表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/30

17.犯人は四人で

「学人先輩、この三人を調べてもらえますか?」

 学人先輩の部屋に敷かれた客用の布団に入り、座った状態で机の前に座る学人先輩に紙切れを渡した。

 差し出した紙には三人の名前が書かれている。一見ランダムに書かれた名前で、共通点がないように思える。しかし、一つの糸で繋がっている三人。一つの意図で、繋がっている。

 学人先輩は一読して意味がするところがわかったようで、頷いただけだった。

「一人は確実なんです。でも、あとの二人は記憶と一致しただけなので曖昧です。動機は明らかなんですけど」

「わかった。まだ聖には秘密だな?」

「はい。まだ、います。この三人と結び付けた人物が。そして、その人は聖さんに関係している…」

 共通点がない三人を結んだ人物がいるのは間違いない。そして、それが出来る人は限られている。有力なのがいるけど、なかなか尻尾を掴ませてくれないだろう。

 学人先輩は僕の包帯の巻かれた右手に視線を落とした。

「聖は王子じゃないってことに気付いてない奴が多すぎる。その上、由宇を傷付けるなんて…聖をどうしたいんだ」

「理想にしたいんでしょう。押し付けて、それ以外を許さない。僕は見せしめですね」

 嘲笑するように薄く笑うと、学人先輩は痛そうに微笑んだ。それから、椅子からベッドに移動した。もう寝る、という合図だった。

「僕で良かったんですよ。これで理由ができる。この怪我が僕と部を結んで、背後にいる人を引き摺り出せます」

「でも、これを聖は望んでいなかった。この結果が何を導くのか、誰にもわからないな」

 電気が消えた。

 学人先輩の「これで話は終わり」という合図に、目を閉じた。

 意識を失っていた時間は睡眠とは違う。目を閉じた途端に眠りに引き込まれそうになった。明日から本格的に文化祭の準備に取り掛からなければならない。その体力を回復させることに専念した。

 眠りに落ちる間際、学人先輩の声が聞こえた気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