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第238話 続、決戦前夜

この世界レリウスリード。


創造神であるおばあ様、ルーダラルダ渾身の想いの詰まった世界だ。


彼女は実に多くのロマンを積み込み―――


そして最終最後、虚無神に勝つためにいくつかの秘策を構築していた。


おそらく数万回は構築を繰り返した世界。

そして悉く虚無神に裏をかかれ、最終最後必ず消えてなくなる世界―――


敵だと思っていた虚無神、実にそれを乗っ取っていたのは別の次元、つまりは創作であるこの世界を根本から覆すことのできる『いわば上位である世界』、そこの住人である『鳳乙那』


彼はきっと本当の大元である『原神』その力を得ている超絶者のはずだった。


そこでルーダラルダは最後の賭けに出る。

いわゆる切り離す。


創作者自らすらも分からない結末に向け、実際の作者である上位次元に存在していた守山奏多の目までをも欺き…


ついにここまでたどり着いた。


シナリオ上では絶対に揃わないメインキャラクター20名。

そして本来登場しないはずの悪魔たち。


ついに今回、その悪魔を殲滅する可能性のある場面までたどり着けていた。


違うシナリオでさんざん苦しみ絶望していた美緒。

そしてその中で冷静に判断し、勝ち筋を見据えていた三人目の美緒。


同一の存在の中に同居するその存在。

それはまさに原神そのものだった。



そして。


物語は動き出す。


誰も知らない、本来はそうであるはずの『シナリオのない局面』へと。



※※※※※



美緒の自慢のギルド。

伝説の、そして世界を救うギルド。


決戦前夜。


そんなギルドの中ではまさに創造神ルーダラルダが思い描いたロマンスが溢れていた。


気付いていた。


どんな力よりもすべてをくつがえすべき力。


『愛』


まさに翌日の決戦に向け決意を決めていた勇士の皆。

最期になるかもしれない逢瀬。


それはとんでもなく濃密で。


多くのギルド員たちは改めて自身の想いを認識していた。



※※※※※



コンコン。


夜半―――


明日に備え就寝していたモミジの部屋にノックの音が響き渡っていた。


「…はい…っ!?…十兵衛?…きゃっ?!」

「モミジ殿…」


嫌な気配がない事で、おもむろにドアを開けたモミジ。

いきなり入ってきた十兵衛に、まるで宝物のように優しく、それでいて情熱を纏う瞳に見つめられながら抱きしめられた。


「あうっ?!…じゅ、十兵衛?…うあ♡」

「モミジ殿…モミジ殿…」


まるで存在を確かめるかのように、優しく、それでいて執拗にモミジの体を撫でまわす十兵衛。

思わず甘い吐息が零れてしまう。


「あんっ♡…はあはあはあ…もう、十兵衛?…落ち着いて?」

「う、うむ。…すまぬ」


いきなりの抱擁。

すでに二人の顔は赤く上気していたが…


そうはいってもこれでは埒が明かない。


経験豊富なモミジはじっと十兵衛を見据え、妖艶にほほ笑みつつもソファーに座るように促した。


「嬉しい。…でも…突然ね?」

「う、うむ。…なあ、モミジ殿…拙者は明日、死ぬかもしれん」

「っ!?」


明日の決戦。

おそらく今までの比ではない。


何より戦う相手はすべて上位者である悪魔たち。

殺すことも出来ず、純粋の力は圧倒的に上回られ…


さらにはその能力すらギルドの皆は知らない。


今回の戦いにおける十兵衛の役目は死聖ゼギアノードの討伐。

もちろん単騎での戦いではない。

このギルド戦闘最強であるマールデルダ、さらには天使族の英雄ミリナ。


メインアタッカーとして3名が指名されていた。

その一角を担う十兵衛。


彼は自らに課していた禁を破る決意をしていた。


妖刀ムラマサ。


最終最後、いわゆる虚無神との戦いで使うと決めていたその力。


彼は明日それを使う事を決意していた。


「…十兵衛…あなたは死なない…絶対に…」

「モミジ殿…」


そんな決意をした十兵衛にそっと抱き着くモミジ。

耳元にささやく。


「…あなたのその優しい大きな手…私とあなたの赤ちゃん、抱くのでしょ?」

「なっ?!…あ、赤ちゃん?!!」


おもむろにベッドへと誘導するモミジ。

そして十兵衛に抱き着く。


「…作るわよ…私とあなたの赤ちゃん…優しくしてね♡」

「モ、モミジ殿……」


濃厚な抱擁。

それは朝方まで続いたのだった。



※※※※※



一方サロン。

すでにほとんどのギルド員は就寝し、今ここにはルルーナとスフォードの二人がお互いを見つめ合っていた。


「コホン。…そ、その…ルルーナ」

「……うん」


そっと抱き合う二人。

今だ身体を重ねていない二人だが、明日の決戦を前に熱い想いがあふれ出していた。


「…お前は俺が守る…絶対にだ」

「うん…ねえ…」

「うん?」


一瞬離れ、熱い瞳をスフォードに向けるルルーナ。


「…私たち、明日死んじゃうのかな」

「ば、馬鹿…そんな訳…んぐ?」


突然抱き着き熱いキスをするルルーナ。

さらには自身の体をスフォードに預ける。


「…抱いてほしい…私も死ぬつもりなんてない…でも…相手は想像を超える敵…スフォード…怖い…怖いの」

「っ!?…ルルーナ…ルルーナ……」


優しく、そして強く抱きしめるスフォード。

そして彼はルルーナを抱き上げ、自室へと進む。


「……ルルーナ」

「…うん」

「愛している」


遂に結ばれる二人。

翌朝決戦の時―――


ルルーナの力はかつてを凌駕していたんだ。



※※※※※



多くの者が愛を確かめ合った決戦前夜。


美緒のギルドの力はかつてを凌駕していた。


そして。


いよいよ決戦の火ぶたが切って落とされる―――


その初戦となる死聖ゼギアノード。


とんでもない破壊にまみれるそれは、まさに想像を超えていた。


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