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第78話 激戦!!聖教会本部での攻防2

本部内でも激しい戦いが繰り広げられていた。

レルダンのアーツ『朧月下』が縦横無尽に化け物を蹂躙していく。


「ふん。確かに強い。が、俺の敵ではない。デイルード、レイルイド、ファルカン、貴様らの新しいジョブはお飾りか?根性見せてみろ」


「言われるまでもねえっ!……奇跡のジョブ『斉天大聖』の力、見せてやるっ!!はああ、分身5体っ、蹂躙しやがれっ!!!」


レイルイドが印を結び、現れる黒き人物5名。

視認できないような速さで、外にいるよりも数段強い異形の者たちを蹂躙し始める。

あたりに青みのかかったおどろおどろしい体液がまき散らされていく。


そして分身たちを上回るスピードで無双するデイルード。

珍しいドロップ品も抜け目なく回収していく。


「やるなレイルイド、デイルードも。……俺も負けてらんねえな……はああ、顕現せよっ『セイクリッドシールドッッ』!!」


突入部隊であるレルダン・レイルイド・デイルード、そして本人であるファルカンを光輝くシールドが、邪悪に染まりつつある建物の中を満たす瘴気を弾く。


そして聖騎士である彼の剣戟が異形の物を浄化していく。


「ふん、さぼっていなかったこと、褒めてやる。っ!?美緒たちが来たようだ、お前ら情けない姿さらすなよっ!!」

「「「おうっ」」」


「レルダン、ご苦労様!!……凄い、みんな……本当に強くなったのね……あなた達は私の誇りです。少しばかりの援護を……『オールリジェネ』」


戦闘の場に駆け付けた美緒は心を込めて賢者のバフを兼ねる常時回復魔法を付与、清廉な光に包まれる4人。


沸き上がる歓喜。

4人の目が煌々と光を増す。


「おお、なんという心地よき光……美緒、ここは任せるといい。お前は元凶を」

「うん。レルダン、無理しないでね。……絶対に倒して来るから」

「承知」


いうが早く一瞬で消えるレルダン。

美緒たちの進行方向にいる異形を弾き飛ばしていた。


そしてついにたどり着く美緒たち7人。


初めてのバトルシナリオ。

対魔物ではない、美緒のシナリオ上での初戦闘が幕を開ける。



※※※※※



「フン、きさまがゲームマスターか……何とも貧相な小娘ではないか?……わらわも舐められたものよ。そんなちっぽけな魔力でわらわをどうにかしようなど。……片腹痛いわ」


神の間―――


かつての清廉さは鳴りを潜め、まさに魔界と呼べるように瘴気に包まれし空間に変貌を遂げていた。

反射的に放たれるロッドランドの聖なるオーラが7人を包み込む。

その力がなければきっと正常でいられることのできないほど部屋を包む瘴気は異常な濃度になっていた。


「レジストするか……確かに貴様ら、わらわの前に来る資格だけはあるようじゃな」


対峙した邪神リナミスが口から瘴気をまき散らしながら、悍ましく変化した肉体をうねらせ濁った瞳で美緒を睨み付ける。

美しい女性と聞いていたが、すでに見る影もない。


そして一斉に襲い掛かってくる超高レベルの10体近い異形の魔物たち。


「下らん。『神の絶壁』」

「美緒さん下がって……はああ『ホーリーシールド』」


リンネとロッドランドの紡いだ障壁、一瞬で異形の物の自由を奪い取る。


確かにリンネやロッドランドよりは異形の者たちはレベルが高い。

しかし相性が最悪だった。


口から意味不明の、言葉にならぬうめき声をあげ、耳障りな音とともに四肢を引きちぎられていく。


そして戦闘が始まる。


「うにゃー、みんな限界を超えるにゃ!!戦意高揚!!『凱旋序曲』!!!」


ミネアの体から噴き出す美しく輝く紅い光、皆を包み込み心の底から万能感が湧き上がる。

美緒のバフですでに上がっていたステータス。

全てのステータスがさらに30%上昇する。


「これでも喰らえっっ!!ディバインスラッシュ!!!」


ほぼ同時にルルーナの剣技がすでにダメージ喰らっている異形の塊を巻き込み、邪神までをも吹き飛ばした。


ズガガガガガアアアーーン!!!!

