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第40話 初めてのお出かけ計画

そんなこんな日常をはさみつつも。

ギルド本部は活気にあふれていた。


多くの仲間がジョブの上限にたどり着き、新たなジョブに転職し『さらなる力』を手に入れていた。

誰でもそうだけど、やっぱり強くなることは素直に嬉しいよね。


私の大切な友達、ミネアとルルーナも。

彼女たちの願いと努力、それが実を結んでいたんだ。



※※※※※



「うにゃー♡うち新しいジョブ『精霊舞踏士』にゃ!!……今よりもっとみんなの役に立てるにゃ―――」


久しぶりにリアと二人でまったりしていると、興奮した様子のミネアがルルーナを伴い私の自室へと訪れ開口一番喜びを爆発させた。


顔を上気させ、種族特性の耳がピコピコ動いている。

ちょー可愛い♡

即興で華麗な舞まで披露し、同姓の私でも思わず見とれてしまった。


っ!?また育ってる?!


思わずガン見してしまう。

はっ、いかんいかん。


コホン。


ミネアは今までは基本後衛だった。

そしてとっても有能だ。


だけど。


踊り子は補助的なジョブでバフ要員。

しかも準備が必要なスキル構成だ。

直接戦闘には向かない。


でも彼らは盗賊。

どこぞの騎士団のように常に編成が可能なわけではない。


ミネアが凄いのはそこからだった。


彼女は隠密ジョブを持つモナークに鍛えられ、結構エグイ戦闘を習得。

音もなく華麗な体さばきで接近し急所に一撃を加える、いわゆる『一撃に特化』したスタイルを確立していた。


そして何よりも踊り子のスキル『鼓舞』のダンスによるバフの効果が桁外れ。

親愛と優しさに溢れた彼女のバフの効果は、あり得ない高みにあった。


あそこまで効果を出す戦意高揚はなかなかお目にかかれるものではない。


実は私ミネアには『クノイチ』あたりが出現するかと思っていたんだけど……


『精霊舞踏士』


……うん。


戦闘もこなせ、バフ魔法も豊富。

何より踊り子のスキルを引き継げる。


優しくて仲間想いのミネア向きよね……


「おめでとうミネア……頑張ったんだね!私嬉しい」

「にゃー♡美緒が喜んでくれて、うちも幸せにゃ♡」


良い報告に彼女は目を輝かせていて、とっても可愛い。

私は思わず抱きつき、そっと手を伸ばしピコピコ動く耳に触れた。


なぜか一緒にお茶をして居たリアが目を見開く。


「っ!?ひゃん?!うにゃ?み、美緒??!!」


うあ……めっちゃ気持ちいい♡

……触り心地やばい!?


軟骨があるのか、少しコリッとした感触が私の指先に伝わった。


途端に真っ赤になり目を潤ませるミネア。

震えている?


「っ!?ご、ごめん?!……つい…」


慌てて手を放すとミネアは一瞬で私と距離をとってしまう。

なぜかリアの後ろに隠れ、こちらをちらりと覗いてくる。


「あー、ダメよ?美緒。ミネアさ、耳ちょー弱いんだから」

「むう、美緒ズルい。私も触りたかった」

「う、うん、ごめん。……えっと?……ミネア?」


「まあ、大丈夫だよ美緒。少ししたら落ち着くから」


流石付き合いの長いルルーナ。

彼女の言葉に私はほっと胸をなでおろした。


「コホン。じゃあ私も報告するね。わたし『ヴァルキュリア』になったよ♡……上位ジョブだよね」


ルルーナはまさに奇蹟のジョブを手に入れていた。


ヴァルキュリア、女性版聖騎士。

いや神の親衛隊。

一番の条件は崇高で潔癖な心。


その神に愛されし一撃は山をも砕く―――


殆ど見ることのできないレアな上位ジョブだ。


今までの彼女は『索敵助手』という、実際たいしたことのないジョブだったんだけど……兄であるザッカートから話を聞いていた彼女は聖堂へ行く時私を同行させていたんだよね。


そして現れた選択肢―――


「びっくりしたけどね。これで回復魔法も使えるようになるし、少しだけど聖魔法も覚えられる。何より私も戦える。ありがとう美緒」


「ううん。私は何もしてないよ?あなたの努力が実ったの。……私の友達最高過ぎ!!」


私はルルーナの手を取り誇らしげな彼女の顔を見上げた。

私を抱き寄せ優しく髪を撫でてくれる私より背の高い彼女。

自然と胸のボリュームを感じてしまう。


「……ねえルルーナ」

「はうっ、可愛い♡……ん?なに?」

「また……育った?」


私はそっと彼女に体を寄せる。

そして私からも彼女を抱きしめた。


「ちょ、ちょっと?美緒?」

「むう。また育ってる……ズルい」


ううー。

ルルーナもミネアもズルい。


どんどん女性らしくきれいになっていく。


私はルルーナと抱き合いながら視線をリアに向けた。

なぜか赤い顔でハアハアしているけど?


