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6.マナト side 再会

よろしくお願いします。




 心臓がバクバク煩い。もうすぐ終電が来る。


 さっき平井さんから


『ホントにギリギリになっちゃったけど、終電に乗れたって楠木ちゃんから連絡来たから計画通りだよ!


頑張って!須藤くんならヤれる!


それからいい子は捕まらなかったから須藤くんのお部屋借りるねー。


また落ち着いたら連絡ちょうだいねー』とメールが届いた。ちょっと落ち着いた。


 電車がホームに入るアナウンスが流れる。ギリギリ駆け込む人達が階段を駆け上がって行く。


 電車が止まってドアの開く音がした。


 よしっ!時間調節をしながら階段をゆっくり上がる。


 ホームが見えた時に発車のベルが鳴り始めた。


 

 よそ見をしている彼女が目の前に居た。ダッシュで階段を駆け上がり俺の鞄を彼女の鞄にぶつけ中身をぶちまけさせた。


「わっ!!すみません!!大丈夫ですか!」



「あ、いえ!こちらこそ!大丈夫です!電車乗って下さい!」


 これ平井さんが用意したんだろーな。と笑いを堪えながら辺りに散らばったお菓子を拾おうとしゃがみ込んだ。



「あの!大丈夫ですから!電車に…乗っ…」


プシューーー。。。。ガタン、、ガタン、、ゴトン、、


 チラッと盗み見たシアンはドアが閉まり動き出した電車を見て絶望したようなとんでもない顔をして固まっていた。

吹き出しそうなのを全力で我慢した。



 よっしゃあああああああぁーーー!!


 俺は立ち上がって両手の拳を天に突き上げて雄叫びをあげ、ゆっくりと去り行く電車に敬礼したいのも全力で我慢した。


「終電だったのにホントに…申し訳ないです…。」


 そうだった。まだ第一関門だ。


 ふふふ。申し訳なさそうにしてる。もっとちょうだい?

もっと申し訳なくて罪悪感を感じて?


 シアンさん俺、無害な良い人なんですよ。


「いえ俺こそぶつかってしまってすみませんでした。お怪我はないですか?」


 俺の事よりあなたの事を心配してますからね?ホント凄く良い人でしょ?


「はい!大丈夫ですよ」


 あぁ可愛い。


「よかったです」


 ねぇもっと罪悪感にさいなまれて?


 微笑んで派手に散らばった中身を拾い集めて彼女の鞄に入れていった。


 最後の物を手渡し立ち上がるタイミングでシアンに手を差し出した。


 上目遣いで俺と手を交互に見てゆっくりと柔らかい手を乗せて来た。


 顔色を一切変えずにゆっくりした所作で優雅に立ち上がる。


 お姫様だ。



「ありがとうございます。あの…。つかぬ事をお伺いしますが、今からどうされるのですか?」


 上目遣いで眉尻を下げて見つめてくる。


 誰にでもそんな顔をして話してるのなら由々しき問題だ。

 男なら十中八九誘われていると勘違いするだろう。

 

「んー。そうですねぇ。お腹すきましたし、何か食べてから考えます。」


「それならお詫びにご馳走させて下さい!」


 え、そんなに上手く行くの?平井さんの読み凄いなぁ。


 じゃあお願いします!ご馳走様です!ついでにあなたも頂きます!みたいな勢いはダメだろうし。シュミレーションしとくんだった…。

 

「え…いやぁ…。それは…」


 自然に2人で飲みに行くのはどーやって持って行こうかな。


「あっ!そーですよね!ホントすみません!迷惑ですよね!何の罰ゲームだよって感じですね!気にしないで下さい!変な事言ってすみません!」


 え!なに!どーゆ事?ヤバイ!終わる!


「えっ!?いやいや!違いますよ!迷惑とか罰ゲームだなんて思わないですよ!ただ、俺の不注意でぶつかって迷惑掛けたのにご馳走になるのはどうかなぁ。と思って躊躇しただけです!」


 お願い!終わらせないで…!


「迷惑じゃないならよかった!

 それじゃあご飯食べに行きましょう!」


 はぁ…よかったぁ。今ので身体中のビタミンCが減少したわ…。


「分かりました!あ、申し遅れました。須藤真人です。」


 …ねぇシアン俺の名前…

 俺の事…覚えてない?


 俺の事思い出さない?俺は…


「あ、私は楠木詩杏です。よろしくお願いします。どんなのが食べたいですか?居酒屋さんとかなら開いてると思いますが、どこか良いお店開いてますかねぇ」



 シアン…シアン俺はずっと…。



「…クスノキ シアン。あなたにぴったりの可愛らしいお名前ですね!」


 忘れ物がないか辺りを確認。家の鍵を拾い損じてたらショック過ぎる。


 …再会出来て嬉しい、忘れられてて悲しい、辛い、笑顔が愛おしい、会話が出来て幸せ。

色んな感情で目頭が熱くなって視界がぼやけた。


 涙がバレないように顔を背け瞬きをし「行きましょうか」と言って階段に向かい2段程降りた所で思い出した。


 あ!無害な人アピールしなきゃだった!


 振り返りながら「足元気を付けて下さいね」と、言って微笑んだ。

 

 シアンはやけにゆっくり階段を降りた。





 俺達は駅前の居酒屋に入った。


 シアンはキョロキョロと店内を見渡して目をキラキラさせていた。


 はぁ…可愛いなぁ。お肌もスベスベだし、唇もぷるんぷるんだ。顔小さい。



「ほぉーーー。最近の居酒屋さんはタッチパネルなのか…。ひぇー。」


「タッチパネルで注文出来るお店増えましたよねー。俺とりあえず生で」


「そうなんですね。最近飲み会とか全く参加してなかったから知らなかったです。須藤さん生ビールですね!


