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11.倉庫の中で

 身体が震えた。五月上旬の夜は、思ったよりも冷え込んでいる。古い倉庫のため、隙間風が遠慮なく入ってきた。否応なく、体温を奪っていく。

 重い目を開けても、視界は限られていた。倉庫内は暗く、今は窓から入ってくる月の光だけが頼りだった。時間の感覚はもうない。

「絶対心配してるよね…」

 連絡も無しにこの暗い時間に帰らないとなると、さすがに心配するだろう。弟なんて、誘拐を疑うかもしれない。僕に関しては心配性なところがあった。

 先輩たちはどうだろう。僕を監禁した人たちは、先輩たちに知らせたのだろうか。知らせたのなら、これは見せしめだ。知らせてないのなら、ただの制裁。先輩たちは、今日は無断欠席だと思うだけだ。

 どっちでも良かった。気がかりなのは、家族を心配させていることだった。今まで良い子で通してきたから、突然の事態にどう対処しているかが問題だ。警察を呼んでいないことを祈ろう。

 右手がジンジンと痛くなってきた。麻痺していた痛覚が戻ってきている。今度は痛みで目が冴えてきた。空腹も眠気を飛ばす。こういった怪我は久しぶりだった。この痛みは知っている。骨が折れている痛みだ。治りが早いといいけど。

 片手が使えなくなったから、当分部活動も出来そうにない。幸い、文化祭に影響はなかった。襲った人たちは、僕が何をするのか知らなかったようだ。バンドということで、演奏担当だと思われたのだろう。

 右手で良かった。利き手の左手だと、生活に支障が出るから。

 この状況でも冷静な自分がいた。

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