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晴香の話
晴香は比較的裕福な会社経営の家庭に生まれた。
両親の教育方針は、とにかくのびのびと、明るく、女らしく育てること。
そのため、幼い頃からヴァイオリンやピアノを習い、小学校は、系列高校の大学進学実績が極めて良いとは言えないものの、お嬢様学校として定評のある私学に通っていた。
しかし、両親の教育方針は、あくまでのびのびと子供を育てること。
子供がしたいと言えば、出来る限り応援するが、何かを無理強いさせることはなかった。
生来の生真面目な性質も手伝って、小学校時代、晴香は良好な成績を修めていたが、ヴァイオリンやピアノは、特にコンクールに出場することもなく、人並みの進度で習っていた。
そんな晴香の生活に変化が訪れたのは、小学校5年生の頃だった。