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第227話 究極召喚に目覚める少女

ギルド治療室。


自分の名前を受け入れ、ついに呪縛から解かれたエレリアーナは。

あの後ずっと深い眠りについていた。


「ねえ。この子いつ目を覚ますのかな?」

「うん…とんでもない運命をしょっているね…私も長く色々なヒューマン見てきたけど…ここまで複雑に絡み合っているの…見たことない」


精霊王ファナンレイリの指示でエレリアーナを見守っている妖精3名。


美緒はどうやら完全に安心していたけど。

ファナンレイリはどうしても妖精たちの幸運で包んであげたかった。


少しでも良い夢を見られるように。


「ところで…ネリア。久しぶりね」

「うん。ディーネもティリも…元気だった?」


この世界の創世の時より創造された彼女たち妖精族。

本人たちの寿命はおよそ3000年。


記憶を引き継ぎ、彼女たちにはいくつもの人格が備わっていた。

どうしてもポンコツな評価を得てしまう彼女たちだが。

実はそのせいで、記憶と言うか情報の処理がうまくいかない事がある。


つまりは同時に存在する幾つもの記憶。

その影響を受けている彼女たちは新しい記憶を刻むことが難しかった。


世界の誘導役。

彼女たちに課せられた使命は重い。

そしていわゆる記憶障害のような状況。


彼女たちの心を守る、障壁のような物だった。

全てを鮮明に覚えていれば。

きっと彼女たちは狂ってしまう。


それほどこの世界を導くと言う事は難しい事だった。


「…ねえ。ネリア…他の妖精族は…」


ティリミーナの問いかけに、ネリアは複雑な表情を浮かべてしまう。

その顔に察したティリミーナ。


思わず大きくため息をついてしまう。


「みんな消えてしまったわ…男に弄ばれて…」

「…そっか……」


妖精族に課せられた重責。

それを唯一振りほどき、自由となる方法。


真実の愛。


今この世界で現存する妖精族で、その境地に至ったのはフィードフォートだけだった。


彼女たちは正直チョロい。

愛をささやかれれば、すぐにでもその体を許してしまう。


深く考えることのできない彼女たち。

その仲間たちを幾人も見てきたネリアとディーネ、そしてティリミーナ。


慎重になることはしょうがない事なのだろう。


「…でも…ロッドランド君?…彼は平気そうね」

「なっ?!」


いきなり愛する人の名を言われ、テンパるティリミーナ。

僅かしか見ていないネリアにすら、そう分る程ロッドランドの心は真直ぐだった。


「そうよね。ティリのくせにズルい…あなたは何の大精霊になるのかしらね」

「ん-彼、聖騎士で勇者なのでしょ?光の大精霊じゃないの?」


ロッドランドは世界最高の聖騎士になる男性。

しかも今の彼には勇者の称号までをもある状況。


真に清い心でしか発現しない絶対的な称号。

彼がティリミーナを弄ぶ未来など存在しないのは明白だ。


「あうっ♡」


つい想像してしまうティリミーナ。

優しいロッドランドの瞳がティリを見つめ…優しい手が彼女の体を求める…


まさに火が出るほどティリミーナは顔を染めてしまう。


「まったく。あんたたち何の話をしているのよ。まだエレリアーナ起きてないのでしょ?」


そんな状況の中、部屋に入ってくるファナンレイリと龍姫エスピア。

さらには何故か挙動不審なアランまでもがエレリアーナの寝ている治療室へと訪れた。


「お師匠様」

「うん…もうすぐ起きそうね………うん。いま美緒も呼んだ…もうすぐここに来るわ」



※※※※※



黄泉の頂10階層。

美緒はルデーイオを伴い転移し、今はルノーク達と談笑をしていることろだ。


「美緒、ルデーイオは大丈夫なのか?」

「うん。彼も一応は気に入ってはいるみたいなのよね…その『マザーレナデル』だっけ?…でもさ、彼たち上位の存在はあまり恋愛感情とか分かってないみたいなんだよね」


ミランダの入れてくれた紅茶を飲み、ほっと息を吐き出す美緒。


「ねえ。美緒はさ…あなたはどうなの?…そ、その…エルノールとか…ザッカートとか…レルダンとか…」

「ひうっ?!」


突然ぶち込まれる爆弾発言。

美緒は思わず紅茶を落としそうになってしまう。


「…ふむ。俺もそれは気になるな…実際どうなんだ美緒?」

「うえっ?!…ル、ルノークまで…え、えっと…コホン」


近くにいるロミューノもダグマも興味津々に耳を傾けていた。


「…い、今はそういう事…考えられないの…もうこの世界の時間はあまり残ってはいないんだもの」


突然美緒の纏う魔力の質が変わる。

ルノークとラミンダは思わずごくりとつばを飲み込んだ。


「同期してるから…分かるとは思うけど。…遂に私の目標だった20人のメインキャラクター、揃ったの」


「…ああ。俺達もそれは承知している」

「だからね…実はこの先のシナリオ?…全くの未知数なの」


正直普通に生きているルノークやラミンダはいまいち理解できない。

何しろ生きていくのに計画や目標は分かるが…

どう転ぶのが分からないのが普通だ。


でも美緒は。

実は彼女は今までの事、全て想定内。

つまり知っていた。


当然今回の世界線は多くのイレギュラー、そしてあり得ない幸運に包まれている。


「本当の敵はね…私たちの存在を大きく上回る次元にいるの。だから気まぐれで…いきなり私たち、消されてしまう危険性がある。この瞬間にもね」


「…………そ、それは…」


なぜか寂しそうにつぶやく美緒。

その様子にルノークとラミンダは背中に冷たいものを感じていた。


「っ!?…レイリに呼ばれた…ねえルノーク」

「うん?」

「ここは任せるね。私ギルドに戻る…しっかり最下層まで鍛錬してきてね」


にっこり微笑む美緒。

いつもの彼女だ。


「ああ。分かったよ。…ルデーイオは放っておいていいのか?」

「うん。どちらにしろ彼、ヒューマンの言う事聞かないしね…じゃあね」


魔力の残滓を残し消える美緒。

改めて転移魔法の凄さに、ルノークとラミンダは感嘆の声を上げていた。



※※※※※



ギルドの治療室にとんでもない魔力があふれ出す。

美緒が転移してやってきた。


「レイリ、お待たせ…うん?もうすぐ目覚めそうね」

「うん。お疲れ様、美緒…この子…とんでもないわね」


そういいベッドで可愛らしい寝息を立てているエレリアーナに目を向けるファナンレイリ。

彼女を包む魔力、未だ見たことの無い質を備えていた。


「彼女はね…きっと究極の召還術…次元を無視したそれが使える」

「っ!?…次元を無視?…それって…」

「うん。…呼べるよ…この世界の本当の元を作った…創世神アークディーツを」


驚愕が走る。

皆美緒の同期で情報は知っていた。


しかし。


創造神であるルーダラルダではなく。

さらにその上の存在。


美緒はまさにこの物語、収束に向けその決意を固めていたんだ。


「…決着、着けるよ…私は絶対に…みんなを…私自身だって…救うんだから」



エレリアーナの瞳がゆっくりと開き始めた。


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