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第210話 独裁国家マルデの国王の依頼

ジュデルドさんの工房を出た私たち。

人気(ひとけ)のない路地裏に進み辺りを確認。


問題ない状況を確認し、早速転移で独裁国家マルデの王城へと訪れていた。

当然だが前触れはすでに済ませてある。


いくら小国とはいえ一国の王に面会を求めるという事。

その辺の礼儀は必須だ。


「ふう。…ここが王城?…た、確かに豪奢な邸宅ではあるけど…えっ?…本当に?」


立派な邸宅の前。

事前に調べた座標に間違いはないはずだ。


「美緒さま。間違いではありません。かの王は自身の居城よりも住民のために財政を動かしております。まずは国民から。崇高な王なのでしょう」


不安げな私に対しエルノールが優しくレクチャーしてくれる。

相変わらず彼は物知りだ。

私は大きく息を吸い、気合を入れドアに手を伸ばす。


それと同時に開かれるドア。

上品な老紳士が胸に手を当て、深々と頭を下げた。


「ようこそいらっしゃいました。ゲームマスター美緒さま、リッドバレーが当主エルノール様、ザナーク様」

「出迎えありがとうございます。王はいらっしゃるでしょうか」

「ええ。皆さまの到着を待ちわびておいでです。…いやはや、それにしてもお美しい。『噂に違わぬ』とはまさにこの事ですな。ささっ、どうぞこちらにお進みください」


やっぱり中に入っても豪華な貴族風のお屋敷といった様相だ。

そして明らかに使用人風の者が多い。

殆ど兵士の姿が見えない。


通常王城では考えられない事だ。


やがてたどり着くドア。

老紳士がノックをし、中から声が響く。


「さあ、我が王ニアルデ・ルノ・マルデの執務室でございます。どうぞ中に」


わたしとエルノール、そしてお父さん。

私たちは王の執務室へと足を進めたんだ。



※※※※※



王の居城控え室。


今ここでは呼び出しを受け、主人であるリュナイデルとともにエレナはまさにあまりにも緊張しすぎて既に意識を失いそうになっていた。


以前の面談の時。

王によりもたらされた言葉。


その内容はまさにエレナの想定を超える内容だった。


『おそらく君の中にこの世界を揺るがす何かが封印されている。しかも時限式、何時封印が解かれるか私にもわからない。そしておそらく…封印解除とともに君は命を落とすだろう』


まさに死の宣告。

さらに続く驚愕の言葉にエレナは完全に言葉を失ってしまった。


『…ゲームマスターに伝手がある。君と面会できるよう要請を出そう。…もちろん君の意志を尊重するが…出来れば会った方が良いと僕は思うが…どうする?』


…ゲームマスター?!


幼少期に母親に捨てられ、その後孤児院で生活していたエレナ。

そんな彼女でもおとぎ話級のゲームマスターの事は知っていた。


『わ、私が伝説のゲームマスター様に会う?…そ、それに封印?…うううっ?!』


卒倒し意識を手放したエレナ。

その後どうなったのかは分からないが。


気付いた時エレナは自分のベッドで目を覚ましていた。



※※※※※



王の執務室。

確かに品の良い調度品で整えられたその部屋。


しかしやはり爵位持ちの執務室と言った様相に、私は思わずキョトンとしてしまっていた。


「コホン。すみません、貧相な部屋で…改めてようこそ我が独裁国マルデへ。わたくしは国王のニアルデ・ルノ・マルデでございます。以後、お見知りおきを」


そう言い私の前に跪く国王ニアルデ。

私はそっと彼の手を取り、にっこりとほほ笑んだ。


「歓迎感謝いたします。どうかお顔をお上げください。確かに私はゲームマスターですが…まだ19歳の小娘です。どうか私の事は美緒と」

「おお、なんというお美しさ…それに溢れる慈愛…ああ、まさに伝説…私は今猛烈に感動しております」


えっと。

大げさでは?


そんなことを思いつつも、私たちは会談のためあつらえられているソファーに腰を掛けた。


「お初にお目にかかる。私はエルノール。禁忌地リッドバレーが当主だ。以後お見知りおきを。こちらは我が従僕ザナーク。…今回の依頼を引き受ける窓口でもある」

「ご丁寧にありがとうございます。…早速話をしても?」

「ええ。…もし可能であるのなら、普通に話してほしい。美緒さまは寛容だ」

「…ふふっ。助かります。…普通に話す、それでいいのかい、美緒?」

「ええ。ありがとうニアルデ」


始まる話し合い。

まず初めに私たちは今の現状のすり合わせを行うことにした。



※※※※※



「黄泉の頂、ですか?」

「ええ。我が国の生命線と言っても過言ではないダンジョンです。あの事件から早5日。調査は再会したのですが…残念ながら我が国の国力は小さく。…今のところ浅い階層しか調査できていないのです。早急に全容を解明しないと…危険が残る場合、採掘の許可を出せません」


会談の開始とともに、先ほどの老紳士が準備してくれたかぐわしい紅茶。

それに口をつけつつも、私は国王の話に相槌を打っていた。


「…ちなみに冒険者などへの調査依頼は出されたのでしょうか?」


この世界には多くの冒険者が活動している。

小さいとはいえ国の案件。


国の根幹でもあるダンジョン、この国王の事だ、かなりの好待遇での依頼を出している事だろう。


「ええ。おっしゃる通りです。この大陸でも有数の冒険者パーティー、Aランクを筆頭に4組ほどに指名依頼と言う形で出しておりますが…どうにも進行が思わしくないのです」


そう言い数枚の報告書を手渡す国王。

エルノールがそれを手に取り眉をしかめる。


「……5階層までの調査は終了…魔物の小部屋?…そこの攻略が難しい…?!」

「…どうやらそこに新種の魔物…彼らの知らない魔物が巣食っている状況でして。…何故か全員、ダンジョンから出てきてしまったのです」


Aランクと言えば相当する魔物レベルは60~70程度。

もしそこにいる魔物、それ以上であるのならばこれはしょうがない事ではある。


「ちなみに彼らは戦闘をしたのでしょうか?」

「それが…何度聞いても『無理だ…我々は依頼を破棄したい』と言われてしまい。詳細も分からぬままに彼らは立ち去ってしまったのです」


どうやら彼等。

前金以外の報酬すら断って立ち去ってしまっていた。


明らかにおかしい。


そもそも例のエンシャントドラゴン。

目を覚ます以前は普通に10階層くらいまでは採掘を行っていたという事だ。


元々いなかった魔物。

恐らく例のエンシャントドラゴンが居なくなったことで出てきた可能性がある魔物だろう。


「ふむ。これは…ラミアの可能性がありますな」


報告書に記載されている魔物の情報。

それを見たお父さんが声をあげた。


「ラミア?…半人半魔の魔物…むしろ獣人族に属する魔物よね?」

「ああ。そうだな。…おそらく…魅了を使ったのだろうな。明らかに冒険者の対応、おかしい」


それなら今回の冒険者の対応頷けてしまう。

なによりAランク程度ではおそらくレジストすらできないはずだ。


「美緒、ワシはこの依頼受けても良いと思っている。エルノール坊ちゃん、どうだろうか?」

「そうだな。なにより国王の依頼だ。ザナーク、任せてもいいだろうか」

「任されよう」


頷くお父さん。

その様子に国王であるニアルデさんはほっと息を吐き出していた。


「ニアルデ国王、そう言う事です。お任せください」

「ありがとうございます。…これできっと採掘、始められることでしょう」



※※※※※



こうして国王の懸念事項は目途が立った。

さあ次は。


私は改めて気合を入れていたんだ。


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