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ジーン・ウォーズ  作者: おおは
第三章:旅路の凱旋
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第十六話:新たな邂逅

ある街の道路を走るバス。

その姿は日常の一幕のように見えたが、走っているのはその一台だけだった。

道路には車が点在しているが、どれもが無人で、静かに佇んでいた。

しかし、遇に路傍で子供の姿を見かけることはあった。

バスの運転手――小谷はそれらを避けるようにハンドルを切り、激しい蛇行運転を続けていた。

 「おうおう……車避けんの面倒くせぇな」

運転慣れした小谷ですら、思わず顔を顰める。

 「わッ……! 結構揺れますね……もう少し安全運転にできませんか?」

諸星(もろぼし)が手すりを握りながら、運転席の横で声を上げた。

 「そう言われてもなぁ……これでも抑えてる方だぜ?

   これもあれも、道路に散らばってるクソ車のせいだ」

 「確かに……人が消された時に運転していた車だけ残るのも理解できますが……

  ここまで支障が出るとは……」

 「だなぁ……街移動するときはここまで気にならんかったんだがなぁ……」

忌々し気に小谷がガムを噛みながら呟き、ハンドルを切ると、

バスがそれに従い、大きく唸り声を上げながら方向転換をする。

すると、バスの後方から声が飛んだ。

 「委員長ッ―――! ナナが車酔いしだしてる―――!」

振り返った諸星の目に映ったのは、真剣な表情でこちらを見る加那(かな)と、

そのすぐ隣で青ざめてうずくまるナナだった。

 「むむ……ならば休憩を取るしかありませんね……」

諸星がそう呟くと、小谷が呆れたように言い放つ。

 「おいおい、まだ1時間も経ってねぇぞ。北海道行くんだろ? 

   こんなんじゃ行くのにクソ時間かかるぜ? 

   まぁそもそもで、車で行こうってのが中々乙なもんだよなぁ」

 「仕方ありませんよ……掃除は面倒でしょう?」

 「そりゃそうだ。分かったぜ。

   もう少し先にショッピングモールがあったはずだから、そこで止まるか」

 「えぇお願いします」

 「はいはいっと」

小谷は苦笑しつつアクセルを踏み込んだ。

 


 「ナナ、大丈夫?もう少しで休憩できるって」

加那が心配そうにナナの背中をさする。

すると、隣で無言だった久遠(くおん)が真剣な表情で言った。

 「そうだぞ園田。頼むから耐えてくれ」

 「いや、そこは心配すべきでしょ……」

ナナの背中をさすりながらも呆れた表情を浮かべる加那。

横では、杏花(きょうか)がうたた寝。後ろの席では、言杜(いと)が無言だったが、心配そうに右往左往していた。

一方で、一番後ろの座席では、那岐(なぎ)が横になって眠っているらしかった。

 「ナナ、酔い止めは?」

その問いかけに、ナナは苦しげに首を横に振った。

 「何故持ってこなかったんだ……」

 「……こんなに揺れるとは……思わなかった――うぷっ」

 「おい! 耐えろ! 掃除の手伝いは面倒なんだ!」

そろそろ限界か、と思われた時――

 「着きましたよ!」

諸星の声と共に、バスが緩急をつけて動きを止めた。

その目の前には、巨大なショッピングモールが広がっていた。

明かりのないその建物は、まるでただ休業しているだけのようだったが、

周りの静寂がそれを異常な雰囲気へと昇華していた。



 「うへぇ……何とか耐えた……」 

モール前のベンチでぐったりするナナ。

その隣に、加那が座ってきた。

 「大丈夫? 結構危なげな雰囲気だったけど」

 「流石に冷や冷やしたぞ。早速ゴム手袋が消費されるところだった。実験用なのに、だ」

軽い笑みを浮かべた久遠がそう言いながら二人の前で立ち止まった。

 「うへぇ……」

 「酷くない? というか、ゴム手袋持ってんの?」

 「ゴム手袋は必需品だ。私にとってはホロスマ並みにね」

ジト目の加那と、それを悠然と見返す久遠。

 「俺のいない間に何をしているんですか……」

ふと掛けられた声に反応すると、呆れた表情の諸星が立っていた。

 「園田はもう大丈夫ですか?」

 「うん……大分マシになったよ」

 「それは良かった。それでなのですが、折角ショッピングモールに寄ったので、中を見て回りませんか?」

 「ごめんなんだけど、先に行っておいてくれない? 僕はナナと一緒にいるよ。心配だしね」

加那がナナを見ながらそう言うと、ナナは嬉しそうに笑った。

 「……ありがとう、かなち。助かる、ホント」

 「なら私もここにいよう。友達としてね。それに、疲れたのでね」

久遠もそう言って断った。

 「成程、分かりました。では、先に入っているので……中の噴水辺りで集合にしましょう」

 「わかった。杏花はどうする?」

 「私もお姉ちゃんと一緒に残っていい?」

 「うん、勿論だよ」

加那が微笑み頷く。

 「では、我々はお先に失礼します」

そう言った諸星は小谷、石川を連れてモールへと消えた。


*     *     *     *


諸星は小谷と石川を連れて、ショッピングモールの中へと入った。

中は所々に物が散らかり、電気が既にないせいで、うす暗かった。

まるで人と明るさだけが急に消えたような姿に、諸星は思わず顔を顰めた。

 「思ったより暗いですね……」

 「態々ライト持ってきたかいがあるってもんだ」

光に照らされ浮かび上がるモールの姿。

その中で、石川は体を強張らせていた。

 「暗くて薄気味悪いです……」

 「そういえば石川さんは暗視恐怖症でしたね」

 「あぁ、こいつのは自称な、自称」

胡散臭げな表情で石川を見る小谷。

 「違います! 自称じゃないですぅ!」

 「貧弱貧弱だなぁ。俺はこんな程度じゃビビらんぜ~」

 「あっ……一人で先々行くのは―――」

一人速度を上げた小谷に、思わず諸星が声を上げたときだった。

 「うわッ⁉」

小谷が突然前方へと転んだ。

 「急にどうしたんです?」

 「何かが足に引っかかったな。ったく、いってぇぜ……」

痛そうに膝をさする小谷。

ジッと辺りを見ると、足元にきらりと輝く琴線らしきものが張られていた。

 「何故こんなものが……」

諸星が腰を降ろし、琴線を観察している時だった。

背後から震える石川の声が聞こえた。

 「あのぅ……」

 「はい?何かありましたか?」

諸星は不思議に思いつつも、琴線を見たまま聞き返す。

すると、今度はさらに震えた声が背後から聞こえてきた。

 「変な人たちが……」

 「変な人……?―――まさか」

嫌な予感が脳裡を過った諸星は、勢いよく振り返った。

すると、通路の影から何十人もの青年が姿を現していた。

無言で、じわじわと包囲してくる。

まるで、青年達と諸星の間に不可視の壁があるかのように、一定の距離を保っていた。

 「ひえぇ……」

石川が身を縮ませ後ずさる。

 「おいおい、マジか……」

 「……先客がいましたか」

諸星が驚きつつも、冷静に声を発する。

しかし、多勢に無勢。敵対は不利、と諸星は瞬時に考えた。

 「我々は偶々ここを訪れただけです。話をしませんか?」

 「――いいぜぇ、俺がちょっとだけ話を聞いてやるよ」

青年たちが左右に割れ、その奥から一人の青年が現れた。

目に獰猛な光を宿したその青年は、にやりと笑う。

 「――ンで……お前ら、ここに何しにきたんだぁ?」

面白いと思ったらいいじゃんしてね!高評価よろしくお願いします。

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