第二十一話:暗闇の力
「ごめんね、育ててあげられなくて」
俺が物心ついた時に最も印象に残っていたのが親からのこの言葉だった。
次の日から、俺は一人になった。
勿論、施設には入っていた。だが、誰も俺とは仲良くなろうとはしなかった。
ある日、俺は一人黙々と昼食を食べている時だった。
「おい、それよこせ」と三人ほどの同い年くらいの少年が俺に言い放ってきた。
それ、というのは今食べているデザートのいちごのことらしい。
「どうして?」
「どうして?構ってももらえないお前が口答えすんなよ」
次の瞬間、少年が俺を突き飛ばした。
思わずバランスを崩して倒れてしまった。
椅子がガシャリと倒れる音がした。
「構われるだけ有難いと思えよ」
一人が笑うと、残りもニヤリと笑った。
その時は大人の人が来て、三人を怒ってくれた。
だがそこからだった。
日、日、年、年。
時間が経つにつれ、少年から青年になった彼らの行動は激しくなっていった。
「お前、金くれよ。今金ねぇからさ」
俺が何といおうと、彼らは俺をいいようにサンドバックとして使い、結局は目的の物を奪っていった。
「……本当に大丈夫なの?」
俺が施設に帰ると、大人はいつもこれしか言わない。
既に彼らを手に負えなくなった彼彼女らにとって、俺はどうも手の出しにくい人間らしかった。
結局俺に手を差し伸べる人はいなかった。今思えばそれが今の俺の始まりだった。
気づけば俺はやつらを地面に転がしていた。
俺も満身創痍だったが、やつらの方がよっぽど酷い面をしていた。
「へッ……結局は力が全てなんだなぁ」
悟った。国家も安全を守るために暴力を使うのと同じように、結局自身の安全を最も保障し得るのは自身の力なのだ。
勿論俺は施設から追い出された。
だがそんなこともうどうでもよかった。元より連中には期待していなかった。
「やつらどうしましょうか?」
俺は数年を経て、暴走族まがいのヤンキーの集まりのトップになっていた。
「そりゃ勿論、潰してやるんだよぉ」
霧が世界を変えた時、運命だと思った。
俺は守りたいものを守り、潰したいものは自由に潰せる。理想が実現したような感覚だった。
その気持ちを持って前を見る。
赤髪の少女。
素晴らしい技術で俺に何撃も入れた。
だが、丈夫な俺にとってはそんなものちゃちなものだ。
そうだ、やはりだ。力は全てを変えうる。
「それまで持つといいなぁ!!」
俺は余裕の笑みを浮かべて再び少女の方へと飛び掛かる。
今、俺は充実している。素晴らしいほどに。




