第249話 生命の輝き
時は少しさかのぼる。
ほぼ同時進行で。
神話級の戦いが繰り広げられている中。
緒戦であった『対ゼギアノード』は決着を見ていた。
突然戦場に現れた美緒。
激しく消耗し、既に存在すら揺らいでいたゼギアノードを吸収。
“悍ましい感情”をどうにか消化しながら、光に包まれ再誕したミリナに視線を向けていた。
「ミリナ…無事だった…いや。…あなた獲得したのね?生命の神秘、究極の再生忍術――アマテラスを」
神々しい光が幾重にも紡がれ。
まるで大きなつぼみが開くがごとく姿を現すミリナ。
彼女の目が開かれる。
「ああ。美緒殿…っ!?十兵衛?マール?」
「うん。あなたの力で、助けてあげて?」
秘術と――妖刀であるムラマサへの生命の付与。
命を懸けたまさに鬼神の一撃。
それを行使した十兵衛は、まさにその“存在”が消えかかっていた。
さらにはスサノオと同化し、狂い暴走していたマールデルダ。
今彼に意識があること自体、まさに奇跡だった。
「マール…愛しています…十兵衛、ありがとう…『極限再生…旭日降臨』」
神聖な光が戦場を包み込む。
大気が歓喜に溢れ、心の奥底からあふれ出す慈愛。
細胞が新たに創造され、生命の息吹がまさに再誕。
消えかけていた十兵衛、
そしてすでに限界を超えていたマールデルダ。
彼らの存在が――愛に満ちた神聖な光によりその濃さを増す。
世界の再臨。
戦場には愛が溢れ――奇跡が紡がれていた。
「…ふう。とんでもないわね…ん?…これって…」
究極の術式を展開させるミリナ。
彼女の下腹部で微かな生命の息吹が鳴動を始める。
(…まさか?…でも…)
結ばれたマールとミリナ。
そして。
新たな命、それがすでにミリナに宿っていた。
(…究極の最終忍術『アマテラス』…その獲得条件――)
ゲームマスターである私の脳裏におばあ様、ルーダラルダ様の思念が沸き上がる。
『ふふっ…ついにあんたの仲間…掴んだんだね…そうさね…愛、そしてその結晶…』
(…ああ…そういう事だったんだ…)
「くっ?!」
私が思念に囚われていると、ミリナから苦悶の声が上がった。
凄まじい魔力の行使。
それはミリナの精神を激しく消耗させていく。
よろけるミリナ。
私は優しく彼女を抱きとめ、瞳を見つめた。
「す、すまない美緒殿…マールも十兵衛も…無事、だな」
「ええ。凄いわミリナ。…ねえ」
「ん?」
今のミリナは、まるで神話に登場する創世の神、アマテラスそのもののような衣装に包まれていた。
荘厳な装飾、そして纏うすさまじい魔力。
しかし。
「…あなた…妊娠しているの?」
「………………は?」
トクン。
ミリナの体の中から、自身とは違う鼓動の鳴動。
思わず下腹部に手を当て、戸惑うミリナ。
正直ミリナとマールが結ばれたのはいわゆる“納日”である昨年末の早朝。
あれからおよそ1か月半。
妊娠していたとしても、まだ気づかないタイミングだ。
「な、なにを…うあ…ま、まさか…」
「……“おめでた”だね」
※※※※※
最終忍術アマテラス。
ジパングで隠密の頭領である半蔵が、研究を重ねていた究極の忍術。
しかし――
彼等は根本を間違っていた。
最終忍術と言われるアマテラスとスサノオ。
それらはまさにこの世界の真理、二面性を体現した忍術だった。
つまり。
単体での発現、あり得ない摂理だった。
そして。
凄まじい破壊と再生の権能。
まさにこの世界の常識を逸脱する力。
非常に“重い条件”が必要だった。
この世界を創造したルーダラルダが届いていた“想い”――
つまりはすべてを覆しうる、愛という感情。
その極限、さらには体現したものしか習得を許されていなかった。
究極の愛の体現。
新たな命の創造。
愛し合い、子宝を授かり――
真にお互いを想う、さらには器たるべく鍛え抜かれた精神と体。
美緒の究極の幸運値。
それも相まって、ついにその対象者としてミリナとマールが選ばれていた。
究極の破壊の力――スサノオ
究極の再生の力――アマテラス
そしてそれを調停し繋ぎとめる新たな生命――つまりは二人の愛の結晶。
遂にたどり着く、この世界に秘された究極の力。
美緒は、その仲間は――
この世界を守り、そして敵対するものを滅ぼす力。
ついに獲得していたのだった。
※※※※※
「…ミリナ…無事なのだな」
「うん。マール…あなたも無事?」
「ああ。ふっ…まさか弟子に命を救われる日が来るとはな」
刹那の安息。
お互いを見つめ合い、言葉を交わすミリナとマール。
その様子を私と十兵衛は優しい瞳で見つめていたんだ。
「っ!?」
「む…美緒殿…これは」
突然別の場所で弾けるあり得ないほど濃密な魔力。
ザッカート?
…いけない!!
「ミリナ、力貸してくれる?」
「っ!?あ、ああ。…もちろんだ」
まだまだ続く神話級の戦い。
私はミリナとマール、そして十兵衛を伴い。
レイザルドと死闘を繰り広げている場所へと転移したんだ。
まさに死闘
そしてほぼ全滅となってしまった私の大切な仲間。
だけど。
獲得した究極の再生の力。
全てを覆す。
私はさらに決意を込めていたんだ。
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