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第208話 第2拠点改め共同開発研究所設立?

定期的に訪れている神聖ルギアナード帝国にある第2拠点。

今日は『ある相談』があるため、私はミリナと数人の『事情のあるもの』を伴い訪れていた。


「あっ!みおだあー!!」

「こんにちは、シャーナ」


出迎えてくれる可愛らしい少女。

彼女はダリーズの娘さん、今は確か6歳だ。


「いらっしゃい、美緒さま。ミリナ様も…珍しく大人数ですね」

「ええ。今日は提案とお願いがあって…ダリーズはいるかしら?」


にこやかに迎えてくれるシャーナの母親であるタニア。


我がギルドの第2拠点は神聖ルギアナード帝国、皇居の北の森に建設された施設だ。

今は天使族の皆さんと、各地で酷い目に遭い、行くところのなかったヒューマンの女性と子供たち、総勢92人が生活をしている場所だ。


因みに自我が崩壊してしまったダラム王国の第4王女も、今では通常の暮らしができるまでには回復しているよ?


まあ記憶は…

それについては彼女としっかり話をしてから決めるつもりだ。


コホン。


という訳で。


なかなか忙しかったり、色々なイベントと言うか騒動があって…

実は私、ここに来るのは1か月ぶりだった。

それまでは週1くらいでは訪れていたけどね。


もちろんギルドの皆、特にザッカート盗賊団の皆は定期的に交代で見てもらっていたんだよね。


「あれ?美緒さま?それにアルディとミリナ…誰?」


今日来ていたのはファルカンとラムダス。

ジョレンを手にしたラムダスが私に声をかけてきた。


「あっ、ラムダス、畑の開墾?ご苦労様。…えっとね…」

「コホン、お初にお目にかかる。私はバロッド。…研究者です…以後お見知りおきを」

「あ、ああ。よろしく?」


今日の目的。

最2拠点の天使族の皆さんと相談し、工場と研究所の設置。


実は今第2拠点の皆さんには食料の生産、いわゆる農業を任せてあったのよね。


でも元々農業に触れたことの無い人たち。

アリアの指導の元、やっと畑の準備が出来たところなの。


まだ2月。

実際の生産については来月辺りから本格的に始まる。


「お待たせしました美緒。…うん?そちらが例の…」

「何か久しぶりねダリーズ。ええ。彼はバロッド。ガザルトで新しい仕組みの飛空艇を開発していた技術者。…とんでもなく優秀よ?何しろレギエルデに『お墨付き』をもらったくらいだもの」


実は彼。

昨日の夜アルディがガザルト王国からスカウトしてきた人物だ。


そして当然のように私の鑑定とレギエルデとコメイによる尋問。

驚くほどの研究者で、ガザルトに対して全く忠誠とか無い人だったの。


何より彼の知識と技術力。

そのあとドルンとそれはもう朝方まで検討をしていた。


「まあそういう訳なの。…新たな事業、ここで行ったらどうかなって。ついでにここならルギアナード帝国の技術の向上、ひいてはここの価値、さらに高まるでしょ?」


「それは素晴らしい事です。うちにも研究バカがおりますので…おっと、ちょうどそこに…おいっ!メラダーナ、こっちに来てくれ」


メラダーナは天使族の中でも特に頭脳に特化した人物だ。

救出したときも、何故か大量の書物を抱えていたくらいだしね。


「うん?美緒さま?!…あああ、なんて麗しい。…コホン、お久しぶりです」

「ええ。あなたも元気だった?」

「はい。以前いただいた『蒸気機関の原理』まさに目からうろこでした」


一応拠点を作るにあたり、幾つかの施設は設置済みだった。

その中の図書館、彼はいつもそこに入り浸っていたようだ。


「ハハハ、ハ。う、うん。喜んでもらえて私も嬉しいよ」


「美緒さま?!」

「みおー!!」

「ああ、なんてお美しい…」


そんな話をしていると集まってくる第二拠点の面々。

このままでは話すらできなくなってしまうので私はにこやかに挨拶を済ませ、拠点内の会議室へと足を進めていった。



※※※※※



天使族は堕落したと伝えられてはいたが。

元々優秀な種族。


虐げられ、酷い目に遭っていたことで、生き残って居たミリナ達40名の天使族はかつての力を取り戻そうと多くの努力を続けていた。


特に伝承にある以前の力溢れる本来の姿。

それに近づくために勤勉な態度と実直な修練に学習。


僅か数か月。

でも心の底から思う気持ちの力は絶大な効果をもたらしていた。



※※※※※



第2拠点の会議室。

今ここでは原案となる大量の設計図、それを広げ数人が唸っている状況だった。


「素晴らしい…ああっ、なんて素晴らしい事だ!!」


同席しているメラダーナが恍惚の表情を浮かべ、何故かバロッドの手を握りしめる。

思わず挙動不審になるバロッド。


「う、うむ。…どうであろうか?一応理論には自信があるのだが…」

「いやいや、完璧だ。…これなら…森を少し広げれば…そしてあそこを…」


すでに思考をとばしてしまっている彼。

私はその様子に苦笑いを浮かべ、改めてここの責任者になっているダリーズに視線を向ける。


「ねえダリーズ。確かに私はあなた達を保護した。それに幸せになって欲しい事も本当。でもやっぱり農業だけさせるにはあなた達は優秀過ぎる。…突然の提案で混乱させちゃうかもだけど…どうかな?」


落ち着くように紅茶に口をつけ、ほっと息を吐くダリーズ。

彼の目には希望の光が灯っていた。


「ありがとうございます。…是非。…美緒さま、私はずっと考えていたのです。私の、いや私たち天使族のこれからを…我らは間違えた。そして実質滅んだのです。ですが。あなた様が、そして憂い苦しみぬいたミリナのおかげで我らは生き永らえた」


「…ダリーズ」


彼は私たち全員を見回し、そして大きく頷く。


「この世界、驚かせてやりましょう。バロッド殿」

「うむ」

「ぜひあなたの知識、我らに教えてください。そしてこの世界に革命を起こしましょう」


こうして始まる第2拠点の大改造。

生産に特化したスキルを持つ天使族がいたことも大きな力になり、1か月後には第2拠点は生まれ変わる。


生き生きと使命に燃える天使族の皆。


私はその様子に、心の底からの喜びを感じていたんだ。


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