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第115話 エロいタコにお仕置きしちゃいます

ウネウネとうねりまくる、嫌悪感満載のピンク色の触手。

それが美緒たちを捕らえようと縦横無尽に動き回っていた。


「うええ、気持ち悪い。ねえ美緒?これ何なの?」


浄化に特化した聖剣『キュアラル・ビスト』を振りぬきながら、ルルーナが困惑の声を上げた。


「ルルーナ、コイツは呪われてもいないしアンデットでもない。生物なの。でも違う摂理、いわゆる邪神。……くうっ、きりがない!!」


修行僧をカンストし、今の美緒は武闘家。

音を置きざりにするすさまじい踏み込みで、すでに数十体目になる本体、ダゴンを物理で消滅させていた。


(やっぱり倒しても再生する。……ていうか増えてる?…どこかに居る本体、それを倒さないと)


正直ここにいるメンバー。

誰一人戦闘力では引けを取らない。


しかし倒しても倒しても湧き出すように増えていく本体と触手。

気付けば在り得ないような夥しいそれに、美緒たちは囲まれていた。


「美緒!?きりがないっ!!」

「リンネ?っ!?危ないっ!!」

「えっ?きゃああああああああ―――――――!?」


新たに湧き出した今までとは違う細く見えにくい触手。

それがリンネを絡め取り、一瞬で体に巻き付いた。


「く、こ、このっ?!うあ、いや、あああっ?!」


幾重にも絡みつき、リンネの自由を奪う触手。

必死に抗うリンネ。


でもその数は爆発的に増えていく。


「こ、このっ!!…くうう?!」


やがて包み込み、姿が確認できなくなるほど密度を増す触手。

そんな時、ダゴンがニヤリとし魔力を噴き上げる。


「くくく。捕らえた…食らうといい…我が超絶な淫靡な魔力。…精神を侵食され、我が情婦になるといい!」

「何言って…」


さらに醜悪に歪む表情。

勝ち誇り、私に視線を向ける。


「貴様ら強いな。なるほど、物理ではかなわぬかもしれぬ。…ククク。しかしどんなに強かろうと我が触手に包まれればすべての精神耐性は消失、我が精神支配下でとことん可愛がってくれるわ!!」


触手の塊に包まれ、姿の見えないリンネ。

彼女のくぐもった声が、かすかに届く。


「うあ?リ、リンネ様?……こ、このおっ!!」


その様子にロッドランドの聖剣が光を増す。


一閃―――


凄まじい剣圧で吹き飛ぶ触手。


解放されたリンネ。

茫然とし、目には涙が浮かんでいた。


「リンネ!大丈夫?」

「ぐすっ…う、うん。…美緒、あいつヤバイ…レジスト出来なかった」


精神上とはいえ。

コイツはリンネに酷い事をした。


沸々と沸き上がる怒り。

私はダゴンを睨み付ける。


「おー怖い怖い。…だが…いいのか?我だけに注目して」

「っ!?…ルルーナ?!!」


「っ!?こ、このっ?!きゃああああああああああ―――――!???」


リンネを抱きかかえ、私の意識が一瞬戦場を包む結界からそれた瞬間―――

そのタイミングをまるで計るかのように、ルルーナが囚われた。


そして一瞬で覆いつくされるルルーナ。


私の視界が、怒りで赤く染まる。


「っ!?」

「つーかーまーえーたー」


ほぼ同時。


怒りに囚われた私は。


一瞬のスキを突かれルルーナと同じくこいつに囚われた。

脳裏にダゴンのいやらしい表情が流れ込んできたんだ。



※※※※※



「美緒っ!?ぐううっ、許さん!!ハアアアアアッッ!!!『朧月下・千切』」


囚われた美緒を見て瞬時に反応するレルダン。

とんでもない剣戟で、多くの触手を切り刻む。


レルダンの神業で無傷で解放されたルルーナ。

すでに顔には、ありえないような羞恥と恐れの表情が張り付いていた。


「ぐうっ、美緒?!美緒―――――!!!!!」


渾身のアーツでも切れなかった美緒を包む触手の塊。

レルダンの顔に絶望が浮かぶ。



※※※※※



精神に侵入すべく、術式を展開する夥しい数の触手。

その魔法効果を悉く無効化し、美緒はため息をついていた。


(……まったく)


実は美緒、凄まじい魔力圧で自身をガードしていた。

包み込んでいる触手と精神干渉の魔法は届いていない。


何故かいやらしく歪むダゴンの顔が脳裏に浮かび、一瞬沸騰しかけた怒りが逆に冷静になってきていた。

そして心の中で大きく深呼吸し、周囲を確認するように魔力を伸ばす―――


(リンネとルルーナ……無事ね……結界も…うん。再稼働、問題ないね……)

(それにしても…よくも私の可愛い妹と大好きな親友を……)


冷静に美緒は思考を巡らす。

怒りに任せるだけでは、コイツは倒せない。


冷静に、探るんだ。


そして目を閉じ美緒は魔力を極限まで広げていく。

彼女は隠蔽を併用しながら時渡のスキルを使用していた。


遡る時間。

ダゴンの足跡。


(っ!?…いた……やっぱりね)


ダゴンの本体。

なんと300年前に存在。


創造神の過去の悪戯心で作られ放置され海の奥深くにあったアーティーファクト、それに触れたタコがその正体だった。


(何が『違う次元の神』よ!?あんた只のタコじゃん。……それにしてもおばあ様?適当に捨てるとか?……今度会ったらお説教ね。まったく)


正体は分かった。

でもどうする?


