第4話
久しぶりの投稿です。至らない点もありますが、よろしくお願いします。
離婚から半年が過ぎた頃、アズミはある思いを抱えていた。
それはナナに対する嫉妬や劣等感である。
ナナは親からの援助があり、オシャレな住宅地にあるアパートで3人暮らし。
一方でアズミはなんとか入れた古い市営アパートである。
若くして結婚出産したアズミは何の資格もなく、働ける場所も限られていた。
また親からの援助も一切ない。
アズミとナナは同じシングルマザーだが、格差があることに少しずつつらさを覚えるようになった。
ナナはよく子ども達を両親に預け、飲みに出かけたり頻繁に美容院へ行き、そして高級でかわいい服を自分にも子どもにも着せている。
ナナの家は子ども達のおもちゃもたくさんある。
アズミは余裕がなく、おもちゃもなければ服もずっと買っていない。
髪を切る余裕だってない。
ナナはとても素敵な女性なのに、自分は...と、いつも比べて勝手に傷ついていた。
働いても働いても生活にいっぱいいっぱいのアズミ。
ナナから「デートをした」「あのお店の服を買ったの」と聞く度に、どうして私は...そんな思いが強くなっていった。
そんなことは言えない。自分で選んだ道だから。
そう言い聞かせてみても、やっぱりアズミは哀しかった。
満足に子ども達に服も靴も買ってあげられない自分が情けなかった。
息子の靴が少し小さい。
新しいのを買わなければ。
財布には食費分しかない。
毎晩アズミは1人で泣くしかなかった。
「ごめんね。我慢させてばかりで...」
ただ自分を責めるだけの、虚しい母親。
「もう少し、せめてあと1万でもいいから、今よりお給料がもらえたら...」
鏡を見てはため息。
髪は伸びきってバサバサ。
冴えない自分を見ていると、怒りにも似た感情が沸き上がる。