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第15話 ギルドの騒動と深夜の密会

「えっと……ごめんなさい」


いつもの格好になった美緒はサロンでみんなに謝罪していた。



※※※※※



今回の騒動。

男性陣21名中19名が失神。

女性1名、まあ美緒なのだが失神。


ギルド機能の維持すら困難になる事態を引き起こしていた。



※※※※※



原因は言わずもがな、パニックになり気を失った美緒。


次に部屋の騒ぎにエルノールが飛び込んできて美緒を目にしてフリーズ。

火が出るほど顔を赤くし卒倒。

やはり気を失った。


さらに駆け付けたザッカートとサンテス。

二人美緒を見て失神。


その後訪れた男性、なんと全員が失神する事態となった。


無事だったのはザナークとまだ8歳のハイネのみ。



実はあの時の美緒は『精神異常』を引き起こすほどの魅力が発せられていた。


パニックになったときに無意識で発動したデバフ魔法。

ミネアのスキルの籠った衣装。

ルルーナ渾身の化粧。


それらが相まってなんと『強力な異常状態』を誘発していたのだ。


しかも適齢期の男性に効果を絞った超強力なもの。


最終的にはファルマナのスキルで皆正気を取り戻したものの、本当に呪いとかでなくてよかったと美緒は安堵したものだ。



うん、異世界恐るべし。



※※※※※



謝罪を終え執務室に移動した4人。

自分の用事を終えくつろいでいたリンネと合流していた。


「ねっ美緒可愛いでしょ?」


ニコニコ顔でレリアーナが美緒に告げる。


「うんうん。はあ、本当に可愛かったなあ♡」


頷くルルーナ。


「美緒は世界一にゃ♡」

「あうう」


うああ。

嬉しいけど……恥ずかしい。

穴があったら入りたい。


「えー、いいなあ。私も見たかった……でもよかったね美緒。だから言ってたじゃん。あなた可愛いって」


リンネにまでそういわれ美緒はますます顔を赤く染める。


転移して3か月以上経過し遂に自分の姿を確認した美緒……

驚くほど可愛かった。


(……うん、きっと異世界転移特典よね。そうだよね?……でも……本当に可愛かった……驚いたけど……嬉しい)



※※※※※



事実を受け入れた美緒はその日から鏡が大好きになった。


当然美緒だって適齢の女性だ。

興味がないわけではない。


そしてルルーナの指導の元お手入れを始める。

自分を磨く楽しさに美緒は気づいた。


結果。


彼女はまさに『超絶美少女』の称号を手にするのだが…


それはまた別のお話。



※※※※※



一方美緒の去った後のサロン。


彼女の色香に当てられた男たちはその熱い興奮にまだ冷める事が出来ないでいた。


異常状態を誘発していたとはいえ、先ほどの美緒は本当に可愛かった。

いや、可愛すぎた。


そして何より女性としての魅力がまるで大洪水のようにすべての男性の心を問答無用で薙ぎ倒していた。


「なあ。うちのカシラ、危なすぎねえか?……あれじゃ街を歩いただけで“どえらい事”になるぞ」


さきほどの妖艶な姿が脳裏によぎり、顔を赤らめザッカートが吐露する。


(なんだよ、嬢ちゃんだとばかり思っていたが……確かに小ぶりではあったが―――エロすぎるだろっ!!)


