24.亜蓮 side 妹の彼氏の靴
シアンちゃんのお兄ちゃん視点です。よろしくお願いします。
あ?なんだ?急に既読が付かなくなったぞ?
まぁいいか。着替えて、荷物を置かせてもらおう。
マンションの下に着いて、そのまま合鍵で入ろうか迷ったけど、まぁ一応インターホン鳴らして開けてもらうか。
しばらく待ったがインターホンを鳴らしても出ない。ホントにどうしたんだ?
大丈夫だよな?
なんか事件とかに巻き込まれたりしてないよな?
詩杏は昔からぼんやりしてる所があるから、と言うか控えめに言って洒落にならんくらい天然ボケだ。本人はしっかりしてるつもりらしいが。可哀想に…
事件に巻き込まれていても気付いていなかったりするかもしれない。
急に緊張して来た。丸腰で来て良かったのか?
慎重に鍵を開ける。
「しあーん来たぞー。お邪魔しまぁ…ス…」
え?男物の靴…。マジで…?
心臓がドキンっと跳ねた。ドクドクと鼓動が早くなる。
緊張で喉が渇く…。
おいおいおいおい勘弁してくれよ…。
「しあーん。おーい」
玄関に置いてあったビニール傘を持つ。
恐る恐るリビングを覗くと、ソファの座面に伏せっている詩杏が居た!
…っ!喉がひゅっと鳴った。
「詩杏!大丈夫か!詩杏!!何があったんだっ!」
慌てて駆け寄り、周囲を警戒しながら息をしてるか確認する。
「…ん?」
どこか殴られたりしたのか?ぼんやりしているが気が付いたみたいだ。
無事でよかった…。抱きしめて怪我がないか確かめる。
「気が付いたか!良かったぁ…。
可哀想に…怖かったな!どこか痛む所はないか?
何があったんだ?」
「げっ!お兄ちゃんなんで居んの!?」
…はっ?
「おい………げってなんだよ!げって…。
もしかして…寝てただけなのか?
急に連絡つかないし、インターホン鳴らしても出ないし…。なにかあったのかと思って俺がどれだけ心配したか…」
「マジっ!ごめん!昨日全然寝れてなくて…。インターホン鳴らしてくれてたの気付かなった…。
きっと眠りが深かったんだねー」
深かったんだねぇ〜うふふ。じゃねぇ!
「はぁ〜〜〜。…あの靴は?誰のだよ」
ん。とんでもなく高級そうな靴だったと思うんだけど…。
「あの靴?あぁマナト君のだよ」
マナト君だぁ…?
名前だけじゃなくて間柄を言わんかい!間柄を!
「はぁ…。マナト君って誰だよ。
どういう関係なんだ?」
「…か、…彼氏よ…」
顔を赤くして照れている。
そりゃそーか。
「ってか、同棲してんの!?
なんで何も言わないんだよ!お前なぁ…」
「ち違うの!同棲じゃないよ!マナト君の家の不具合が解決するまでの間だけなの。
相談しなくてごめんなさい。昨日の夜、急遽だったから…」
「あー。そー言う事か。事情も聞かずにごちゃごちゃ言って悪かったな。
また紹介してくれよ!
時間ないんだった。着替えないと」
そうか…。詩杏にも彼氏が…。しかも家に泊まらせるくらい進んだ関係なのか。
ヒロもコウも小中学校シアンの事好きだった奴らも皆んなショック受けんだろうな。
「そーなんだ。なにー?お兄ちゃん悪い顔してるよ?」
「ん?そうか?まぁまた夜な!」
「うん。え?夜また来るの?」
詩杏の頭をくしゃくしゃっとやって立ち上がる。
「だから詩杏チに泊まるんだって。」
「あー。マナトくんも居るけど大丈夫?」
「あぁ?別に問題ないぜ?」
「そう?分かった。起きて来たら、お兄ちゃんが泊まりに来るって伝えとくよ」
そう言ってシアンは大欠伸をした。
「デカい口だなぁ。顎外れるぞ」
「んーーーーーー。ごめん…眠くて…」
「何してて寝れなかったんだよ…。
あーーーー!いい!いい!妹のそんな事情聞きたくねーわ…。あんなに可愛かった詩杏が…」
「ちょっと変な想像しないでよ!
