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第230話 対悪魔1

美緒たち超絶者が集うギルド本部。

そしてその場所はまさに禁忌地であるリッドバレー。


此処には多くの結界と物理的障壁により基本訪れる者はいない秘境の地だ。


許可のあるもの、そして潜在的な資格者。

それ以外を悉くはじき返すまさに鉄壁の砦。


そんな場所に神聖ルギアナード帝国の皇帝であるドイラナード陛下とハインバッハ第一皇子がついに訪れていた。


転移ゲートが設置されているギルドの地下4階。

その扉の前では美しいジパングの装飾に身を包んだモミジが頭を下げ、歓迎の意を示していた。


「ようこそ我がギルドへ。わたくし、モミジがご案内させていただきます。どうぞこちらへ」


そう言い立ち上がり、優雅に歩き出すモミジ。

皇帝とハインバッハは静かにモミジの後について歩を進めた。


歩を進める中。

目に飛び込んでくるとんでもなく便利で、それでいて洗練されている魔道具の数々。


ついドイラナード陛下はため息を零してしまう。


「…凄まじいな…ハインよ。時期が来ればそなたもここに住まうのだな」

「…陛下。その時が来ること、私は切望しております」


初めて訪れた陛下とハインバッハ。

祖国である帝国はまさに世界の最先端。

しかし。


余りにも乖離するとんでもない技術に、二人はどうしても言葉が漏れてしまう。


「…違う目的で訪れたかったものよな」

「……はっ」



今回の世界を揺るがすガザルトによるテロ行為。

悪魔の能力により、世間一般には神聖ルギアナード帝国がガザルトを追い込んだ、その報復としてとらえられているが。


真実はただのテロに他ならない。

それを証明し、ガザルトに対し宣戦を布告する。


そうでなければ無辜の民、数万の命は報われることはないだろう。


「…こちらでございます」

「うむ。そなたは確か…ジパングの…」

「ええ。光栄ですわ陛下。わたくしはジパング当主の娘、モミジでございます。今はこのギルドの一員として活動させていただいております」


恭しく頭を下げるモミジ。

そして開かれるドア。


陛下たち二人はついにギルドの執務室へとたどり着いていた。



※※※※※



時間は少しさかのぼる。

ルギアナード帝国より転移門での来訪の少し前―――


今回の訪問、すでに通信石による伝達で美緒は承知していた。

今すでに同盟を結んでいる帝国。

陛下の近くにはすでに天使族のダリーズが控えている状況だった。


あの謁見の間での陛下の決断。

それを聞いたダリーズが即座に美緒たちのギルドへと伝えていたのだ。


通信を聞き理解した美緒。

彼女は自身で転移ゲートのある地下4階まで迎えに行こうと考えていたのだが…


エルノール始めリンネにまでもダメ出しをされる始末。


「コホン。あのねえ、美緒。あんた自分の立場考えなさい。ホイホイ迎えになんて行ってはダメなの。分かる?」

「ええ。リンネ様の仰る通りです。あなた様はまさにこの世界の希望。一国の皇帝程度、慮る必要はございません」


リンネの発言にエルノールの言葉。

なぜか賛同する多くのギルドの皆。


美緒は少したじろいだのはここだけの秘密だ。


そうはいっても誰かが迎えに行く必要はある。

何より地下にはいくつもの秘密がある我がギルド。

心配はないとは思うが案内は必要だろう。


「あの。わたくしにお任せいただけないでしょうか。これでもわたくしはジパング当主の娘…その大役、こなして見せます」


そんな中モミジが立候補をした。

彼女はまごう事なきお姫様だ。


何故か十兵衛が目を輝かせていたが?

そしてゾザデットのジナールが悔しそうにしていたが?!


