魔王レイシナブル・・・の、側近に遭遇 4
真美は食事を終えて、ラルクと話をしていた部屋に戻り、貰ったクッキーを食べながらまったりしていると、ラルクが人を連れて戻って来た。
「マミ様、遅くなり申し訳ありません。只今戻りました」
マミ様?!……マミ様かあー。似合わないけど仕方ないのかな。ほら、一応主君の見合い相手だし?見合いが終われば呼び方も変わるよね。
若干顔が引き攣るのを手で抑えながら、真美は笑顔を浮かべる。
「おかえりなさい。遅くなんてないですよ?」
寧ろ、早くてびっくりしたくらいだ。
真美は慌ててクッキーのカスが付いた口元を払い立ち上がった。
「彼らを紹介してもよろしいですか?」
「はい。お願いします」
ラルクの後ろには、揃いのお仕着せを来た女性が四人。コック帽を被った男性が一人。外作業に従事しているのだろう、長靴を履いた男性が二人立っていた。
「先ずは、マミ様の専用侍女です。アニー自己紹介を」
「初めまして、マミ様。マミ様のお世話をさせてアニーです。よろしくお願い致します」
「マミです。よろしくお願いします」
アニーは、若草色の髪を三つ編みに編んだ十代後半に見える幼い顔立ちの少女だ。瞳の色は翠で、目がクリクリとして可愛い。耳の横に羊のようなツノがクリンと垂れ下がっている。
「侍女長のアマンダ」
「マミ様、よろしくお願い致します」
「よろしくお願いします」
次に紹介されたのは、少しだけふくよかな女性だ。耳の上から生えたツノは曲線を描き上へと伸びている。
赤い瞳で銀に近い白い髪をアップにして、スッと背筋を伸ばした様子が凛々しい女性だった。
「侍女のローザとサラです」
「ローザです。よろしくお願い致します」
「サラです。よろしくお願い致します」
「よろしくお願いします。ローザさん。サラさん」
ローザは、金色の髪と青い目をした二十代くらいの女性。サラはオレンジの髪色と琥珀色をした同じく二十代の女性だ。
二人共、頭の上に小さなツノが二本飛び出している。顔立ちが似てるから姉妹かもしれない。
「料理長のニック」
「ニックだ。ラルクに聞いたぜ。マトモなメシを食ってないんだってな。美味いモンを作ってやるからな。よろしくな嬢ちゃん」
「はい。楽しみにしています。よろしくお願いします」
ニックは、暗い金髪に浅黒い肌。緑の瞳が鮮やかな男性。二メートルは超えているだろう。見上げるほど大きく、白衣の上からも分かるがっしりした体格が頼もしい。フライパンや鍋よりも、大剣や斧が似合いそうだ。
「庭師のジョンと見習いのマックです。二人は親子で、こちらに従事してもらっています」
「ジョンです。よろしくお願いします」
「マックです。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。ジョンさん、マックさん」
二人とも茶色の髪に、藍色の目をしている。顔立ちはよく似ていて、少し幅広の耳が尖っている。
それにしてもと、真美は今紹介された人たちを見渡す。
真美の身長は、155センチ。日本では平均身長より少し低いくらいだったが、ここにいると小人(言い過ぎ)にでもなった気分だ。
男性はもちろん、女性四人もみな、マミより背が高く170近くはありそうだ。若干、首が痛い。
胸も……なかなかどうして立派な胸装をしていて、ラルクの反応も悔しいが理解した。
「それとあと一人、明日以降の到着となりますが、講師を手配しております。人族に混じり生活をしている者ですから、こちらの世界の知っておくべき歴史や、大陸の状況、一般常識など様々な分野に精通しています。マミ様の知識の吸収にも役に立つでしょう」
「ありがとうございます!」
真美はラルクの心遣いに感謝した。お金のことは学んだが、この世界に一人放り出されたあとの生活に、かなり不安を覚えていた。
ラルク自身も、真美と話をしてそんな不安を抱いたのだろう。
手間をかけさせて申し訳なくも思うが、そこは労働で返そうと真美は奮起した。
「私はこのあと異界に戻り、諸々の調整を行います。何日か留守にしてしまいますが、あとのことは侍女長のマチルダに頼んであります。何か困ったことがあれば、彼女に相談をして下さい」
「はい」
「マチルダ、頼みましたよ」
「お任せ下さい」
ラルクは、マチルダに一任すると部屋を出て行った。




