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ジーン・ウォーズ  作者: おおは
第三章:旅路の凱旋
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第十七話:交渉の余地

邂逅した新たな人間。まぁ……道中でもすれ違ってるかもしれませんがね……(笑)

よし、そんな人たちはいなかったことにしておこう( ゜Д゜)

 「で、俺達に何の用だァ?」

リーダー格らしき青年は、右肩に金属バットを担ぎながら言い放った。

その鋭い眼光が諸星たちを射抜く。

石川は思わず震えあがった。

その隣では、小谷が冷や汗をかいていた。

その二人を庇うように、諸星が一歩前に出た。

 「俺達は偶々ここに寄っただけです。他意はありません」

 「……それを俺が信じると思うか?」

 「信じるも何も、すぐに出て行くつもりです。問題ないでしょう?」

諸星が冷静に返すと、彼は口端を吊り上げ鼻で笑った。

 「……ハッ。お前みたいな理屈をコネるやつはキライだ。信用もねぇ」

彼は吐き捨てるように言うと、金属バットの先を諸星達へと振り向けた。

 「お前らぁ! こいつら捕まえるぞ!」

号令と共に、取り巻きの青年達がバールやバットを構えて諸星達へとジリジリと迫ってきた。

交渉の道が初っ端から頓挫した諸星は、思わず冷や汗をかいた。

まさかここまですぐに状況が変化するとは、と思った。

 「これは……困りましたね」

 「困るってレベルじゃないだろ、諸星!!」

 「ひぃぃぃい……!どうか私の命だけはぁぁあ!」

追い詰められた状況の中、諸星は素早く判断を下した。

 「仕方ありませんね。――一視界を潰しておきましょうか!」

懐から素早く何かを取り出し、床へと勢いよく投げつけた。

瞬間、白煙が辺りを濃く満たした。

 「なぁ! 煙とか卑怯だろうが! 正々堂々しろやぁ!」

白煙の中、リーダーの青年が怒りを滲ませた声で叫ぶ。

 「――貴方がそれを言える立場であるとは驚きです」

煙の中から諸星の声。

次の刹那、諸星は彼の懐に姿を現した。

 「チィッ! 正面から来やがったな!」

叫びながら、彼が勢いよくバットを振り下ろす。

 「貴方の動き、読みやすいですね!」

しかし、諸星は紙一重でそれを躱し、態勢の悪い彼へと鋭いアッパーカットを放つ。

弱い力ながらも正確無比の一撃は、彼の顎を正確に撃ちぬいた。

 「―――ッガ!」

彼の首が大きく仰け反る。

そこまでは諸星の想定内だった。

しかし、そこで想定は実現しなかった。

本来なら確実に気絶させる諸星の本気の一撃は、彼を気絶させるに至らなかった。

 「……なッ!?」

彼が痛みの中、反撃のバットの一撃を、しかし、誰が予想できたであろうか。

諸星の脇腹へと、綺麗に吸い込まれるように突き刺さった。

ドガッ――――――ッ!

 「グッ……!!」

凄まじい衝撃に、諸星の身体は宙を舞い、10メートルほど後方へ吹き飛ぶ。

 「ぐ、ふぅ……何という、馬鹿力……ですか……」

痛みに晒されながらも、諸星は視線を前へ向けた。

先ほどの白煙が晴れていく―――。

諸星の視線のその先で、彼は堂々と立っていた。

その様は、まるで全てを従えんばかりの迫力だった。

 「……さっきのは中々効いたぜぇ。だが、こんなんじゃ俺は倒れねぇよ」

 「……あれは、確実に……気絶させれる………一撃だった、はずなのですがね………」

諸星が苦し紛れに言い放つと、彼は鼻で笑ってみせた。

 「俺はなぁ、人より硬ぇし、力もつけたしなぁ。向かう所敵なしってわけだ!」

 「……そう、ですか」

 「じゃ―――とっ捕まえるかぁ」

近付く足音。

その時、諸星が痛みを堪え、薄く笑みを浮かべた。

 「あん? 何だ……?急に笑いやがって」

訝しげに諸星を見つめる彼。

その中、諸星は口端を少し上げながら言い放った。

 「よかったですね……次の向かう所で、貴方は……無事敗者となれますよ」


*     *     *     *


 「おらよ。暫くここで大人しくしてろ!」

諸星達は、チェーンや手錠で縛られ、ある一室へと放り込まれた。

リーダーらしき青年は苛立ち気味に吐き捨てると、乱暴に扉を閉めた。

扉の軋む音が重く、大きく響いた。

静寂の中、諸星は身を起こし、頭を傾けたりすることでずれたメガネを直す。

ピントの合った視界には、同じく捕まった小谷の姿が写った。

彼も同様に手錠が掛けられていたが、諸星よりも緩い縛り方だった。

 「貴方も捕まりましたか」

 「そりゃそうだろ。いくら視界がないっつっても、囲まれてるんだぜ?」

小谷が肩をすくめる。

 「ということは……石川さんも?」

諸星が一種の不安を感じながら聞くと、小谷は苦笑した。

 「いや、アイツは逃げ切ったみたいだぜ。まったく、とんだ逃げ上手だぜ」

 「それは良かったです。一人でも逃げ切れれば、これからが少し楽になるというものです」

そう言って柔和な表情を浮かべる諸星に、小谷は思わず眉を顰めた。

 「おいおい、どこからその安心がでてくるんだ? ここは敵の本陣だぜ?」

 「ええ、しかし―」

諸星はゆっくりと笑みを深める。

 「こちらには、まだ戦力が豊富にありますから―――」

その時の諸星の表情を、小谷は生涯忘れないだろう――


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