プロローグ②
あの土下座から2日たって、今日は夏休み初日。また《BAPO》サービス開始日でもある。そんな日なので、俺にとっては嬉しい日なはずだったのに、俺は今最高級に困っていた。
一昨日家に帰りお金を取った後、太平の家に行きゲームをもらった所まではよかった。だが、その時からちょっと前まで俺は浮かれていたらしく、1つ大きな事を忘れていた。
その大きな事というのは、ゲーム機本体がないということだ。
どういうことかというと、VRシステムでのゲームも従来型のゲームと同じで、ソフトとゲーム機本体がいる。そして、俺は今《BAPO》というソフトは持っているが、俺はいつも従来型のゲームをやっていたので、VRゲームをするためのヘッドギア型ゲーム機本体は持っていないのだ。
まぁ、とりあえず今何時か見るために時計を確認する。
「もう11時かぁ……」
サービス開始時刻が確か12時。なんとなくサービス開始した瞬間にログインしたいが、本体買いにいって飯食ってはできない時間である。
「……まぁ飯食わなくてもいっか、……でも腹へったなぁ……。でも今日母さん仕事だから自分で調達しないと駄目なのかぁ……。……まぁ飯食わなくてもいっか。でもなぁ……」
サービス開始までの時間が差し迫るなか、俺は禅問答ワールド、またの名を無限ループの世界に迷い混んでいた。
ーーーーー
その後結局、俺は熱中症になるかと思うくらい暑い中、ゲーム機本体を買いにいき、途中のコンビニで飯を買い歩き食いをした。……てかなんで最初から思い付かなかったんだろう……。
まぁ、とにかく間に合ったのでやっとついた、クーラーの効いた家で一息ついていると、ケータイがなった。誰かと思って表示を見ると「中玉利太平」の文字。
「あぁ?もしもし?」
「あぁオレオレ、オレだけど」
「詐欺かよ……、で?どうした?太平?」
「あぁ、《BAPO》の事なんだが、ログインしてキャラメイクしたら《広場》の西端に来てくれ、俺は現実と変わらん感じの作るから」
「了解」
「って、もう55分じゃん!じゃあなまたあっちで!!」
「おう……ってもう切れてるし……。」
まぁ、俺もログインする準備しないとそろそろサービス開始時刻間に合わないのでゲーム機を頭にはめた。
電源をつけると、こんな声がした。
「初期設定を始めます。なおこの初期設定には10分程度時間がかかるのでご了承ください。まず、脳波の検出をします」
どうやら俺はサービス開始の瞬間にはゲームを始められないようだ。
ーーーーー
「welcome to 《Battle And Product Online》!!」
結局、5分遅れでログインした俺を待っていたのはこんな文字と音声だった。
「ようこそ!!私はナビゲーターのフマルです!」
そんな声がして前を向くとようわからん妖精が。
「まずはあなたの名前を教えてくださいますか?」
……うーん、まぁいっつもネトゲで使ってるやつでいっか。
「ヨルガオさんですね!では次にこの世界の説明をさせていただきます。まずこの世界は……」
……アホみたいに長い話がこの後続いたが要するにーー
・この世界には30の町とそれぞれの町の外にあるフィールドがあり、それぞれ特徴がある。また、どこかの町にいくのはプレイヤーのうち誰かが到達していればいけるが、ある町の外にあるフィールドは自分、もしくはパーティーメンバーの誰かがその前の層のボスを倒さなければ行けない。
・パーティー申請を出すことでパーティーを組め、パーティーの上限人数は6人。
・ギルドというものを作れ、これにはいるとは月々1000G取られる代わりに不定期に行われる《ギルド対抗戦》に参加できる。
というものだった。
「まず容姿を決めていただきます。……現実の容姿を使いますか?」
へぇー!作るんじゃなくて現実の容姿をそのまま使えるんだ!どうやってるんだろう?
まぁ、作るのめんどくさいしそのままでいっか!!
「わかりました。では現実の容姿を使います。……次にステータスを振ってもらいます!STR、INT、AGI、VIT、DEX、LUKから降ってください、どうぞ!!」
そして、そんな声がした後、
ステータスポイント 20
STR 0
INT 0
AGI 0
VIT 0
DEX 0
LUK 0
という画面が出てきた。
……、どうしよっかなぁ……。
脳筋タイプはなんかいやだしなぁ……。弓とか使うのはむずそうだし……。魔法使いは30になるまではなりたくないし……。
「……うん、これでいっか!」
ステータスポイント 0
STR 0
INT 0
AGI 20
VIT 0
DEX 0
LUK 0
……どうも、AGI極振りのバカです。
いや、別に理由がないわけじゃないんだよ。ソロプレーしやすいし。……盗撮とかできるし……。
「ステータスポイントはレベルが1上がるたびに2もらえるます。では、最後にスキルを5個とってください」
すると、大量に出てくるスキル。
少し驚きつつも絞りこみ機能を使いながらこの5個をとった。
《短剣》 Lv.1
短剣の武器アーツをつかうことができる。
《短剣強化》 Lv.1
所持している短剣の耐久値の減りを半分にする。
《疾走》 Lv.1
一時的にAGIを10%あげる。
《ステップ》 Lv.1
ステップできる。
《隠蔽》 Lv.1
隠れる。
悔やまれるのは、写真術みたいなのがなかったことだ。……べ、別に盗撮したかった訳じゃないんだからねっ!!まぁ、たぶん記録する機能があるんだろう。そうじゃないと俺多分このゲームしなくなるどころか、現実でも犯罪起こしちゃう!……あれ?盗撮って犯罪?
「スキルはレベルが10上がるたびに新しいスキルが一つ取れます。また、他にもそのスキル枠を消費しないスキルを得ることもあります。これでキャラメイクと説明は終わりです!では、《BAPO》の世界へいってらっしゃーい!!」
遊園地のおねーさんみたいな声がし、一瞬の浮遊感を感じた次の瞬間、俺は《BAPO》の世界へ降り立っていた。
次の話ぐらいから便利屋になるきっかけの話が始まります!