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プロローグ2

投稿します。

次は来週の水曜日を予定しています。

よろしくお願いします。


少し訂正しました。

「――話が脱線しましたが、如何ですか?高科さんにとっても、そんなに悪い話ではないと思うのですが」


 心配する親族はいない。仕事は引き継ぎの時間があれば、問題はない。

 家も引き払わなきゃだし、荷物も処分しなきゃって……行く気満々か。

 ただ何となくこの歳まで生きて、あくせく働いてきた。

 貯金はない。働けなくなれば浮浪者や孤独死待ったなしの状態。老後の不安は常に付き纏っていた。それが免れるってだけでも行く価値はある。

 見合いが上手く行くとは思えないが、ある程度の保証さえして貰えれば、きっとどうとでもなるだろう。


「ウサギ女神様」

「ウサギはいりません」

「いくつか質問があるんですが」


 女神の言葉をスルーし、真美は疑問に思ったことを質問する。


「どうぞ」

「言葉は通じますか?」

「スキルで異世界言語を付けますので、問題ありません。共通語もありますが、場所によっては言葉も変わりますので、スキルはマックスにしておきますね。そうすれば字の読み書きも問題ないでしょう」


 女神の言葉に真美はホッとした。

 せっかく異世界に行くのに、言葉が通じないのは困る。


「手に職を付けたいのですが、可能ですか?」


 取り立てて得て不得手もなく、突出した才能もない。できる仕事は限られ、今更何かを学ぼうと思っても、若い頃に比べれば記憶力は衰え、技術を学べるとも思えず、手に職を持っていれば良かったと、真美は何度も後悔した。

 だからもし、可能ならば手に職を持ちたい。

 スキルで何とかしようとするのは、ズルだとは思うけど。


「可能です。本来なら職人に弟子入りし、スキルを生やし上達するごとにレベルも上がっていくものですが、知り合いも居ない世界での生活でそれも難しいでしょう。そちらもマックスで付与いたします」

「ありがとうございます。そちらの世界で魔物や魔獣に襲われた際、戦うことができるとは思えないので、逃げられるようなスキルもあれば嬉しいのですが」

「そうですね。それも考慮してスキルを何個か付与いたしましょう。あとはございますか?」

「両親の墓参りと、仕事の引き継ぎや、アパートを引き払うために、一度あちらに戻りたいのですが、可能ですか?」

「それは難しいですね。あちらとの行き来は一度きり。戻ってしまった場合、転移は拒否されたことになってしまいます」

「神様同士の取り決めですか?」

「はい」


 女神が頷くのを見て、真美はどうしようと、頭を抱えた。

 行くのはいい。見合いもしよう。上手く行かなくても、向こうで新たな人生を過ごせるなら行ってみたい。

 でもと、真美は熟考する。


 いくらパートやアルバイトとはいえ、何年もお世話になった仕事場に、挨拶も引き継ぎもなしに消えるのは良くない。アパートだって何もしないままで居なくなれば、大家さんや管理会社に迷惑をかけてしまう。


 それは不本意だ。この歳になってしていいことじゃない。


 うーんと頭を悩ます真美に「今、あなたの世界の神と話をしました」と、女神が話し出す。


「特別処置として、戻ることはできませんが、代理人を送ることになりました。貴方に代わり、諸々の手続きを行ってもらいます」

「代理人?」

「はい」

「私じゃない人が行って大丈夫かな」


 アパートは親族だと言えばなんとかなるだろう。でも職場は、引き継ぎの問題もあるから、無理じゃないかな。


「――心配はいりません。他の方には高科さんに見えるよう工夫するようです」

「工夫?」

「ええ。神的な力業で」


 ニィッと笑う女神の顔に少しビビりながら、真美は頷く。


 なら、大丈夫なのかなと。


「お墓参りに関しては、申し訳なく思います。何かお伝えしたいことがあれば、伝言を承りますが」


 墓参りも行ってくれるんだ。


「なら……運命のイタズラで、異世界でお見合いをすることになったけど、真美は元気だから心配しないでねと、伝えて頂けますか?」

「承りました。他にはありませんか?」

「今は思い付かないです。たぶん、自分でも思っている以上にいっぱいいっぱいなのかもしれません」

「もし質問があれば、各街や村には規模は違いますが、私を祭る神殿が設置されています。そこで訊ねてくだされば、後ほど返答を致します」

「ありがとうございます」

「このあと、高科さんを魔王城へと送り届けます。ただ、レイシナブルは異界に住んでおり、魔王城は時折立ち寄るのみで、誰もいない状態になっています。人の身で異界渡りは命の危険があるので、魔王城で待っていただきたいのですが、よろしいですか?」

「はい」


 もちろんです。せっかく異世界に来たのに、直ぐ死ぬとか絶対嫌だ。


「――高科さん。魔王とお見合いなんて、不躾なことをお願いしましたが、お見合いは二の次と考えて下さいね。そして、できるならば私の管理するこの世界を、是非楽しんで下さいね」

「はい」






「ところで女神様」

「はい」

「私の思考読んでました?」

「いつ指摘されるかとドキドキしてましたが、ワンチャン気付いていないのかもと思いました」

「ウサギ顔で若者言葉は似合わないですよ」

「魚なら似合いますか?」

「似合いません」


どうして、魚なら似合うと思ったんだろう?

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