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他愛のない日常の物語

作者: 山陰鉄道

これは、言うまでもありませんがフィクションです。

 朝、6時30分過ぎに自然と目が覚める。

 また今日も学校だ。もっと寝ていたかった。早起きなどというものをする人間の心理がわからない。早起きは三文の徳、などと抜かしたのは誰だろう。

 また、勉強は学生の本分、とも言うが自分には全く理解できない。大体このご時世しっかり勉強したところで、必ずや就職先が見つかるわけではない。しかし、だからといって怠けていると一生職がてにつかない可能性だってあるのだ。だからいい大学に行くために進学校へ行く。そのために勉強する.....のか?.....わからない。

「おはよー」

 二回の自室から台所におりてくると朝食を作っている母が声をかけてくる。いつもの風景。

「おはようございます。」

 敬語で挨拶を返す。家では親には敬語、というのが基本だ。そんな台所を横目にみて、制服に着替える。これも他愛のない日常の中の一部だ。

 紹介が遅れたが、僕は市立の中学校に通う一年生だ。今は5月、部活動も美術部に決まった。

 

 7時53分、家からスクールバスのくる場所まで移動する。徒歩数分のところにある小さな施設だ。○○会館という名前で施設をたてまくったころの建物の1つだとか。今は葬儀や自治会に使われているらしい。

「おはよー」

 声をかけてきたのは幼稚園の頃から一緒の女子生徒だ。

「おはよう。」

 通っている中学の校区には小学校は二つしかないので、大体顔と名前を知っている。まあ、うちの中学は全校生徒が百人少々の小規模校なので無理もない。

 とそんな話をしているうちに三年の人がやって来た。

「おはようございます。」

「おはよー」

 やはり三年というのは近寄りがたいものがある。おっと、二年の先輩も来たようだ。

「おはようございます。」

「おぉ、おはよう。」

 やっぱり威圧感がある。まあ、そんなものなのだろう。こんなことも他愛のない日常の中の一部だ。


 バスは10分程で学校につく。その間の隣人との会話というのも楽しみのひとつだ。

「おう、おはよー」

 隣の席は幼馴染みである男子生徒。実はちょっとしたアニメ好きである僕と話がつうじたりする

「おはよー。昨日の夜7時から見た?」

「ああ、43ch?見たで。会長いいわー...」

 などと話していると10分はあっという間である。エアの抜ける音と共にドアが開く。後ろの先輩が先におりるというのがマナーだ。

「ありがとうございました。」

 運転手に機械的にお礼をいってから昇降口にはいる。入った目の前には今年の生徒会のスローガンの大きなポスターが掲示されている。


 二階の一年教室に上がると既に徒歩、自転車通学の人が登校してきていた。いつもの喧騒だ。うちの学年は、いい方向で形容するとしたら、とても個性溢れるユニークなクラス。悪い方向で形容すると一年にしては騒がしすぎる、やんちゃなクラスだ。


 8時30分、担任の女性教師が隣の職員室からやって来た。朝礼が始まる。

「起立、気をつけ、礼。」

 日直が気の抜けた声で号令をかけたあと、健康チェックが行われる。.....喧騒の中で。

「静かにして!」

 担任が叫んでようやくましになる。が、またすぐに誰からともなく喋り始める。これももはや他愛のない日常の一部だ。

「気をつけ、礼。」

 こうして朝礼は終わる。また一段と騒がしくなる。



 時は過ぎて5時間目、体育の時間だ。バレーボールなのだが、どうも運動は苦手だ。体育の男性教師は非常に厳しく、体育の時間は数少ない静かな授業のひとつだ。

「わーごめん!大丈夫?」

 オーバーハンドパスに苦戦していると、女子の方でちょっとした人だかりができていた。どうやら誰か怪我をしたらしい。かなり痛みがあるようだ。

「突き指か。誰か一緒に保健室いってやってや。」

 先生にそう言われ、女子数人が付き添っていった。やはりかなり痛いようだ。体育館から出ていったあとは、何とも微妙な空気が残る。

「あいたー。俺も突き指したかもしれん!」

 そんな男子のおふざけも今は笑えない。そうして微妙な空気のなか体育は終わった。


 終礼になっても、保健室からは戻ってこなかった。どうやら別の女子生徒がふざけて投げたボールが飛んできて、とっさに手で顔を守った、それが突き指の原因らしい。ボールを投げた生徒は責任を感じているのか、とても落ち込んでいる。

「起立、気をつけ、礼。」

 終礼に入ったがさすがに静かだ。そんな気分ではないのだろう。そして終盤に差し掛かったとき、怪我をした生徒が帰ってきた。少し気まずい沈黙が流れる。



「あらー、終礼に遅刻だがね。どけしたかいねー?」



 ......男子生徒の一言でどっと笑いが巻き起こった。担任も少し微笑んでいる。当の本人も「いやー、ごめんごめん」などといって笑っている。ボールを当てた人も、笑みをこぼしている。さっきまでの重苦しい雰囲気はどこのもない。

「じゃあ終礼を終わります。」


 帰りもスクールバスに乗る。が、今日は何となく気分が優れている。

「ありがとうございました。」

 あくまで機械的だが、それでも感謝の気持ちを込めてあいさつをする。

 バスを降りてから家までは徒歩五分程度だが、あっという間に家についた。

「ただいまー!」



 こうしてまた、今日も一日が終わった。不思議と、とても軽い気持ちになっていた。この時、僕ははじめてこの一年生、このメンバーの一員であることを嬉しく思ったのかもしれない。そして、このクラスもそんなに悪くない、と思うようになったのかもしれない。

 

 さあ、明日も学校だ。早く起きるためにも早めに寝ておこう。





 これが他愛のない最高の三年間の一部だ。



 最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

さて、どうだったでしょうか。ほとんど衝動的に書いた作品だったので、ぐちゃぐちゃな部分などあったと思います。

よろしければ感想や改善点をお寄せください。小説にできる限り反映するつもりです。

 また、この手の小説は初執筆なので、アドバイスなどしていただければ、と思います。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 高校一年生の何でもない一日。堪能させていただきました。 とても読み易い文章ですね。 この調子で続けられることを期待します。 [一言] 付け加えることが何かないかと考えてみました。 窓から…
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