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韋駄天のるー君

【韋駄天】仏法の守護神とされる、増長天八大将軍のひとり。俗説に、盗まれた仏舎利を走って取り戻したという逸話があるため、足の速い人のたとえにされる。



 るー君、実はとっても足が速いです。

 よく食べよく動くので筋肉はバッチリで、その姿だけを見ているととても障害児には見えません。


 例えば家から脱走した時。

 私が気づいてすぐに自転車で追いかけているとしましょう。道の先の方をるー君が走っています。

 そこで私もなりふり構わず


「るー君! 待って!」


 と叫んだとします。

 するとるー君、振り返って私を認め、ニヤリと笑いーーーー


 スピードアップします。

 ギアチェンジしたかのように、がーーーっとダッシュします。


 慌てて私も自転車でスピードアップ。がっしゃがっしゃとペダルを漕ぎ、るー君との距離を縮めます。しかし敵もさるもの、それに気がつき更にスピードを上げる。私も全速力。

 そしてるー君の脇を通り過ぎ、自転車でドリフトしてるー君の進路を塞ぎます。


 確保おおおおおっ!


 え? 大袈裟?

 とんでもない、私はありのままを書いております。本気のるー君には自転車もなかなか追いつけないのです。



 だからといって運動会のかけっこが得意かというとそうでもありません。確かにスピードは速いのですが、「みんなと一緒に走ること」が楽しすぎて、みんなと一緒に並んで走ってしまうのです。競って一番を取ろう、とかいう意識はありません。また、コースを真っ直ぐ走るのもつまらないのか、楽しそうに四つあるコースをジグザグと走り更に遅くなってしまうのです。


 そこで担任の先生と考えた作戦。


「ゴールのところに自動ドアとかエレベーターのドアとか置いておいたらきっと速いんだろうね〜」


 不可能ですけどね!


 ちなみに四年生の運動会はコースに沿って真っ直ぐ走ることができました。

 先生……! ここまでよく仕込んでくださいました!


 さらに余談ですが、五年生に進級したるー君、なぜかかけっこブームになってしまいました。

 毎日スクールバスを待ちながら、歩道(車一台余裕で通れるほど広い)を私とマラソンしています。

 これ以上鍛えないで……

 追いつけない……

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