まあ。


何はともあれモミジにその大役を任すことでギルドの皆は納得していた。



※※※※※



「美緒…この度は大変なことになってしまった。どうか我が国の侵攻、認めていただきたい」


ギルド執務室。

美緒をはじめここには今、リンネとガナロ、そしてファナンレイリ、さらには十兵衛とミコト、琴音の7名が控えていた。


そんな中モミジに案内をされ、皇帝であるドイラナード陛下が口上を述べ、美緒に対し頭を下げていた。


「陛下…頭をお上げください…今回の件、発端は私達のギルドの仲間…ジギニアルダから来た商工会長、ヤマイサークの主導によるものです」


今回のガザルトの窮状。

まさにヤマイサークが長年準備をしていた渾身の策だ。


実は事前に、当然ではあるがこのようなことを行う事、神聖ルギアナード帝国の皇帝であるドイラナード陛下には伝えてあった事実だ。


しかし。


まさかここまで追い詰めるとは、正直誰も思っていなかった。


まさに経済による侵略。

その効果は絶大だった。


「…承知はしておる。だが。…我が帝国の無辜の民…その数万が一瞬にして奪われたのだ。…流石に黙っている事は出来ぬ」


必死の形相。

まさに陛下の言っている事、誰もが頷かざるを得ない事だった。


「陛下…ですが。…一度ヤマイサークを呼びます。今のガザルトの状況、それを知らぬまま行けば…おそらくとんでもない被害を受けることでしょう…私は見てはおりません。ですが…おそらく悪魔による攻撃…私は確信しております」


「…うむ。確かに…だが。そのヤマイサークは…すぐにここに来られるのだろうか?」


今回のテロ行為。

おそらくガザルトは絡んでいない。


悪魔によるちょっかい。

間違いなくそうであると美緒は確信していた。


「ええ。今エルノールがヤマイサークのところに転移しました。すぐに…」


会話をしている最中に魔力があふれ出す。

エルノールともう一人の男性…ヤマイサークだ。


「…ヤマイサーク…先ほど念話で伝えた通りです。…情報の開示を」

「っ!?…ふう。承知しました」


突然連れて来られはしたが、今美緒が言った通り同期スキルの併用による念話、ヤマイサークは現状を理解していた。


普通なら信じられないほどの展開。

何しろ自分はまさに今さっきまで違う大陸にいたのだ。


改めて今自分がいるギルドの異常な力におののきつつもヤマイサークはため息をつき、陛下の前に跪く。


「コホン。お初にお目にかかります。ドイラナード陛下…私はヤマイサーク。元ジギニアルダの商工会長をしていたものです」

「うむ。…頭をあげられよ…単刀直入に問おう…今回の件…首謀者は誰なのだ」


流石は大国のトップ。

何よりルギアナード帝国は常にガザルトの情報を得ていた。

すでに陛下は今回の件。


ガザルトの意向でないことを確信していた。


何より今回の新型飛空艇。

その情報、正式には一切報じられていない内容だったからだ。


「…さすがですね…間違いなく悪魔による暴走。…『死聖』と呼ばれる悪魔、神官のような格好を好む…ゼギアノードと呼ばれる悪魔でしょう」


「…ゼギアノード…」


今現在、確認されている悪魔はつい先日倒したザナンクとルデーイオに大きな傷を負わせたグラコシニアの2柱だ。


新たに確認された悪魔ゼギアノード。


執務室は重苦しい雰囲気に包まれる。


「…ねえ、ヤマイサーク…よくその情報、掴めましたね」

「ええ。すでにあの国の事はほぼ把握済みです。…他の悪魔の情報もあります…共有しますか?」


「っ!?」

「…他の?だと?」

「くうっ?!」


そして。


額に大きな傷のある悪魔レイザルド。

古の伝説『破滅の魔女』ノルノール。


そして。


とんでもない力を秘めているであろう悪魔ミュナルダーデ。


つまり。


ガザルト王国には実に5柱の悪魔がいたという事実。


その事実に、今ここにいる皆は冷や汗を流してしまう。


「…美緒」


思わず問いかける陛下。

美緒はそんな陛下に対し、決意を込めた瞳で見つめ返す。


「…陛下。共同作戦としませんか……このタイミング。悪魔を滅ぼします」


全員のつばを飲み込む音が執務室に響いていた。


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