第207話 美緒19歳になりました!
今日は2月5日。
私の誕生日だ。
正直自分の誕生日にあまりいい思い出のない私なのだけれど。
今の私は…
本当に幸せだ。
※※※※※
悪魔ザナンクから酷いダメージを受けてしまった私。
しばらく休んでいた私だけど…
その休みもいよいよ今日の誕生日で最後となる。
もちろん無理はしないよ?
無理は続かないし、何より皆にも多大な迷惑をかけてしまうから…
それに。
私の大切な仲間たち。
ものすごく優秀なのだから。
私はそんなことを想いながら、ベッドで微睡んでいた。
※※※※※
最期のシフト、今私のベッドではアリアとマルレットが可愛い寝息を立てていた。
(ふふっ。二人とも可愛い…はあ。とっても癒される…あったかい)
珍しく夜明け前に目を覚ました私。
二人に挟まれ、心まで温かくなっていた私は目の前のマルレットの柔らかい髪を撫でた。
「…ふ…むにゃ……んん……」
漏れる声。
素直な彼女の可愛らしい反応。
私はそっと彼女の頬に触れる。
(はあ。本当に可愛い……リアの気持ち、分かっちゃうかも)
可愛いマルレットを至近距離で見つめる私。
頬に触れたことで、彼女の目はゆっくり開かれる。
「…ん………?!み、美緒?…え、えっと…」
「…おはよう、マルレット」
目を覚ますマルレット。
すぐ目の前にある私の顔を見て、途端に顔を真っ赤に染める。
っ!?
いっけない。
パッシブ切るの忘れてた。
「う、うあ…み、美緒?…」
「あーごめん。パッシブ発動してたね」
赤くなるマルレットが可愛すぎて…
私はそっと落ち着かせようと彼女を抱きしめ―――
「コラッ!!ダメでしょ?美緒!」
「っ!?はっ?!…あ、あれ?…わ、私…」
突然目を覚ましたアリアにたしなめられる私。
気付けば私はマルレットを押し倒しているような状況になっていた。
「ご、ごめんね?…つ、つい…」
「もう…めっ、でしょ?」
「う、うん」
目を潤ませながらも、ちょっと怒った顔を私に向けるマルレット。
うう、なんだか私…『百合の気』増してきている?
少し自重しよう。
そうしよう。
取り敢えず我に返った私と目を覚ましたマルレットとアリア。
そそくさと衣服を整え3人仲良くサロンへと向かいました。
※※※※※
「おめでとう美緒」
「お誕生日おめでとう!!」
「美緒、19歳だな…おめでとう!!」
午前11時。
お父さんとお母さん、そしてみんなが祝ってくれる。
そしてご馳走と大きなケーキ。
私はかつてない幸福感に包まれた。
「ありがとう…私皆にあえて、ここに来れて…本当に幸せです。…ありがとう」
この世界、実は誕生日を大々的に祝う事はしない。
だけど日本からの転生者、転移者が多い我がギルド。
今回の祝宴、企画してくれました。
私たちは久しぶりに皆で笑い合いながら、温かい時間を共有していたんだ。
※※※※※
「そう言えば次はナナの誕生日よね?」
「うん?あー、そうだね。私、2月12日なのよね。いよいよ18歳だよ」
「僕も14日で9歳だよ!」
「ハイネ?ふふっ、じゃあまたお父さんに頼んでご馳走準備してもらおうね」
「うん」
この世界は今様々な脅威に包まれている。
何より諸悪の根源『鳳乙那』
彼の魔力をつい先日感じていた私たち。
でも。
こういう事こそ、守っていかなくては意味がないんだ。
心の底から笑い合える、大好きなギルド。
私は誓いを新たにしていた。
※※※※※
せっかくなので。
19歳になった私の能力値、改めてギルドの全員に私は同期した。
正直引かれるかもしれない私のとんでもない能力値。
でもこの先起こるであろう幾つもの困難。
レギエルデやコメイではないけど…
私はこのギルド最強の駒。
しっかり把握してもらった方がいい。
それに。
皆は受け入れてくれる。
私はもう確信していたんだ。
「ステータス!!」
「「「「「っ!?」」」」」
※※※※※
名前:守山美緒(19歳)
種族:亜神
職業:麒麟児(339/99)剣聖(93/99)
魔法:聖魔法・暗黒魔法・召喚魔法・時空魔法
上級魔法・基礎魔法・神代魔法
禁忌魔法(NEW:!)※使用不可
レベル:583/99
物理:122074+22500
魔力:168663+57000
幸運:149971+47000
称号:『ゲームマスター』
『バイステンダー』
『超絶美女』
『チーフシェフ』
『デーモンスレイヤー』(NEW:!)
状態:『正常』
『超絶魅了・パッシブ』※任意で切断状態
『精霊王の加護』『創世神の加護』
『創造神の加護』『破壊神の加護』
※※※※※
皆の驚愕の思いが伝わってくる。
スキルは既にみんなに同期していたから省いたけど…
うん。
わたしも驚いた。
ええっ?!
なんか知らない称号とか、加護とか?
しかも禁忌魔法って…使用不可?
…どういう意味だろ?
何よりステータス。
私の特徴である『物理』『魔力』『幸運』だけピックアップしてみたけど…
他の項目もそれぞれ10万は超えております。
もう、何も言うまい。
私はすでに『化け物』を超え。
あり得ない高みに到達してしまっていた。
※※※※※
「えっと…みんな、こんな私だけど…ついてきてくれますか?」
思わずおずおずとしてしまいましたが。
取り敢えず私は皆に聞いてみた。
正直いまの私はほぼ無敵。
きっとステータスだけなら虚無神にも勝てることだろう。
でも―――私は皆とともに戦い勝ち取りたい。
「はっ。何をいまさら。…いったろ?逃がさねえって。―――確かにとんでもねえが…お前は可愛くておれが愛する只一人だ。…覚悟しとけよ?」
真っ赤になりいきなり言葉を発するザッカート。
わたしも真っ赤です。
「くっ、また抜け駆けを…コホン。…あなたがどれだけ強くなろうとも…私はあなたを絶対に守り抜く…愛しています。美緒さま」
エ、エルノール?!
も、もう♡
そして始まる怒涛の告白大会。
私はきっと溶けてしまったと思う。
…途中から記憶ないもの。
「まったく。お姉ちゃんは愛されてるね。…もちろん私も美緒の事大好き♡」
ああ―――
私はたくさん間違えて。
沢山意地を張り、愚かな選択をし。
要らない覚悟を決め。
勝手に暴走し…
そして愛する皆に出会い。
恐いものはなくなっていたんだ。
「みんな、大好きです。愛しています。…これからも私を『助けてくれますか?』」
皆が大きく頷いてくれる愛する皆。
もちろん笑顔で。
仲間がいる―――それだけで私は心の底から満たされていた。
※※※※※
もう絶対に負けない。
虚無神ブラグツリー、そして鳳乙那。
今度は私たちが追い詰める番だ。
首を洗って待っていなさい?
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