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第203話 美緒のギルド、ますます進化中です!

ヤマイサークたちがガザルトへ牙をむく会議を行うため、エルノールとロナンの3人で出かけている日。


ギルドでは改めて、数人の女性たちが施設の確認と言うか『見学会』を行っていた。


特につい最近加入したジナールとマルレットは、ナナに案内を頼み、最初におトイレへと訪れていた。


散々見学し、見る物見る物見たことの無い物ばかり。

興奮気味にジナールがはしゃいでいる姿、ナナはほっこりしていたが。


何はともあれ堪能した3人。

今はマルレットが実際に使用しているところだ。


「ねえエル。ここの施設おかしくない?…部屋とか廊下ですら温度とかも一定だし…清潔でいつでも明るいし…」


「うん?あー。まあね…もう『同期』したから知っていると思うけど、私も美緒も異世界から来てるんだよね。私たちがいた世界はさ、もっと便利だったんだけど…このギルドはあの世界と比べてもとんでもなく快適かな」


そんな話をしているナナとジナールの耳に、いきなり可愛らしい悲鳴が聞こえてきた。


『ひゃんっ♡…うあ、…んん♡……ふう♡』


可愛い顔を赤く染め、トイレから出てくるマルレット。

待っていたナナと目が合い、赤い顔をさらに赤く染めていく。


「うあ、そ、その…ト、トイレ?…や、やばいね…もうだいぶ慣れたとか思っていたけど…やっぱり声出ちゃう」

「あー。分かっちゃうかも」

「うんうん」


ギルドのトイレはすべからく暖房便座付きのウオシュレットだ。

さらにはとんでもなく柔らかく、香りのついたトイレットペーパーも完備。

さらには聞いたことの無いような心落ち着く音楽までもが流れるセレブ仕様。


アメニティグッズの充実具合も完璧だ。


なんなら今はさらに増設され、しっかりと男女で分けられているトイレ。

女性専用のトイレにはしっかりと『女の子の日』用のグッズまでもが完備されていた。


まさに至れり尽くせりの快適空間へと変貌を遂げていたのだ。


この世界基本『そういうもの』の開発は遅れている。

なので『重い』女性たちにはかなりのハードモードだったのだが。


美緒のギルドでは胃に優しい痛み止めから、お腹をしっかり温めるカイロ類、さらには可愛らしい腹巻などが充実しているため、つい先日『女の子になった』ルイミなど、大きな問題になることもなく、多くの女性陣から祝福を受けていたくらいだ。


この世界。

どうしてもそういう事に対する考え方が後ろ向きと言うか。

時代背景は中世ヨーロッパ。


実は衛生面の不安も相まって、成長過程で放置し細菌に感染してしまい、いきなり子供を産めなくなってしまう女性も多くいる事実があった。


転移直後にそんな話を聞いていた美緒が、その対策として色々インベントリから出すのは当然だろう。


「はあ。本当にすごいトイレよね。うちの王宮にも入らないかしら。…それにしてもここのギルド、とっても私たち女性に優しい。…やっぱりトップが女性だと設備とか気にしてくれるのね」


思わず感嘆の言葉を漏らすジナール。

その言葉にナナがゆっくりと口を開いた。


「…それもあるけど。…美緒はさ、向こうにいた時独りぼっちだったんだよね。だからかな。皆が喜ぶにはどうすればいいかって、いつでも考えている。だから別にこれは女性だけに優しいわけじゃない。全員に優しい設計を心がけているんだよね。ここは美緒の想い、そのものが詰まっているんだ」


もともと日本で暮らしていたナナ。

あの世界での常識のある彼女には、美緒の心の寂しさが誰よりも分かってしまっていた。


(もう。本当に美緒には幸せになってもらいたい。…私は全力で彼女を助けたい)


