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第11話

10話修正しました



「しゃ……な、…っしゃな……」


息が苦しい。

体が熱いのに、寒い。

視界が涙で覆われて上手く前が見えない。

シャナが私の手を握ってくれているのだけがなんとなくわかる。

彼女の涙声も。


ーーあぁシャナ、泣かないで。





私の体調が悪化し始めたのは、旦那様がいなくなって一週間ほどたった日だった。


「旦那様がいないんだもの。少しくらい外に出てもいいでしょう?」


いたずらをするような気持ちで笑うと、シャナも仕方ないと言ったように頷いた。



「アルも連れてきたかったわ」


「お昼寝中ですから、仕方ありません」


「シャナ、この花綺麗ね。あっ、こっちの花も可愛い」


「ふふ、今日はお外でお茶にしますか?」


花を見ながら、久しぶりの外でのびのびとお茶。

考えるより先に私は笑顔で頷いていた。




幸せな気分でシャナを待っていた。


アルが起きてたら明日はアルと、私と、シャナと乳母の四人でお散歩するのもいい。

四人でーーきっとシャナと乳母は遠慮するだろうけど無理矢理ーーお茶をするんだ。



旦那様が聞いたらきっと怒るだろうけど。


「……旦那様も、私のことを少しは考えているのかしら」



王都で仕事に追われながら、それでも。

少しでいいから私のことを。


アリスのことを考える合間でもいいから。



「…私も大概バカだわ」


そんな願い事が叶うはずないのに。



ふと、風がそよいだ。


何故だろう。

私はそれが、あの願いを叶えてくれた妖精のような気がした。


半年の加護はもうすぐ尽きる。


そう唐突に頭の中で自覚した時だった。



「げほっ!!ぐ、は…っかはっ!!」


息が、できない。

酸欠のあまり頭も上手く動かない。


助けて!!

自然とそう思った。


アル、と呼びたくなった。

柔らかくて温かいあの子に頬擦りしたい。

レオンハルト様、と泣きたくなった。

嫁いだ時から数えるほどしか呼んだことのない彼の名前を呼びたくなった。


愛されたい。

愛したい。

でももう愛されない。


私は、このままーー



「リリー様!!!!」


諦めかけた瞬間聞こえたのは優しい侍女の悲鳴だった。






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