に囲まれた悠二の姿が見えた。
「貴様、熊井といったな、表に出ろ」と医務室の外へと連れていかれた。
「貴様どうやって俺の星砕竜を止めた?」
喧嘩かと思って身構えていた勇人は拍子抜けをした。
「知らねえよ体が勝手に動いてたんだよ」と勇人が答えた。
「無意識だとでもいうのか?ま、まさか!?失われた魔法の一つか?」悠二は慌てふためいた。
「失われた魔法?なんだそれ?」勇人が聞いた。
「貴様、絶対に1回戦勝ち上げれよ、そして俺と勝負をしろ!!」悠二が睨みつけてきた。
「最初からそのつもりだよ」といい勇人は1回戦の対戦相手 阿倍野 夢美と闘うために会場へと向かった。