できることはやってみたいのです
ちょこっと長めです。
昔からるー君は視覚優位。
要は、耳から聞いた情報はあまりわからなくて、目で見た情報はビックリするくらいよく理解するし覚えてる。
なので、実際に毎日みんながやってる「服を脱ぐ」という作業は、るー君、できるようになるのが早かったです。
で、できるようになると、嬉しいんでしょうね。やたらと脱ぐようになりました。それも、嬉しそうに「えへへへへ」と、満面の笑顔で。
そこまではいいのですが、嬉しくなると、やたらとそれを繰り返すようになります。
テレビをみながらズボンをすぽっ。
お風呂上がりに折角着せたものをすぽっ。
ムカついてもしかってはいけません。しかられたことと、その理由の因果関係が理解できないので、ただ怖がらせるだけだから。
そこで私は笑顔で口角だけをひくひくとひきつらせながら
「上手にできたね~、でも、今は寒いからはいてようか」
などと、ホトケの心で話しかけるのです。
そのうち悟りが開けそうな気がします。
しかし、私もただ手をこまねいていた訳ではありません。
話しかけても理解はできてないので、ならば脱がさないように、というか、るー君の技術では脱げないように、工夫をするわけです。
まずは、シャツについて。
脱ぐときはもちろん普通には脱げないのですが、自身の体の細さを利用して、首のところからするするっと抜けてしまいます。
蛇?
うなぎ?
そこで、丸首はやばいと、冬場はハイネックのフリースを用意しました。これならさすがに脱げないだろう。
しばらくは。
そして、見事に期待通りの結果に。
ある日、見ていたら、ハイネックの首の部分をぐいーっとひろげ、そこから無理矢理体をねじり出し、服を脱いでしまいました。
うーん……歯磨き粉みたい?
そして、同時に脱げるようになってしまった、ズボン。ちびっこのはゴムウエストのものがほとんどなので、全く問題なく脱げるようになりました。
いきおい、おしめも一緒に脱いじゃうからたちが悪い。
そこで登場するのが、オーバーオール。
これなら行けるだろうと、西●屋で買ってきました。
……が。
敵もさるもの、肩からするりん、と脱いでしまいました。そうきたか。
そこで、原因を私なりに研究してみました。
このとき買ったオーバーオール、胸当てはついていても、背中は布地がなく肩紐がばってんになっているタイプ。
これだとね、肩紐が左右に割りとフレキシブルに開くので、簡単に抜けてしまうのです。
そこで、背中にもバッチリ布のあるタイプを再度購入。
これは、効果あり!
やっと、簡単に脱げなくなりました!見たか、るー君!
…しかし、ズボンが大丈夫になっても、続く恐怖が待っているのでした。
1ヶ月ほどしたあるとき、「げらげらげら~」と笑いながら、るー君がリビングを横切っていきました。――――すっぽんぽんで。
あれ?
あわててそれまでるー君がいたはずの場所を見に行くと、そこには抜け殻が……
どうやら、オーバーオールの肩紐の金具(金属のボタンに引っかけるタイプのもの)が外れたらしくそこからオーバーオールをすとんと落として、一方フリースは礼によって首から抜け出し、すべての洋服&おしめを一気に抜き去る、という荒技に出たようです。
ちょうど、人間消失のように、そこには着ていたとおりの服だけが落ちています。
怖え……
結局、オーバーオールは脱げないように脇もボタンをしっかりととめる、それからフリースではなくボタンで留めるブラウスを着せることで、なんとかぬぎぬぎブームが過ぎ去るまでの数ヶ月間を乗り越えたのでした。




