デスゲーム ~ループクイズ~ ①
ふと目を覚ましたら、よく分からない場所にいた。辺りを見渡す。3方向が壁、そして、残ったところには「スタート」の文字。
どうして僕はこんなところにいるんだろう?
そう考えているうちに、どこからかモニターが飛んできた。
そこに映るのは、ふわふわとした水色の髪を下ろした桃色の瞳を持つ幼女。
「こんにちは、ようこそループクイズのデスゲームへ!」
モニターの向こうの幼女が明るい声でそう言った。
デスゲーム……?
「ルールを説明するね。10問丸バツクイズを準備してあるから、それに正解してゴールまで辿り着いてね」
クイズ、間違えたら即死系か?
「間違えたらスタートに強制的に戻されます。制限時間内にゴールできたらクリアです、解放です」
間違えても殺されないのか、優しいな。
「制限時間内にゴールできなかったら死んでもらいます」
まあ、さすがにそうだよね。デスゲームだもん。
「じゃ、5分で頑張ってね!よーい、ドン!」
なんだか、急だ。
僕はとりあえず走る。
状況はよくわからない。とりあえず、5分以内にゴールしなきゃいけない。
1問目までが結構遠いな。
20m弱あるんじゃないか?
ようやく問題が見えてきた。
『第1問:太陽は地球の惑星である』
え、なんだっけ。
太陽が地球の周りを回って……ないわ。地球は太陽の惑星、太陽は地球の恒星。
つまりこの問題はバツだ。
問題のところにある分かれ道、そこの床に丸とバツが書いてある。
僕はバツのほう、左に進んだ。
「なかなかやるね、残り4分47秒」
なるほど、これ、間違えても即死しないとはいえ、間違えてスタートに戻っていたら制限時間には間に合わない。一回くらいは間違えても大丈夫だけど……
僕は走るペースをあげる。問題一つ一つの間隔が広い。
次の問題が見えてきた。
『第2問:恐竜またはライオンが現在地球上に生息している』
なんか、さっきから文章がややこしい。
恐竜は絶滅してるけど、または、だからどっちかが生息していればオッケー。で、ライオンは生きてるからこの文章は丸。
僕は右へ行こうとした、が。右に書いてあったのはバツだった。慌てて方向転換。左の道に書いてある丸へ。
「いいね!残り4分35秒」
僕はさらにペースをあげる。でも、全力疾走してしまうと最後まで持たないので、呼吸が乱れないようには保つ。
『第3問:月に水は存在しない』
いや、なにこれ。分かんないんだけど。なんか、水って地球独特な感じがする。
もう、いいや。バツにしよう。
今度は左にバツがあった。統一してくれよ。
バツを踏んだ瞬間、僕は浮遊感に包まれた。
そして、次の瞬間にはスタート地点に戻ってきていた。
「残念、残り4分22秒」
なるほど、間違えると戻される。こういうことなのか。
僕は再び走り出す。
再び見えてくる1問目。問題の内容は変わらないようだ。
確か、左のバツ。
僕は左に行こうとして、慌てて止まる。
左が丸になってんじゃん。
僕は右へ。
2問目もしっかり地面を確認してから進む。
3問目、さっきバツを選んでスタートに戻されたということは、これの答えは丸だ。
月って水、あったんだ。
「ないす!残り3分52秒」
まずいな、時間がない。
なんか、死ぬって言われても現実味がなくて、緊張はしないんだけど。
『第4問:エベレストはロッキー山脈で最も高い山である』
どういうこと?
落ち着け、僕。考えろ。
エベレストは確かに世界一高い山だ。じゃあ、なんでここにロッキー山脈って書いてあるの?これはバツってことか?
いや、逆張りで丸か?
てかエベレストってどこにあるんだろう、ちゃんと地理勉強しとけばよかった。
もういいや、多分バツ。
バツが書いてある右の道へ進む。
スタートに戻されることはなかった。よかった。
「いい調子だよ!残り3分39秒」
僕はペースをあげる。多分、僕の知識量じゃこっからノーミスでクリアは無理だ。
『第5問:北極にはペンギンが生息している』
なんか、これは聞いたことがある。
ペンギンは南極にだけいるみたいな感じの話。
だから、この問題はバツかな?
僕はバツの書いてある道へ行こうとした。
あれ、どっちも丸……
周囲を見渡す。すると、僕がいままで走ってきた道のすぐ横、つまり僕の死角にもう一本道があった。
なんだそりゃ。僕はその道を行く。スタートに戻ることはなかった。
「すごい!残り3分20秒」
ちょっと時間使っちゃったな。いけるか?
『第6問:タコの心臓は3つである』
なんか雑学がきた。知らないんだけど。
具体的な数字出してるからバツ?それとも裏をかいて丸?
分からん。
目の前には丸の道とバツの道。
よし、バツにしよう。勘!
「残念、残り3分8秒」
浮遊感とともに、スタート地点に舞い戻る。
違った。急ごう。
僕は走る。
1問目はたしかバツ。で、丸、バツ、バツ、バツ、丸って感じで行けばいいのか。
そして僕は6問目まで突破した。相変わらず5問目の道が変なところにあるのをなんとかしてくれ。
「いけるよ!残り2分17秒」
僕は全力疾走に切り替えた。もう、本当に間に合わなくなる。
『第7問:トマトは果物である』
あ、なんかこれ、裁判になってたやつだ。税率が違うんだとかなんだとか。
ってそんなことはどうでもよくて、野菜だっけ、果物だっけ。
どっちだ。
やけくそだ。
僕は果物派に今なった。この問題は丸だ!
僕は丸へ行こうとしたら、右の道も左の道も丸だった。そして、死角にはバツの道。
ちょっと待て、これバツが正解パターンか?それとも裏の裏で丸が正解パターンか?
いいや、僕は果物派。
僕は丸の道へ進む。