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第235話 超絶者の恋模様

ドルンとガーダーレグトは既に黄泉の頂、最奥を攻略。

獣人族の怪しい奴らを悉く無力化し、最奥の部屋へとぶち込んでいた。


当然だが囚われていた少女は解放済みだ。


すでにギルドの戻っているのだが。

相変わらずレストールたちは鍛錬と言うか攻略を続けていた。



※※※※※



黄泉の頂第17階層―――


此処での魔物は『シャドウデーモン』がどうやら住み着いているようで。

物理に依っているレストールたちは討伐に苦慮していた。


「くうっ…剣戟が効かない…」

「レストール、魔力を纏うんだ…剣にも這わせろ」

「うぐっ、む、難しいんだよ?!」


シャドウデーモンたちのレベルは80前後。

正直最低でもAランク位でないと対応の難しい魔物だ。


「くそっ?!…ていうか何でルノークは軽々倒してるんだ?…そこまで実力差があるものなのか?」


シャドウデーモンの阻害魔法をどうにかレジストし、レストールは吐き捨てる。


「うん?経験の差?…ほらよっ!!」

「グギャアアアアアアアアアアア――――――?!!」


剣に青白い光を纏わせているルノーク。

あっさりとシャドウデーモンたちを無力化していく。


ラミンダの魔法も実に効率よく、シャドウデーモンたちを消し去っていた。


「ぐうっ…わ、私の魔法…そもそも当たらない…きゃっ?!!」

「っ!?カナリナ?!…無事か?」


シャドウデーモンの特殊スキル『エナジードレイン』

それを躱したカナリナだが…足を滑らせ転んでしまっていた。


「ううう、きつい…むう。ラミンダズルい」

「へっへー。コイツらはさ、ある程度パターンがあるんだよね」


エンカウントした5体のシャドウデーモンの群れ。

どうにか殲滅し6人は大きくため息をついた。


「…索敵完了…しばらくこの周囲には気配はないぞ?」


どうにか倒し、肩で息をするロミューノ。

しっかりと仕事をこなし、今全員がお互いの背を守りながら陣形を組んでいた。


「ふう。少し休憩しよう。…ダグマ、大丈夫か?」

「う、うん。…問題ない…」


背中を切り裂かれていたダグマ。

傷は浅いようで、どうにか立ち上がっていた。


「…ここは17階層だよな」

「そうだな。…今日はここまでにするか。…少し早いが…無理は禁物だ。各自損耗のチェック」

「はい」

「うん」


頼りになるリーダーのルノーク。

どうしてもレストールは劣等感が沸き上がってしまう。


「…レストール」

「…うん?」


そんな彼の肩に手を置くルノーク。


「…慌てんな。お前まだ17歳だろ?…17歳でその力…充分誇っていいレベルだ」

「…でも…俺…」


つい下を向くレストール。

ふいに温かく柔らかいものに包まれた。


「レスト…大丈夫だよ…私、守ってもらえてすっごく嬉しいもの…ね?」


花がほころぶような笑顔を向けるカナリナ。

思わずレストールは顔を赤く染めてしまう。


「コホン。とにかく慌てるな。問題なくお前は強くなっている」

「…はあ。…分かったよ。ありがとうルノーク」


まだまだ若いレストールたち。

何しろ経験が全く足りていない。


ルノークはその様子を見やり、幾つか思考を重ねていた。



※※※※※



一方10階層、マザーレナデルの住処。

今ここはとんでもないピンクのオーラに包まれていた。


「あうっ♡ルデーイオ様♡」

「う、うむ。…お、おい。少し離れろ」


まるで接着剤でも使ったのかと言うくらいにルデーイオにぴったりと体を寄せているマザーレナデル。


彼女は今、最高の幸せを感じていた。


「はあ。マザー…おいら邪魔かな?」

「うん♡」


即答。


まるで少女のように目を輝かせているマザーレナデル。

サッタは大きくため息をつき、家を出て行こうと踵を返した。


「お、おい。ちょっと待て」


そんなサッタにルデーイオは声をかける。

こんな状態で二人きりにされてしまえば。


早晩とんでもない状況に陥ることは明らかだった。


「…えっと…ルデーイオ様?」

「う、うむ」

「…諦めて」

「ぐうっ?!」


正直今回、彼は美緒から色々と注意を受けていた。


『ちゃんとしなさい。愛するならちゃんと愛して。…中途半端は一番ダメだからね!』


思い起こされる美緒の言葉。

彼らエンシャントドラゴンは超常の存在。


本来ヒューマンの言葉など、聞く必要すらないのだが。

残念ながら今のルデーイオでは全く美緒にかなわぬ状況。


絶対者に従うのは生物の摂理だった。



※※※※※



サッタが居なくなった寝室。

とんでもない色気を纏うマザーレナデルが、不意にしおらしい態度に急変していた。


「…あの…ルデーイオ様…ワシの事…お嫌いですか?」

「うぐ…い、いや…そんな訳…」


ルデーイオは以前、特に考えもなくマザーレナデルを抱いている。

まさに生物としての本能。

特に考えがあったわけではない。


しかし。


美緒のギルドでのいくつかの出会いと話し合い。


自分のその行い、今の状況の根源であるとルデーイオは理解していた。


さらには本来番うべき相手であるフィムルーナ。

はっきり言って番う事はほぼ不可能だ。


ならば。


もうコイツでいいのではないのか?


