第215話 私の名前は…
時を止めた少女エレリアーナ。
今その少女を、フィードフォートに指名されたコメイが調べているところだ。
「コメイ、何か分かる?」
難しい顔をし何かをつぶやくコメイ。
おもむろに私に視線を向けため息交じりにつぶやいた。
「…この仕組み、神の仕組みの模倣や。創造神ではなく…原神や」
「っ!?それって」
「ああ。届くでえ。なんや駒のワシらでもあいつらに届く一つの証拠や。なんやワシ、滾ってきたでえ!」
フィードフォートの言葉。
それを聞いていないコメイ。
彼はそこにたどり着いていた。
「ねえ。それは分かったけど。エレリアーナは救えるの?」
「救える。問題あらへん。…『ぉgmdsんvlごm;dぁ』…ほれ」
聞いたことの無い言語。
それをつぶやいたコメイの体から魔力が湧き出し、幾つかの設計図のような物が浮かび上がった。
「これがこの仕組みの根幹や。美緒、見たことあるか?」
「…これって…プログラムを構築する…マシン語の羅列?」
「流石美緒や。そうや。この世界、魔素だけやあらへん。しっかりとプログラミンがされておるんや。…ええか?見とけよ…」
虚空でまるでタイピングするように、指に魔力を纏わせ凄い速さで動かすコメイ。
薄っすらと時が止まっているエレリアーナの体から光が沸き上がる。
「ロック解除や。…美緒、後はあんさんの仕事やで」
「うん。…あなたがいてくれてよかった」
「ばっ?!な、何や、照れくさいっちゅーねん。…疲れた。ワシは休ませてもらうで」
「ありがとう」
こちらを見ずに手だけ挙げて治療室を後にするコメイ。
凄い。
これなら私でもわかる。
救える。
「リンネ」
「う、うん」
「レイリ」
「…うん」
「フィー」
「うむ」
私は自身の魔力を練り上げる。
私の魔力圧に治療室の空間が軋みを上げ始めた。
「私はすべてを救う。力を貸して!」
「復刻限定術!!」
「簡易摂理構築陣!!」
「メモリーリザレクション!!」
私の魔力に包まれ、隔絶された空間。
そこにリンネとレイリ、そして大精霊フィードフォート渾身の魔力が融合していく。
パキパキと音を立て崩れ始めるエレリアーナを纏う封印術。
その横の空いているベッドに置いておいた龍姫エスピアの欠片が徐々に人の形を取り戻し始める。
「はあああああああっっ!!!」
光を増す私の魔力。
既に目を開けることができないほど治療室には神聖な光が迸った。
「…やっと会えるね…エレリアーナ」
※※※※※
寒いよ…
お腹空いた…
『あんた、何やってるんだい!使えないね!!』
『ヒャハハ。ちびのくせに…よこせよっ!!へへ、いただきっ!!』
『ハアハアハア。分かるだろ?お前だってもう…ガキじゃねえんだ…ほら…』
嫌だ
恐い
どうして?
どうしてみんな…私を…
……助けて…お母さん…
『……ああ、なんて可愛い…エレリアーナ?…どうして頭の中に…うグウッ?!!』
『お、おい?どうした?おいっレイニーナ?…しっかりしろ…おい、先生を呼んでくれ!!』
ああ…
あれは私?
レイニーナ?
…お母さん……
『くそっ!…ひいっ?!どうして…』
『どうしたんだい?なにが…っ!?レイニーナ?しっかりおし…あああ、なんてことだ…っ!?エレリアーナ…呪われし子……うああ、あああああっっっ!??』
あれは…お母さん?…いや違う…この人は…
『ううっ…うぐう…レイニーナ…ううう…』
『この子は…運命を全うしたんだ…お前は父親だ。この子を守るんだね』
『無理だ…俺には…無理だああああ…』
『おいっ?!デルイダ?お前………』
『…エレリアーナ…お前は呪われた子だ…でもね(レイニーナにそっくり…可愛い…でも…)ふん。この役立たずが!!飯は抜きだよ!!(ごめん、ごめんね…エレリアーナ…でも…優しくしてしまえば…お前が幸運を感じてしまえば…封印が…)』
ああ。
そうか…
そうだったんだ…
私は
呪われた子…
でも
グスッ…
うああ、
うあああああああああああああああああああああああ…………
※※※※※
知らない天井が目に入る。
懐かしい夢…
そして奇跡の夢…
(私…お母さんに…レイニーナお母さんに愛されていたんだ…一瞬だけど…)
ガチャリ。
ドアに開く音とともに、あの可愛い女の子が私に駆け寄ってきた。
「目が覚めた?…ああ、良かった…大丈夫?」
ああ。
此処にもいる。
私を必要としてくれる人が…
わたし
そう。
私は…
私はゆっくり起き上がり、可愛らしい黒髪の女性、ゲームマスターである美緒さまの目を見つめる。
「はい。ありがとうございます。…私は…私はエレリアーナです」
※※※※※
解呪され目を覚ました最後になるメインキャラクターエレリアーナ。
想定されていた幾つものシナリオ。
それをぶち壊し美緒はまた一人の少女を救っていた。
ついに揃う全てのメインキャラクター。
いよいよ物語は佳境に突入していくのであった。
※※※※※
「……っ!?はっ?……ここは」
「よう。目が覚めたか?」
「っ!?この魔力…貴様…竜帝か?」
「ははっ。まあそうなるらしいが…まだだ。…で?お前さんは?」
自身の体を確認する。
問題なく回復していた。
何よりこの場所に存在する幾つもの強大な魔力反応。
…なんだ此処は?
どうなっている?!
「まあなんだ。とりあえず休むといい。…あとで飯を持ってくる」
「…ああ。助かる」
※※※※※
エンシャントドラゴンのルデーイオ。
彼もまた使命を課せられていた超越者。
竜神の血を濃く引き継いだ上位のエンシャントドラゴン。
そして。
フィムルーナの運命の相手でもあった。
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