激しい衝撃音とともに砂ぼこりがもうもうと舞い視界を奪う。


「凄い、みんな……わ、私だって……ええいっ、上級火遁、『火竜の咆哮』!!」

「ならば私も便乗させてもらうっ!!『火遁』!!」


下忍ミカ。

ギルドでの訓練で取得した上位忍術が邪神もろとも苛烈な業火で追い打ちをかける。

そこにミリナの火遁が混ざり合い、相乗効果で限界を超える業火が部屋を飲み込んだ。


蹂躙する超高温の火柱。

思わず目をかばうように手で覆う皆。

そして視界が開かれたとき―――


絶望が皆の心を包み込む。


「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」


ゆっくりと消えていく黒煙、


「なんじゃ?……この程度かえ?……効かぬな、今は冬故……暖房か?気が効くのう」


無傷の邪神が異形の者たちを吸収し、嫌悪感を増幅させるような姿を現す。


「なんだと?!……無傷?」


思わずたたらを踏むミリナ。

嫌な汗が背中を伝う。


「今度はわらわの番じゃな…簡単に死んでくれるなよ?……『死へのいざない』」


邪神の体から悍ましい大量のおどろおどろしい魔力が吹き上がる。

そして美緒たち7人を包み込んだ。


「…っ!?……う、……ああっ?!……………くうっ………‥」


激しくレジストする7人。

空間が軋むような音を立てる。

それでも纏わりつく悍ましい魔力。

その様子にリナミスはにやりと顔を歪ませた。


「くかか、つまらぬ。……確かに強いが……所詮わらわの敵ではない。……じゃが駒を失ったのは計算外じゃな。次は……っ!?な、なんじゃと?!!」


究極の呪詛。

耐えられるものは存在しない。


はずだった。


しかし―――――


魔力の靄が消えたそこには、瞳に光を宿し、美しいまなざしをリナミスに向けている美緒と6人の仲間、全員の姿があった。


そしてふっと目を細め『悪い美緒』が高らかに言い放つ。


「……くだらないのはどっちなのかな?ねえ。さっきの何?……某ゲームのキャラが使う『臭い息』かしら?」


鼻を摘み、小ばかにするように顔の前で手をひらひらさせる。


「……あなた歯磨きしてるの?とても臭かったのだけれど。身だしなみに気を使えないなんて……女性失格ね」


そう言って自身の魔力を解き放つ。

余りの魔力圧に部屋全体の空間が軋み出し、悲鳴を上げ始めた。


邪神リナミスの顔から余裕が消える。

全身に経験したことのない怖気が駆け巡る。


「な、な、何じゃと?……き、貴様、何をした?」

「はあ?べつに?……そうね。……『ふうっ』と息を吐いただけかな」

「い、息じゃと?!!!ば、馬鹿にするなっ!!!わ、わらわの……」

「あら、淑女のくせに、余裕すらないのね。……私飽きちゃった。……お仕置きが必要ね」

「っ!?ぐはあああああっっっ!!????」


突然真横に吹き飛ばされるリナミス。

顔がおかしな方向へと歪んでいる。


「あら?そんなに醜くぶくぶくしていても軽いのね?贅肉しかないのかな?」


美緒はあまりある魔力を物理に変換、ステータス値30000を超える数値でただのビンタをかましていた。


邪神リナミス。

確かに精神戦闘特化だが…


だが展開していた結界、それはほぼすべてを無効化するほど強力だった。


しかし―――


美緒の物理攻撃。


それには隔絶解呪に聖魔力、いくつもの力が備わっていた。


つまり―――


「ひ、ひぐ、……ぐ、ぎ、ざ、ま……ぶべらっ!???」

「うるさい。しゃべらないでくれる?耳が汚れてしまうわ」


吹き飛ばされたリナミスの目の前に転移し、今度は下から掌底を突き上げる。

天井に叩きつけられ、同時にあり得ない複合した魔力に蹂躙されるリナミス。


既に意識が途切れ―――


数秒後まるでゴミのように地面に叩きつけられた。


「あら?もうおしまいなの?………あんたがやったこと、そしてあんたの眷属がやった悍ましい事…私は絶対に許さない」


そしてさらに吹き上がる美緒の超絶ぶっちぎりの魔力。


まさに破壊神。

とんでもな怒気とともに、美緒は一歩前へとその歩を進めた。



※※※※※



余りの超絶な力。

思わずみなが身震いをしてしまう。


「み、美緒?……そ、その、それくらいで…」

「……リンネ?……どうして止めるの」


スイッチの切り替わってしまっている美緒。

恐ろしいほどの無慈悲な低い声。


「ひうっ?!!え、えっと…き、聞くことあるんでしょ?…だ、だから…」


思わず涙目になってしまうリンネ。

ルルーナとミネアは抱き合って震えてしまう。


ロッドランドも目を潤ませていた。


「…………ふう。……そう、ね。……ごめんねリンネ。みんな」


ようやく美緒から凄まじい魔力が霧散していく。

ほっと胸をなでおろす6人。


美緒の初のシナリオ上の戦闘。


本来後衛であるはずの聖魔賢者美緒の、まさかの物理攻撃。


たった2発。


ビンタと掌底で幕を閉じた。


皆が身震いするほどの威力に、ロッドランドは思わず遠い目でつぶやく。


「……美緒さん、怒らせたらダメな人だったんだ……はは、は……」



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