『あんたのその番いたい衝動…本来なら私も応援するのだけれどね?でも相手であるフィムにはそのつもりはみじんもないの。諦めなさい』


実にストレートに、彼は精霊王であるファナンレイリに言われていた。

さらには…


『えー?無理無理。…こんな状態で祝福なんて…出来るわけないですよね?』


龍姫であるエスピアにまでダメ出しを喰らっていた。


ルデーイオは大きく息を吐く。

そして決意をその瞳に宿した。


「レナデル…いや、レナ」

「は、はい♡」

「コホン……俺と番ってくれるか?」

「あうっ♡…はあはあはあはあ♡…ワシでいいのですか?」

「う、うむ」


まあ。

マザーレナデルだってはっきり言って絶世の美女。

何より彼女は竜神の末裔であるナーガの血を濃く引き継ぐラミアの特殊個体だ。


番う事に問題は実は無いのだ。


「…すまなかったな…だが。ずっと一緒にという訳にはいかぬのだ…許してくれるか?」

「はい♡ルデーイオ様は高位のエンシャントドラゴンですもの…使命がおありなのですね?ワシは…ワシはずっとお慕いしております…ここで子供の面倒見ますわ♡」


「う、うむ…レナ…」

「あうっ♡」


抱きしめあう二人。


超絶者はどうにか番うべき相手と巡り会えていたんだ。



※※※※※



ギルド、ハイネの部屋。

今ここではフィムルーナがハイネにべったりとくっつき、甘えていた。


「フィム?えっと…少し離れてくれるかな?ハハハ、ハ」

「むう。はいにいにのイジワル」


正直フィムは、ルデーイオと出会ったことで。

幼い心に宿す恋心、諦めかけていた。


美緒の隔絶解除で本来のプログラム、ほとんど失われていたとはいえ。

彼女だって高位の存在、その使命に対しては実は責任感を持っていた。


絶対に嫌だが。

顔も見たくないが。


だがやはり運命なのだろう。

フィムルーナの女性の部分が騒ぎ立てていた。


『番え』


そうフィムに、強制的な感覚として訴えていたのだった。


でも。


美緒の言葉。


『別に番う必要は無いよ?フィムはハイネが良いのでしょ?』


まさに救いの言葉。

フィムは心の底から感動していた。


だがここで大きな問題があった。

ハイネの気持ちだ。


フィムはもうそれこそ今すぐにだってすべてを捧げたいと思っていた。

彼女たちは超絶種。

いざとなればその身体だって番える状況には変態できる。


だが。


ハイネはまだ9歳だ。

当然だが性交など出来る状況にない。


何よりフィムはまだ知らないのだ。

ハイネがフィムの事をどう思っているのかを。


「…はいにいに」

「…うん?」


そっと抱き着くフィム。

どうしても怖くてその先を聞くことが出来なかった。


刹那優しいハイネの手がフィムの柔らかい髪の毛を撫でる。

心の底から温かいものに包まれるフィム。


「ふふっ。可愛い。…ねえ、フィム?」

「う、うん…なあに?」


「僕はさ…美緒が好きなんだ…でも。きっと美緒はボクを選ばない」

「…はいにいに」


なぜかわからないが胸の奥が痛い。

フィムは涙がこぼれそうになってしまう。


「少し待ってくれるかな…ボクもフィムの事…大好きだよ?でも…結婚とかは…まだまだ早いと思う」

「う、うん(ドキドキ)」


真直ぐな瞳。

大好きな優しい瞳。


「えっと。ボクもまだ9歳だからさ…色々わからないんだ。…これからも仲良くしてさ…そしたら…いつかこたえられると思う。…それでいい?」


優しいハイネ。

ますますフィムはハイネのことが好きになっていく。


「…う、うん。フィム、慌てないで待つ…だから…嫌いにならないで?」


そっと抱きしめるハイネ。

優しくフィムの髪を撫でる。


「嫌いになんてならないよ?…大好きだよ?可愛いフィム」

「う、うん。…フィムもはいにいに、大好き♡」


まだまだ幼い二人。

その様子を遠い場所で見ていたナナは、何故か娘を奪われる母親のような心情でいた。


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