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プロローグ⑥

「で?どんなのを待てばいいんだっけ?」

「だーかーら!とにかく大きくて青色のやつをまてばいいの!」

 今は、そいつーーーネムノと言うらしいーーそのネムノの頼みでネムノが受けたクエストの手伝いをしているのだが……

「ウグォ!?ウオオオォォォン!!」

「あれは?」

「違うわね……、てかそろそろ自分で判断しなさいよ、12匹目よ今ので」

 そのクエストが超めんどくさいやつなのだ。クエストの内容としてはこの森にいるオオカミの主を倒せというやつなのだが、そのオオカミの主というのはこの森のエリアボスでも第一のフィールドのボスでもない、ただの希少(レア)モンスターらしい。これが問題で、フィールドボスやエリアボスならボス部屋のようなボスのいる場所にいけば必ず遭遇できるのとは違い、ただのモンスターはただ偶然遭遇するのを待つ以外遭遇の手段はない。しかもレアモンスターというからには遭遇率は恐ろしく低く設定されているのだろう。さっきから、ネムノにそのクエストを依頼したNPCからもらったという囮を設置して待っているのだが一向にきてはくれない。かかるのは一向にレアじゃない方の雑魚オオカミばかり。……まぁ雑魚っていってもさっき俺はそいつから逃げてきたのだが。

 ただのオオカミでさえ必ず倒せる自信が無い以上その辺をうろちょろして探すということもできないので、レアなオオカミが囮にかかるまでは待たないとダメなのだ。しかもさっきネムノが囮にかかった雑魚オオカミを狩ろうとして失敗して逃げた結果あの事件が起こったらしいので、囮にかかったオオカミでさえも狩ったらダメといわれている。

 まぁ俺も最初はそのいいつけを守っていたのだがそんな状況にさすがに飽きてきた。あぁ、暇だなあと思いオオカミの方を見る。俺から見ると普通オオカミのHPバーは赤に近い黄色、もしくは赤色なのだが、このオオカミは黄色だ。つまり少し弱いオオカミだ。なので俺はネムノに提案してみることにした。

「なぁ、あれ狩ってくるー!」

「えっ!ダメっていってるでしょ!」

「負けなかったらいいんだろ?」

「む……、まぁそうだけど」

「で?いっても良いのか?まぁダメっていっても行くけど」

「はぁ……。まぁいいわ、アンタの実力も見たかった所だしね」

「じゃいってくる」

 それだけ言い残すと、俺は一気に木の下でジタバタしているオオカミのもとへかけていった。

ーーーーー

「ふぅ……やったか」

 加算経験値とドロップアイテムの表示を視界の端でみながら俺はため息をついた。

 先頭開始から3分。やっと俺はオオカミを倒せた。これだけ時間がかかったのはオオカミからは囮に捕まっていたので攻撃をよけるのは簡単だったのだが、こっちの攻撃があんまし効かなかったからだ。AGI極振りって大変だ。たぶんもうすぐレベル上がるし次はSTRに振ろ。

 そんなことを決意しながらそろそろとネムノが隠れている木のところまで戻る。するとネムノは怪訝な顔をしていた。

「ねぇ、アンタ。なんで武器アーツつかわないのよ?もしかして《短剣》スキル取ってないの?」

「えっ?とってるけど?」

「じゃあなんでつかわないのよ?舐めプ?縛りプレイ?」

「……なぁそもそもの話なんだが、武器アーツって何?」

「え……、まじでいってる?アンタ」

「ああ。てか短剣使うのに《短剣》スキルが必要っぽいからとっただけでなんか説明に書いてあったのはよくわからんかったし」

「はぁ……。アンタいろいろちゃんと聞いてないわね……。あのね武器って言うのはべつにスキルを取らなくても装備できるものなのよ。つまり《短剣》スキル取らなくても短剣は装備できる。だけど武器アーツは違うわ。その武器のでスキルをとらないとその武器ではアーツは使えない。で、アーツって言うのは、アンタでいえば《短剣》スキルの所に書いてある技の名前ない?」

「ん……、あぁこれか《疾風刺し》ってやつか」

「たぶんね。それはスキルとかと同じように技の名前を唱えると使えるのよ。アーツの種類はスキルの熟練度が上がるたびに増えていくわ。熟練度の説明もいる?」

「さ、さすがにわかるよ!スキル名の横にかいてあるレベルだろ」

「大正解ー!」

「ば、バカにされてる」

「まぁまぁそれはおいといて、大事なのはアーツっていうのは使ったあと少しの時間事後硬直がある代わり通常攻撃より大分強いわ。それを使わないで敵を倒すってことはあり得ないことなのよ。」

「そ、そうだったのか!!」

 な、なんとそんな機能があったとは驚きだ。大体そんな説明あったっけ?

「あったわよ、最初の説明のときフマルが言ってたじゃない」

「へぇーそうだったんだ。ってナチュラルに心を読んでんじゃねえ!」

「だってアンタ顔に疑問が出てたんだもん」

「…………」

 もう言いたいことはない。感じるのは、いろいろつらい、ただつらい。

ーーーーー

「よいしょー!」

 残りHPわずかなオオカミを通常攻撃で倒しきる。ポリゴンの欠片となったオオカミと加算経験値とドロップアイテムの表示を尻目に俺はネムノのもとまで帰る。

「……これで何匹目だ?」

「49匹目よ!多分」

 武器アーツの話を聞いたあといいタイミングで雑魚オオカミがかかったのでもう一度倒しにいったら、どうもネムノも倒したかったようで結局それからは交互に罠にかかったら倒すようにした。

 そうするようになって、しばらくは楽しかったのだがさすがにもうオオカミの行動パターンがわかってしまい面白くなくなった。しかもこっちのレベルも上がりオオカミも弱いと感じるようになってきた。もはやただの作業だ。しかもそんなこんなしているうちにもう5時。正直現実に帰りたい。

「なぁ?帰っていいか?」

「ダメよ!てかこれ罰でしょうが!」

「そうだよなぁ……」

 やることないかなぁと空を見上げる。見上げた空は夕焼けできれいな色をしていた。VR技術ってすごいと思う。

「なぁ、暇つぶし道具なんかもってない?プチプチとか」

「……まずプチプチこの世界にあるの?」

「ないだろうなぁ……」

 と、その時ピピッという通知音がした。なんだと思い見るとフラットからのフレンドメッセージだ。開くと

『いぇーい!ナンパ成功!!しかも美人!うらやましいだろ!まぁ非リアの方はボッチで狩りでもしてくださいねー!じゃあねー!』

 ……死んでしまえばいいと思う。

「くそぉ!なんでアイツが女の子と一緒にいるんだよぉ!俺はこんなに不遇な目にあってんのに!」

「……あたし女の子ですけど!?」

「いやこういう待ち伏せとかは望んでないんだよ!もっとこうイチャイチャするイベントとかそういうのだよ!ほしいのは!てかお前をそういう目で見ることはねえし!」

 貧乳じゃないしな!!

「なにをー!!」

「首しまってる!しかもダメージ食らってる!!」

「グルルルルル!!!ウオオオォォォン!!!!!」

「「!?」」

 いままでより圧倒的に大きい声。

 急いでそっちをみると、いままでの雑魚オオカミの3倍はあろうかという大きさのオオカミがいた。

「よっしゃ!!きたー!」

「よし!いこうぜ!!」

 いままで待たされた鬱憤を晴らしにいきますか!!

次でプロローグおわりたいです。

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