うーん。

リアもめっちゃ可愛いしとっても美しいもんね。


…胸も私より大きいし。


確かにうちの女性陣、やばい。

あとは超絶美女のリンネと可愛らしいアリア。


こりゃあ男の人たち………興奮しちゃうよね。

……わたし、こんなに大きくないけど?


この前ザッカートに言われたことが頭によぎり顔を赤くしてしまう。


ここは禁忌地リッドバレー。

普通の町とは違う。


内緒で娼館とか行けないんだ。


(うん。少しは私も反省しよう。……娼館くらい、笑って送り出そう。うん。後ろめたさを与えたらダメだ)


そんなことを考えていた。

……ずっとルルーナと抱き合いながら。


「……うう……み、美緒?……スキル、切って~」

「あっ……ごめん。つい…」


私はうっかりパッシブの魅了、切るのを忘れていた。

今の私の魅了はとんでもないレベルだ。


同姓であるルルーナさえ、顔を赤く染め、鼓動は早鐘のようになってしまっていた。


「はうっ♡美緒、テクニシャンで可愛いとか?!うう♡」


リアさん?

どういうコメントですか?


……私、変なスキル生えてないよね?



※※※※※



「ねえ美緒はさ、転移門使えるのよね?」


ちょっと私がはっちゃけたおかげで微妙な空気が流れていたが、すかさず正気に戻ったリアがお茶の準備をしてくれ、今は4人で楽しんでいるところだ。


「うん。使ったことないんだけどね。エルノールが『絶対にダメです。危険すぎます』とか言うし。まあ実際忙しかったってのもあったんだけど。……でもそうだね。使ってみようかな」


「私も付いて行きたいっ」

「う、うちもにゃ」

「わたしも…行きたいな」


一応ここは色々な施設があり、衣食住に関しては問題がない。

もちろんお酒とか飲物も充実している。

娯楽は……お風呂とか?

一応図書館とか私が作ったジムもあるんだけど……


うん。

たまには出かけたくなるよね。


異世界転移してからもうすぐ6か月。

確かに私、一度交易都市イリムグルドに作戦の時行ったきりだ。

まあギルド周辺の森にはしょっちゅう行っていたけど…


あれ?

私……


引きこもり?!


背中に嫌な汗が流れる。


「美緒?どうしたの」

「な、何でもないよっ、あはは、はは……」

「変な美緒。……ねえ、お洋服とかアクセサリーとかさ、スイーツとか見に行こうよ!私、世界最先端の皇都に行ってみたい♡」

「こ、こ、皇都?!にゃー、凄いにゃ!美緒、いけるのにゃ?」

「本でしか見たことない最先端都市……ふああ、凄い」


お友達とお出かけ………

考えただけで私の顔は赤く染まり心臓が高鳴りだす。


「……行きたい……お出かけ……友達と……私……行ったことない…」

「「うん♡」」

「にゃ♡」


こうして私たち4人は楽しく予定を話し合っていった。


初めての経験。


ドキドキが止まらない。



※※※※※



「ダメです」


敢え無く却下される私たちの計画。


「兄さま?!……どうして…」

「4人で行くのだろう?」

「う、うん」

「ダメだ。危険すぎる。……ふう。事前に聞けて良かった。美緒さま、私が同行いたします。あと護衛として数名お供させていただきます」


エルノールは優しい表情で私を見つめる。


「美緒さま、そしてリア、ミネア、ルルーナ」

「は、はい」

「「……はい」」

「にゃ」


「貴女たちは美しすぎる。自覚してください。……4人でなど、まさに襲ってくださいと言わんばかりだ。強いとか魔法が使えるとかそういう事ではないのです。それに行くのならリンネ様とアリアも連れて行ってあげてください。彼女たちだって大切な仲間です」


「っ!?……ありがとう。エルノール」

「いいですか?護衛は必須。そうでなければ許可しません」


エルノールは遠くを見るような目で言葉を紡ぐ。


「私は嬉しいのです。美緒さまが自然体で振舞われるようになって。……以前のあなた様は張りつめすぎておられた。今ならリンネ様の言葉が良く解ります」

「リンネ?」

「……独り言ですよ。じゃあ早速予定を決めましょうか」

「うん」

「「やったー」」

「にゃ♡」


手を取り合い喜ぶ4人。

エルノールはその様子をにっこりと微笑み見つめていた。


※※※※※



2日後。


私たちはエルノールと護衛5人を引き連れて、皇都バラナーダへと降り立った。


…まさかあんなことになるとは。

用意された衣服となぜかばっちりメイクを施され、私は嫌な予感がしていたんだよね。


はは、は……



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