何でもない日々でも思いは募っていく。

ナナはすでに美緒の事、自分の中での優先順位、ほぼトップになっていた。



※※※※※



一方厨房。


ここでは今メリナエードとルイミ、ラミンダとサクラ、そしてマイ、さらにはコノハが、最近美緒が新設した『電子レンジ』の前でワクワクと光るそれを見つめていた。


「ふわー。なんかいい匂いがしてきた♡」

「…凄いねこの鉄?の箱?…本当にこれで調理できるの?」


チーン。


軽快な音ともに停止する電子レンジ。

恐る恐るドアを開けるメリナエード。


ホカホカとした湯気とともに、心ひく甘い香りが充満していく。


今回は美緒のレシピ通りに、『カップケーキ』を作ったところだ。


「はあ。これ…完璧な仕上がり…こんな簡単にスイーツが出来ちゃうなんて…」


ミトンをはめた手でそっと取り出す6個のカップケーキ。

テーブルに乗せ、皆が興味深げにまじまじと見つめた。


「ゴクリ。…めっちゃいい匂い…ね、ねえ、メリナ、食べてもいい?」

「うん。じゃあ皆でいただきましょうか」


「あっ、わ、私紅茶淹れますね!」

「手伝うよ」


慌しくも丁寧に紅茶の準備をするルイミとコノハ。

良い香りがあたりを包み、皆の興奮は既にマックスだ。


「い、いただきます…あむ…っ!?…ふわー♡蕩けそう…」


フォークで口に運び、恍惚の表情を浮かべるマイ。

やばいくらい可愛い。


「わ、わたしもっ…あむ…っ!?んんん♡」


余りのおいしさに真っ赤に顔を染めるラミンダ。


全員が幸せに包まれる。


「ねえねえ、メリナ。他にも美緒のレシピ、沢山あるのよね?」

「う、うん。…えっとね…ふわあ、ご飯とかもこれでできるみたい!」

「マジか!」


そして女の子たちの興奮は、さらに続いていくのであった。



※※※※※



当然だがこの世界に電気の供給が出来る物はない。

そもそも電気で物を動かすという発想のない世界だ。


しかしそこは多くの異世界人がいる美緒のギルド。

知恵を出し合い、魔刻石で安定的に電力供給できる仕組みを構築していた。


そしてそのおかげで大活躍する美緒の超元インベントリから出てきた家電の数々。

大本命である電子レンジ、そして乾燥機付き自動洗濯機。


そして意外にも大人気になったのは保温機能付きの湯沸かしポット。

これはすでに30台近く美緒が出しているのだが。


いまだに欲しがる者が後を絶たない状況だった。


そんな中、特に自動洗濯機にはファルマナさんが涙を流して喜んでいた。


「なんだい?ここに入れてスイッチを押せばいいなんて…それにこのジェルボール?…なんて良い香りなんだい」


何しろ洗濯は重労働だ。

今美緒のギルドでは71名が生活している。


その服の洗濯、考えたたけでも恐ろしい量だった。


つい最近までファルマナをはじめ、レリアーナ、アリア、メリナエード、セシリナ、モミジ、それにルイミ。

そして5人のジパング娘たち。

さらには加入間もない元皇女であったジナールまでもが駆り出されていた。


干すときなどはザッカート盗賊団までもが駆り出されるまさに一大事業だ。


彼女たちの仕事は基本食事や掃除などの家事。

しかし今の大量の洗濯はまさに一番の重労働だった。


それを心配した美緒が今回インベントリから取り出した乾燥機付き洗濯機。

実に20台。

並ぶ姿は思わずその威容に、感嘆の言葉が漏れてしまう。


「まったく。美緒には感謝しかないねえ」


何しろ服と一緒にジェルボールを入れ、スイッチオン。

およそ1時間後には乾燥まで終わっているという、今まででは考えられない状況。


おかげでファルマナにも時間の余裕が出来、そして始まる服などの制作。


ファルマナの指導でジパング組の5人、そしてメリナエード、セシリナ。

さらにはジナールまでもが目を輝かせ、衣服の制作に取り掛かっていた。


まさに時代を超えた奇跡。

美緒のギルドの進化はとどまることを知らない。



※※※※※



「はあ。本当にこのギルド、凄すぎですわ。…これはお姉さまには黙ってないといけないですわね」


そう零すジナール。

何より彼女は今、最高に自分の運命に感謝していたのだから。


「…邪魔はさせない!!」


珍しいものが大好きな、姉であるミュライーナ。

この状況を知ったら。


絶対に来てしまう。

ジナールはなぜか拳を握りしめ、『絶対に教えない』という決意を固めていた。


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