マナト君はそんな人じゃないし!
凄く誠実な人なんだから!」
「あー。分かった分かった」
素直で可愛いんだけど、おバカなんだよなぁ。
あのな詩杏…。誠実な男なんていねぇんだよ。
「ところでどこ行くの?」
「あぁ友達の結婚式。着替えたら行くわ」
「結婚式いいなぁ…。私もマナト君と…」
「はいはいご馳走様。
これ書いて!祝儀袋!詩杏字上手いし!」
「えぇ…。字上手じゃないよ…しかも寝不足の寝起きで…ヨボヨボの字になるって…。
お兄ちゃんが左足で書いた方が上手に書けるよ」
「はは。んじゃ詩杏が左足で書いてくれよ」
「…言いましたね?ドドリアさん」
「誰がドドリアさんだよ!俺はどっちかって言うとザーボンだろ!
妹がふざけて左足で書きました!って言いながら渡すし、SNSにアップするけどな!書いてる姿の動画も」
「あ、すみません。心を込めて精一杯丁寧に書かせて頂きます。もちろん右手で!」
詩杏は嘘くさい満面の笑みで右の手のひらを顔の横に上げて見せてきた。
詩杏のノリの良さと、良く笑う所が男友達と居るみたいで俺は好きだ。
「そうか?悪いな。
で?そのマナト君とはいつ出会ったんだ?」
「あー。出会ったのは2年前の今くらい」
「へー。そーなんだ。どっちから告白したんだ?」
「マナト君から…。あの恥ずかしいんだけど…。やめない?この話…」
詩杏は傷付きやすいから、詩杏に優しく接してくれる奴だったらいいな。
「へー。いいじゃん。教えてよ。
詩杏って今の彼氏以外に付き合ってるヤツが居たのか?」
「いないよ?マナト君が初めての彼氏だよ」
「へぇ。初めての彼氏かぁ」
「…なによ…。にちゃにちゃにちゃにちゃ…」
「まぁ詩杏の成長が嬉しいんだよ。
…マナト君は詩杏に優しいか?」
「うん!こんなに優しくされて良いのでしょうか!と困惑するくらい優しいよ!」
「そうか。優しい人に出会えて良かったな」
詩杏が照れくさそうにしてる。
「うん。お兄ちゃんは?まだ結婚しないの?」
「あー。まだ遊びたいしなぁ30くらいまでは結婚したくないなぁ」
「30!お兄ちゃん26だよね?彼女可哀想だよ…」
「あぁ…まぁ…な…」
「まさか…それ本人に言って振られたとか…?」
「お、よく分かったな!正解だ!スーパーアレン君をやろう」
「やったー!スーパーアレン君だ!じゃなくて!
優奈さん…学生の時からだから長かったよね…?
お兄ちゃん…優奈さん良い人だったよ?絶対離しちゃいけない人だと思うよ?もう1回話し合えないの?」
「あー。うん…。分かってるんだけど…」
「そうだよね。お兄ちゃんも優奈さんも色々考えて出した答えだもんね。
でも、私は優奈さん好きだったから悲しいな…」
そうだな。詩杏は優奈には懐いてたな。
「まぁちょっと考えるよ…。今日の式、優奈も招待されてるし」
「わぁ…。うん。しっかり話しておいで」
「おう。」
本当は優奈と来てホテルも一緒に泊まる予定だったんだよ…。
着替え終わってしまった。
行かなきゃか…。
優奈と顔合わせるの気まずいな。あぁ憂鬱…。
なんだかんだ詩杏ちゃんが大切で、面倒見が良く優しい亜蓮お兄ちゃんでした。
お読みくださいましてありがとうございました。




