はじまり
俺は生まれつき特殊な力があった。
最近流行りの異世界転生時に貰えるようなスキルだ。
俺のスキルは、創造魔法。
といっても魔法やら魔物やらを使ってるわけじゃない。
俺が使っているのはコピー魔法ってところだ。
その代わりその効果は無限大。一万円を一億円にすることだって可能だ。一つのものを無限に生み出せる。
この能力だけで一国の経済破綻だって可能だろう。
ただ、悪用を防ぐためにこれだけにしている。
俺はこの力で小学生の頃から遊びの限りを尽くしてきた。
俺をいじめた同級生を地元の暴走族やヤンキー中学生を金で
雇ってボコボコにしたり、誘拐したり。
欲しいものは、親に内緒で買ってきた。
貧乏な友だちの親を買収して、夢の国にだって行った。
中学生に上がってからは、県内の暴走族グループやギャング、半グレ集団を金で買収して、県内最大のチームに統一して、犯罪の限りを尽くした。それでも俺はあくまでも裏役。
現場には一切顔を出さず、ボスも他のやつにやらせて、影のフィクサーとして、当時の地元を仕切っていた。そんなときに
北米や中米、南米、欧州のマフィアやギャングの噂を耳にした。暴力団が住みにくい日本と違い、暴力の限りを尽くして未だに悪が支配している国があること。
平和な日本では、できることに限りがあるし。同じ日本人を日本で犯すことは、俺も気が引けるし、捕まりたくはない。
高校も同じように過ごし、大学在学中にはホストクラブやキャバクラのオーナーとして、順風満帆な学生生活を送った。
金がある所には女性も集まる。
俺が大富豪だと認識していたキャバ嬢達は、俺を積極的に誘ってきた。毎日が楽しかった。
その頃には、バイト代と称して親に欲しいもの買ってあげていた。昔から末っ子気質からかデロデロに甘やかされたから。
ただ、こういう夜の業界に手を出すと、日本の裏社会の方々が出てきた。脅迫地味た行為でみかじめ料を要求してきたが、俺はみかじめ料を倍額支払い、金でその組織の幹部階級を手に入れた。加えて日本の警察組織上層部を多額の資金で買収することで俺は表裏一体最強の権力を手に入れた。
そんな俺に因果応報とも思える事態が発生した。
家族旅行中に交通事故が発生し、俺を除く家族全員が死亡した。それも俺の兄貴には奥さんがいたんだが、その奥さんのお腹にいた娘も亡くなった。
俺はその事故の際、車外にはじき出されたものの、骨折だけで済み、生き残ってしまった。
その後を追うように祖父母もなくなり、俺には一人では広すぎる2世帯の自宅と家族が遺してくれた貯金と家族分の生命保険金額だけが残された。
従兄弟たちは、俺から自宅や遺産を根こそぎふんだくろうとしてきた。まぁ、裏社会の人間に手を回して、全員失踪させたんだが。
そこで俺は、決意した。
日本を出るべきだと。
とはいえ、まずはガキだと思われたくないから、
国内で準備できるものは準備しておかないと…。
まずは国内で舐められないようにまずは車から。
これまでは大学生活で浮かないようにプリウスに乗ってたけど
親もいないしもう我慢する必要はない。
とりあえず、日産のGT-Rを事前に通知したうえで即金支払。
オプションも全部付けて、プリウスは廃棄依頼。
その後、その足でオーダースーツを依頼。
100万のモノを色別で10着。キャリーバックもVuitton。
普段着はスエットとパーカーのラフスタイル。
その後、俺は地元静岡で高校まで同じチームにいて今は、黒人労働者を雇って関東で解体業者をやっているメンバーのもとを訪れた。こいつの立ち上げ資金を提供したのは俺だし、チームにいたころも定期的に金を恵んでやっていた。その頃から話だけは聞いていたんだ。こいつの親父が結構デカイマフィアのボスをやっているってな。それも扱ってるのは薬物。
困ったときにはなんでも言えって言ってたし、長年積み重ねてきた恩を返してもらおうか。
もしかしたら使うと思って、こいつの倉庫には事前に日本円で10億の資金を先に届けておいた。
俺が駐車場に立っていたボディガードに声を掛けると、彼はビックリした様子で奴を呼びに行った。あのボディーガード…
銃もってね?
「驚きましたよ…。まさか、ボスがわざわざこんなところに足を運ばれるなんて。なんかあったんです?」
「お前学生の頃、困ったことあったらなんでも言えって言ったよな?」
「そりゃ、ホームレスの俺を拾ってくれた上に、食事もくれて金もくれて、チームでの立場もくれて。あなたには返しきれない恩がある。」
「なら、お前の親父さんを紹介してくれ。できるなら、俺を特別待遇で迎えるように手配して欲しい。金はいくらでも出す。殺しはしないが、資金と武器供与はしてやる。それで話を通せ。」
「親はいいんですかい?」
「俺に家族はもういない。それで?できるのか?」
「親父には既にボスのこと伝えてあります。困ったときには、組織に迎えると。幹部待遇で迎えてくれるように頼んでみます。できれば、1000万もあれば楽なんですが。」
「前に俺から預かってほしいって届けた荷物あったろ?」
「ええ。」
「あんなかに10億入ってる。親父さんに送金してやれ。それと言い忘れんなよ?俺は殺しはやらない。チームにいた当時と変わらん。表には出ないが、協力はする。それで通せ。」
「10億も…!?そんなにあるんなら、親父も聞き入れますよ。正確な日程が確定したら連絡してください。親父に連絡して通訳と迎えと護衛を向こうに用意させておきます。」
「よし。そういえばよ、お前の生まれってそもそもどこよ。俺、海外としか聞いてないんだけど。」
「言ってませんでしたね。生まれはブラジルですけど、組織の拠点はアメリカですよ。とは言っても、拠点は世界中にありますし、とりあえずボスにはアメリカ飛んでもらいます。親父もそこにいますんで。」
「わかった。予定が確定したら連絡する。ああ、それと俺の実家の場所わかるか?」
「ええ。何度かお送りしたので。」
「俺が出国している間、家の管理を頼む。鍵は出国の際に渡すからよ。」
「わかりました。」