転移した後に獲得した美緒の程よく育った体は、もう男性の本能を刺激してしまうほど魅力的だった。


やや控えめだがほどよく均整の取れた美しい肢体。

サラサラな黒髪とあの愛らしい顔。


無意識にザッカートは熱いため息を吐き自分を抱きしめてしまう。


「うあああ、美緒さま……はあ、女神様だ……お美しすぎる……はあ、はあ……そしてメチャクチャエロいっ!!」


サンテスが壊れた。


「こっこっ、こら!!美緒さまをそんな目で見るなっ!!くそっ、ダメだ、美緒さまを閉じ込めないと……誰にも見せるものかっ…ぶばっ!!?」


突然立ち上がり恐ろしすぎる宣言をするエルノールの顔面に座布団が叩きつけられた。


「おいっ、てめえ。何言っていやがる?閉じ込めるだとっ!?……ぶっ殺されてえか?!」


普段クールで盗賊団の精神的柱で紳士のイケオジ、齢42歳のレルダンがブチギレる。


「そうだそうだ。管理者様だがなんだか知らねえが、美緒さまを閉じ込めようとするてめえは敵だ!!」


普段おとなしく影に隠れるような影の薄いはずの斥候のイニギアまでもが猛り始める。



カオスが広がっていた。



※※※※※



収拾がつかなくなりそうなところでファルマナの雷が落ち、どうにか事態は収束を見た。

その夜男性陣は全員美緒の治療を受ける羽目になったが…


だがそれはまさにご褒美にほかならない。

美緒は謝罪を込め、わざわざ一人ひとり手を取り心を込めて回復魔法を使用したのだから。


「もう、こんなに引っかかれて……素敵なお顔が台無しですよ?」


そんなことを言いながら優しく微笑み目を見つめ回復魔法を紡ぐ美緒。

男性陣がその優しい言葉と姿に、さらに傾倒してしまうのは必然だろう。



「明日の作戦、皆さんの協力お願いしますね♡」

「は、はひ」


その様子をみていたリンネは一人、まるで聖母のような慈愛の籠った顔で美緒を誇らしく見つめていた。


「……良かったね美緒……さて、と」



※※※※※



サブマスター室でサロンでの出来事を反省し、いまだ頭を抱えているエルノールの部屋に訪問者が訪れた。


「……リンネ様…」

「まだ寝ないの?明日に響くよ?」


リンネは呟きソファーに腰を下ろす。

憔悴しきったエルノールの姿にため息を一つ零す。


「ねえ、あの指令だけど……一時中断しよっか」

「……えっ?」


二人でジパングを訪れた時にリンネがエルノールにした指令。

『美緒を嫁に取れ』、との指令だ。


「な、なぜ?……た、確かに美緒様は御自身の美しさに気づかれた。でも、彼女はまだとても危うい……守らねば…」

「うん。それよそれ。……あんた『重すぎ』」

「っ!?」


リンネは分かりやすく再度大きくため息をつく。

そしてじろりとエルノールに視線を投げる。


「まったく。私も焼きが回ったわね。……あんた、女性経験なかったのね」

「っっっ!?……な?!……な??!!!……」


「とにかく。――あまり美緒を束縛するような物言いは控えなさい。幸いあの子はあなたの気持ちに気づいていないから。…鈍すぎるのもそれはそれでちょっと心配だけどね」


言葉を切り大きくため息をつくリンネ。


「……それに心の崩壊はあんたの妹ちゃんたちが防いでくれた。きっとこれで美緒は変わる。――自分を好きになる」


「……」


気付いていた。

エルノールは美緒の心の変化に。


特に最近は女性たちで和やかに過ごす時間が増え、年相応に笑う美緒を微笑ましく思っていたのだから。


でも、自身の欲がそれを否定していた。

自分が守らねば美緒が失われてしまう、と。

何より創造神の指令だと。


エルノールは美緒を誰にも譲りたくなかった。


「まあ、あんた嫌われてはいないから。むしろ好かれているわよ?……ゆっくり攻略するといいわ。結婚自体賛成なのは変わらないもの。……焦っちゃだめよ?がっつく男は嫌われる」


「……はい」


「まったく。そんな顔しない!!……今一番リードしているのは事実よ?なにしろエルノールは美緒の『憧れの君』だしね」

「……は?……美緒さまの憧れ???……わ、私が???……ええっ?!」


「取り敢えず今は寝なさい。そして確実に明日の作戦を成功させる事。……まだ彼女の中で優先順位が高いのは、いまだにこの世界なのだから。――あの子を安心させてあげて」


「っ!?……はい、仰せのままに」

「うん。じゃあね。おやすみ」



※※※※※



リンネが出ていった後エルノールはやけに冷めた頭で思考を巡らした。

確かに自分は浮かれていた。

恥ずかしいほどに……


顔に熱が集まってきてしまう。


「……ふうっ……焦るな、か。――だけど……」


脳裏によみがえる美しい美緒の姿。

心の底から奪いたいと、独占したいと思ってしまっていた。


そして時とともにその想いは膨らんでいく。


「美緒さま………私は……」


暫く物思いにふけるのであった。



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