流石に300年もの遡行は、膨大な魔力がいる。

いくら隠蔽しても気付かれるし、下手をするとタイムパラドックスでこの世界が崩壊してしまう恐れがある。


そんな美緒に、レルダンの絶望する心が届く。


(いっけない。心配かけちゃった……レルダン…レルダン…)



※※※※※



「こんのエロ触手があああああああっっっ!!!!」

「女の敵!!!すべて滅べっ!!!!!!」


まさに地獄が広がっている社前の広場。


どうにか一瞬途切れた美緒の結界が再稼働し、動きの遅くなった触手。

猛る狂うルルーナとリンネの猛攻が、ほとんどの触手とダゴンの本体を滅ぼしていた。


「ハハハ、ハ。……女の人って怖い…」


つぶやきながらも一生懸命剣を振るロッドランド。


さらには打ちひしがれた様子のレルダンがまるで幽鬼のように生気のない、それでいてまったく無駄のない動きでひたすら敵を切り裂いていた。


「……大丈夫かな?」


ちらりと美緒の包まれた触手の塊に視線を向ける。

実はロッドランド。

正直あんまり心配していなかった。


何より彼女の魔力、驚くほど安定していた。


何度か一緒に戦った美緒。

彼女がこの程度でやられるわけがない。


(きっと何か考えているんだ。美緒さんは凄い人。絶対そうだ)


そんな時美緒から念話が届く。


どうやら『レルダン宛て』のようだがきっと力加減を間違えたのだろう。

ここにいる仲間全員にその声が届いていた。



◆◆


『レルダン?心配かけてごめんなさい。…私は大丈夫よ?あの触手、私にはまったく触れていないわ!もちろん精神魔法もね。……あの時あなたが優しく包んでくれた私の体、まだきれいよ?心配しないでね♡……リンネとルルーナは触れられちゃったけど。……だからね私、今スッゴク怒っているの。大切な妹に大好きな親友。絶対にこのエロ魔神、ぶっ飛ばすから。心配しないで皆を守ってください。……ど、どうせ抱きしめられるのなら……や、やさしい貴方が良いもの。あうっ♡……大好なレルダン?私はあなたを信じています』


◆◆


美緒は天然だ。


だから今の内容、どんな効果をもたらすかきっと彼女は気づいていない。

しかも美緒はまさか全員が聞いているとは思っていない。


それにきっと心細さもあったのだろう。

若干甘い内容に、皆の顔が赤く染まる。


そして気付き皆が目を向ける。


レルダンの顔からおびただしい湯気と、普段絶対に見られないであろう、『だらしなく緩んだ顔』がそこにはあった。


「う、うおおおおおおおおおおおおおおっっっっっ!!!!!!」


在り得ない魔力が吹き上がる。

美緒を愛するレルダン42歳。


彼は今、まさに天にも昇る興奮に包まれていた。


そして流れる電子音。


『ピコン……条件を満たしました……年の差、コホン…『時を超える愛』獲得しました…指定したモノ……その『時の効果』を打ち消す……獲得しました……』


何故か間違える電子音?

何はともあれ今一番必要なスキル、対象の時を打ち消す、必殺のスキルをレルダンは手に入れた。


まさに究極のご都合主義!!


美緒を思うレルダンの心。

実は若干年齢差を気にしていた彼。

即座に繋がり美緒は目を見開く。


そしてはじけ飛ぶ触手の塊。

興奮冷めやらぬ美緒は思わず力いっぱいレルダンに抱き着いた。


「ああっ、レルダン。あなた最高!!もう大好き♡」


感じる愛おしい人の体温。

妻を亡くし相当の年月感じることのなかった甘い女性の香りにレルダンの意識は爆発寸前だ。


どうにか精神を立て直し、優しく抱き返し美緒を見つめる。

にっこりと笑う最愛の人。


「レルダン?今のスキル、使えこなせますか?」

「……ああ。任せろ。……美緒を守る。だから俺は何でもできる」


優しく美緒を放し今まさに湧き出すダゴンを睨み付ける。

レルダンは精神を集中し先ほど得たスキル『時を超える愛』それをダゴンに適応させた。


「っ!?ぐううっ?!!グギャアアアアアアアアア―――――――――――――」


まるで沸騰するかのように波打つダゴンを名乗る化け物。

激しく体液をまき散らし徐々に縮んでいくその姿。


時を超えるその権能を打ち消す。


そして―――



※※※※※



「ねえ美緒?コイツ、焼いて食べちゃう?」

「あー、私はいいかな。ちょっと気持ち悪い」

「そうね。……『神の業火』」


「プぎゃあああああ―――――   ―――   」


「ふん。いい気味だわ」


ニヤリと悪い顔を浮かべるリンネ。


今この瞬間、マサカドが神と崇め、時間遡行という超チートスキル。


その権能が完全に消失した瞬間だった。



年末なので投稿パターン、少し変え、きょうから3日間、2話ずつ投稿いたします。


「面白かった」

「続きが気になる」

 と思ってくださったら。


下にある☆☆☆☆☆から作品への応援、お願いいたします!


面白いと思っていただけたら星5個、つまらないと思うなら星1つ、正直な感想で大丈夫です!


ブックマークもいただけると、本当に嬉しいです。

何卒よろしくお願いいたします。

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