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歯医者さん

 世間のお子様のご他聞に漏れず、るー君は歯医者さんが苦手です。


 札幌にいたころ、ちょうど東京に戻る直前の冬、るー君に虫歯ができてしまいました。

 で、近所のは歯医者さんに障害児も診てくれるかどうか聞いてから連れていきました。


 結論から言えば、ダメでした。

 診てくれると言ってはもらえましたが、全く知識のない方でしたので、歯医者さんにもるー君にも申し訳ないことをしてしまいました。なんべんいってもじっと座っていられないので、先生もイライラして対応が荒くなるし、るー君は怒られて怖くなっちゃう。



 そこで、当時かよっていた児童デイサービスの先生に教えてもらって違う歯医者さんに行きました。ここは、障害児の療育施設に併設されているところなので、要は障害児専門の歯医者さん。最初から聞いとけばよかった。


 やっぱりあつかいがうまいんですね。


 無事数回の通院で治療を終えることが出来ました!




 さて。

 東京に引っ越してからしばらくは歯医者さんとは無縁でした。

 でも、通い始めた療育施設がいろいろやってくれるところで、年に一度、歯科検診の時に、歯医者さんに慣れるための訓練をしてくれました。

 事前に教室で「こういうことをするからね」と子供たちに教えて、教室で歯医者さんの真似をしてくれたりと、検診のための練習をしてくれて、当日は施設から歩いてすぐの保健センターで、歯医者さんと同じ椅子に座って検診を受けるのです。


 おかげで、泣きながらも自分で診察台に登ることはできるようになりました。


 これは、本当に有難いです。財産です。

 今でも、役に立ってます。





 さて。


 小学校に上がってから、久々歯医者さんにお世話になることになってしまいました。

 最初は治療の必要がないときに歯医者さんに馴れるための練習をさせようと、障害児専門の歯医者さんに連れて行ったのですが(流石に懲りたので、最初から専門医を探した)、ここで虫歯発見。

 いきなり治療になってしまいました。


 札幌での治療もそうやったのですが、歯を削るのに患者が動くと危険なので、保護者の同意のもとネットで体を固定します。

 アイロン台のような板があって、その長い辺に伸縮性のあるネットが取り付けてあるのですが、その上に患者を寝かせてまずはバスタオルで体と腕を一緒にぐるっと包み込み、更に上からネットを被せて板のもう一方の長い辺に付いているフックに引っ掛けて体を固定するのです。

 見てていたたまれないですが、そうしないと危ないからね!治療が終わったら、慣れるために通おうね!とるー君も自分も鼓舞しつつ治療しました。


 さて、治療は数回かかりましたが、削るところが終わり、多少動いても大丈夫になったところで、ネットを外してみようと提案がありました。

 診察台の上にネットの土台の板は準備してありましたが、その上に寝転がってネットは外したまま、看護師さんに両手は押さえられて治療開始。もちろん、るー君は泣きっぱなしです。

 この時は5分ほどで処置が終わったのですが、手が自由になったとたん、るー君、自分で下がっていたネットを取って、一生懸命ネットを自分にかけてるじゃないですか。


 治療の時はネットをかけるものだと思い込んじゃった?

 それとも、カッチリ固定されたほうが安心感があるのかな?


 また削るときはネットをかけてもらおうね。

 それ以前に、削らなくて済むようにちゃんと歯みがきしようね?



 そして、処置が終わって診察室を出てきたるー君、泣きはらして更に涙の止まらない顔をしながら、涙声でひとこと


「はいしゃさん、たのしかった」


 …待合室に悲鳴と泣き声が響き渡ってたけど、ねえ?

 おそらく「どうだった?」と聞かれたら「たのしかった」と答えるのをセットで覚えてるだけだとは思いますが。


「あまりに健気だ」と、周りのおばあちゃん族の評判になっています。

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