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第228話 悪魔の悪戯

美緒たちの前で目を覚ましたエレリアーナ。


彼女は見たことの無い魔力に包まれていた。


「…おはよう…美緒」

「うん。…気分はどう?」


優しい瞳でエレリアーナを見つめる美緒とファナンレイリ、そして見たことの無い美しい女性と強そうな男性。


さらにはおとぎ話でしか知らなかった妖精が3人もエレリアーナの周りを飛んでいた。


「…ここ、天国ではないのよね?」


そんな状況に目をパチクリさせるエレリアーナ。


「うん。私の自慢のギルドの治療室だよ。…お腹空いたでしょ……今リアが食事持ってきてくれるからね」


「…うん。もうペコペコだよ…美緒、そっちの人…誰?」


エレリアーナはついこの前まで、いくつもの悪意にさらされていた。

どうしても面識のない人物、恐怖心が湧いてしまう。


「コホン。初めましてだな…俺はアラン、龍人族のアランだ…よろしくな」


紳士的に手を差し出すアラン。

その様子におっかなびっくりではあるものの、アランの手を握るエレリアーナ。


「えっと…エレリアーナです…そ、その…よろしくお願いします」


顔を染め小声で話す。

そんな様子に龍姫エスピアは悲し気な瞳を向けた。


「私は龍姫エスピア…あなたの心の中に封印されていたの…エレリアーナ…ごめんなさい…あなたは私が顕現するために仕組まれたギミック…謝っても謝り切れないわ」


「…エスピア…様…そ、その…お顔をお上げください」


深々と頭を下げるエスピアに対し、エレリアーナは優しげな瞳で声を上げる。


「…私…お役に立てましたか?」


息をのむ皆。

今回一番の被害者は間違いなくエレリアーナだ。


勝手にギミックに組み込まれ、受けなくてもよい酷い扱いを受け続けてきた。

そしていくつか解呪に当たり共有した今。


彼女エレリアーナは知っている事だ。


「…美緒さま…」

「…うん」


エレリアーナは真直ぐに私に目を向ける。


「…私今まで…誰からも必要とされなかったんです。…呪い?呪縛?…よくわかりませんが…そんな私でもお役に泣てた…嬉しいのです」


「エレリアーナ…」


「それに…私…愛されていました。…確かに一瞬でしたが…お母さんに」


そして肩を震わせ涙を流す彼女。

皆はしばらく、ただその様子を優しい瞳で見つめていたんだ。



※※※※※



神聖ルギアナード帝国北方の都市ノイニジルデ。

帝国の構築する広範囲結界に、ガザルト王国の最新鋭飛空艇が接触。

大破し街に墜落していた。


「避難しろー!!爆薬を積んでいる…引火したら大変だ」


街の自警団の怒号が飛び交う。

すでに辺り一面は黒煙が上がっていた。


「おいっ、生存者は…」

「…無理だろう…上空からの墜落…ましてや結界への衝突…絶望的だろう」


神聖ルギアナード帝国とガザルト王国は表面上友好国だ。

力のある両国。


お互いにけん制し合い、どうにか過去に世界的な大戦は起こっていなかった。

しかし。


今現在伝えられるガザルト王国の窮状。

野心高い者は今こそ攻めるべきと鼻息を荒くしていた。


そんなタイミングでの事故。

自警団団長は嫌な汗をかいてしまう。


刹那―――


とんでもない轟音とともに吹き飛ぶ飛空艇。


周囲を超高音の炎が蹂躙し、一瞬で半径1キロ圏内が消失。


一瞬で壊滅してしまった北方の都市ノイニジルデ。

恐らく死者は数万に上る大事件がこのタイミングで発生してしまっていた。



※※※※※



「…クヒヒ。流石は人間爆弾…威力がとんでもないですねえ…クヒャハハハ」


その様子を千里眼のスキルで見ている、神官のような格好をした男性が満面の笑みで食事を楽しんでいた。


「…うげ。…流石にこれは悪趣味では無いのかな?…ううう…端っこの方焦げてる人がいる…気持ち悪い」


思わずえずく金色の大きな目を煌めかせる幼女のような格好のくせに何故か妖艶な女性。


「クヒヒ…最高のショーではありませんか…ミュナルダーデ様はお気に召しませんか?…クヒャハハハ」


大笑いしながらも、大きな肉の塊にかぶりつく男性。


「ふん。あんたほど、ゼギアノードほどあたしは趣味悪くないんだ…ところで…グラコシニア様は…」


彼等は悪魔。

永遠の時を生き、圧倒的魔力を誇る超絶者。


そして虚無神の眷属なのだが。


一番の司令塔でもあり彼らのまとめ役、最強の悪魔グラコシニアは無理に力を使用した対価でしばらく眠りに囚われいていた。


対象となるゲームマスター。

そのレベルがグラコシニアの680、その90%に到達しないと動くことのできないギミック。


つまり悪魔たちは今、完全に方向性が分からなくなっていた。


「ゼギアノード」

「はあい♡…なんでしょう?クヒヒ」


遠見のスキルを解除し、ゼギアノードを睨み付けるミュナルダーデ。


「あんまり『おいた』するんじゃないわ…シナリオはまだなのよ?」

「クヒャハハハ…承知しておりますとも…これはいわば報復…そうでしょう?…そのようにお紡ぎください…あなたの権能で」


しかめっ面をし、大きくため息をつくミュナルダーデ。

彼女の能力『現状確定』


その権能は世界のバランスを保つため、事実を確定する能力。

もちろんなんでも出来るわけではない。


しかし。


尾ひれはひれ、さらにはこじつけ。

つまりあった事象に対し、かなり都合よくこじつけることのできる能力だった。


「ふん。…こんな事しなくても…いずれ世界は動く…ゼギアノード。もう一度言うわ」


魔力を揺蕩らせ、圧をのせ睨み付ける。


「おとなしくしていなさい…殺すわよ」


「くひっ…くふ……承知しました」


悪魔たちにも当然優劣はある。

今ゼギアノードに文句を言った女性ミュナルダーデ。


悪魔たちの頭領であるグラコシニアに継ぐ実力者。

そのレベルなんと530。


彼女もまたとんでもない力の持ち主だった。




※※※※※




しかしこの後。

改竄され世界に認識された事実。


侵略を図った神聖ルギアナード帝国への報復。


その情報は瞬く間に世界中を駆け巡り―――



世界はさらなる混乱に包まれていった。


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