 私はとりあえずの…ジントニックにします。


 お料理は一旦2人でつつけそうな物を適当に少し頼みますね!

 欲しい物があったら言って下さい。シーザーサラダと和風サラダならどちらがイイですか?」



 あ、しまった。タッチパネルが嬉しそうだったから、注文権を委ねてしまった。


 ビールを飲ませないと。よし。今回の注文が終わったらタッチパネルを強奪しよう。



「どっちも好きですが、今はシーザーサラダの気分ですね」



「やった!私もシーザーサラダの気分です!

和風もめっちゃ好きなんですけどねー。


 あとは、若鶏の唐揚げ…

明太ポテトチーズ焼き…

サイコロステーキ…

ほっけの一夜干し…


あ!食べられない物とかありますか?後、須藤さんは何か決まりました?」



 おっ!いいの頼むね!



「食べられない物はないです!んー。まだ決まってないので後で注文します。

 凄いですね!今楠木さんが選んで下さったメニュー全部大好物です!楠木さんと食の好みが合うの凄く嬉しいです」


「ホント?ならよかったです。とりあえずこれで頼んでしまいますね」


 シアンが微笑んだ!ヤバイ!可愛過ぎる!スベスベぷにぷにのほっぺに触れたい。笑うと分かる少し大きい口。下唇を親指でなぞって、油断したら唇をこじ開けて指を滑り込ませたい。


「須藤さんって…モテるでしょう。」


 え?あ、なんだっけ?脳内のシアンにエロいイタズラをしてたら聞き逃した。


 必殺脳内再生…脳内再生…来たっ!

あーなんだ。それはシアンも一緒だからね


「………………いやいや楠木さんこそ。」


「はは。んな訳ないでしょー。」

「楠木さん凄く可愛いですよね。」


「あー。分かります。その可愛いはパグ犬とかフレンチブルが可愛いの可愛いですよね。分かります。マスコット的な可愛いですね。ありがとうございます。ゆるキャラになります。これからも応援よろしくお願いします」


 なんでだよ。


「いや違いますって。自己評価低過ぎません?楠木さんは「お待たせ致しましたー」


 おい!タイミング悪いって!


 

「「ありがとうございます」」


「ごほんっ。ちゃっ。えーーーお集まりの皆さん本日はーーー。私のせいで終電に


 おぉ!スピーチのコントが始まった!


「宴会部長ー!話が長いぞー!口をちゃっちゃ鳴らすなーかんぱーい」」


「え!須藤さんツッコミも出来るんですか?あはは!野次だった!楽しー!」


 緊張し続けてたから喉がカラカラで苦手なビールが美味しく感じた。


「次は何飲みますか?須藤さんビール飲めるんですねー。

心から尊敬します。私はまだビールの美味しさが分からなくて…」


「ビール飲めないんですか?」


「そうなんですよぉ。まぁビール飲めなくても問題なく生きて行けますし、わーーー。

空きっ腹だったからめっちゃ回る…。足が…足が…足の付け根が溶けそうです…。あー」



(あ、足の付け根?とける?気持ち良さそう…えっろ。


「足の付け根…?」


 シアンにビール飲んでもらわないと。どーやって飲まそうかな。

 

「うー。味とニオイが苦手なのと…ビールを飲むとね…。

 何故か笑いが止まらなくなるんです。めちゃめちゃうっとーしがられるし、ぞんざいに扱われて実は本気で傷付くので封印してもいますね。あはは…」



 そうだよね。やっぱり色々言われて傷付いてたんだよね?大丈夫だよ?俺はシアンに意地悪言わないし、守ってあげるからね?


「笑い上戸になるんですね!良いじゃないですか!飲みましょうよビール!


 俺は楠木さんをぞんざいに扱ったりしませんよ?

 これでもかってくらい甘やかします。

楽しそうに笑いながら飲む楠木さんが見たいです!」


「あー。楽しくはなるんですが味も苦手なんで・・・」


 もうひと押しか?



「どこのメーカーのを飲んでましたか?メーカーによってビールの飲み易さは全然違いますよ?最後に飲んだのはいつくらいですか?チャレンジしてみませんか?ひと口飲んでみてやっぱり無理だったら俺が飲みますよ?」


 残したら俺が飲みます。これでダメなら、もうムリだな。まぁビール飲まなくてもシアンは優しいからお持ち帰りしてくれそう。



「なるほどぉ確かに。以前に比べたら味覚も変わってるかもですもんね!ビール飲みます!久しぶりに飲んでみたいです!


ひぇっ…来たビール」



 ビール飲みます!の時には送信ボタンを押してやった。


「お待たせ致しましたー」

 

 今回は良いタイミングだったよ。

 


「「ありがとうございます」」


「では…久しぶりのビールに…「乾杯」」



 凄く味わって飲んでる。こんなの喉越しとか言うヤツだけじゃないの?

 俺も味とニオイは苦手だよ?ふふふ。


 シアンがクスクスケラケラ笑い出した。

可愛い!可愛過ぎる!


「ちょっと一瞬メールすみません」


 メールを確認するフリをして写真と動画を撮りまくる。


 すると、シアンが俺を見ながらビールのCMみたいな格好で色々ポーズを取ったり変顔してくれた。


 一瞬バレたのかと思ってちょっと焦ったが、レンズを見ていないから、ただ遊んでいるだけのようだった。


 あー。すき。





お読みくださいましてありがとうございました。

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